
『キャットストリート』
さて、もう既に次のシーズンが始まっていますが、2008年夏ドラマのまとめです。最後まで観ていたものを順位付けしてリストアップしてますが、いつも通り順番はとりあえずのもので適当です。
〈2008年夏ドラマ〉 ,覆
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(リアル・クローズ)
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ДΕーキン☆バタフライ
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恋空
ナツコイ
キャットストリート
33分探偵
魔王
大好き!五つ子2008
太陽と海の教室
飴佑弔留
餌之眦兄肇襯『モンスターペアレント』、『ロト6で3億2千万円当てた男』、『シバトラ 童顔刑事・柴田竹虎』、『ごくせん』、『ヤスコとケンジ』は途中で挫折。『ゴンゾウ・伝説の刑事』はやっぱり観ておけばよかったかな〜とほんの少し後悔。
印象に残ったのは戸田恵梨香と、そして桐生の風景(『恋空』『ナツコイ』)。2008年の夏ドラマは、ここ数年で最も低調なシーズンだったと思います。その前の春期も低調で、それでも中では『ROOKIES』を最善としましたが、今期はより低調で他人に推せるものがありませんでした。そのなかでは個人的には好感をもっている2本、『コード・ブルー』と『学校じゃ教えられない!』をいちおうの収穫だとおもっていますが、正直、『学校じゃ教えられない!』についてはコレを擁護してその良さを説得的に話をする自信があんまりない‥(この2本と『恋空』、『瞳』は別記事で触れたいと思います)。
最も期待していた『正義の味方』、第1話をみたとき、この演出のテイストじゃ1クール保たない感じがするけどどうするのかな?と心配していたらどうもしなかったみたいで、案の定、後半は息切れぎみで、興味がグングン薄れていきました。
いざフタを開けてみると、聖千秋の原作へのリスペクトなど感じられず、ただ“悪魔のような姉”マキコさんのキャラクターに山田優を当てはめたらイケるんじゃないか、虐げられて右往左往する妹・容子が志田未来にハマるんじゃないか、というキャスティングありきな発想で作られただけのようだったので残念。ただ、『正義の味方』じたい、聖千秋の長編のなかでは最も面白くないもののひとつなので、あまり大仰なことも言えませんが‥。(あと本郷奏多がフツーに軽やかなイケメン、という配役にはどうも違和感が。それと、痩せた中村静香、ってどうなんだろう?)
そんな寂しい気分のなかで見た、香里奈主演の単発ドラマ『リアル・クローズ』には、心洗われました。ファッションに疎い女子がファッション業界真っ只中へ、というどうということもない話(『プラダを着た悪魔』のパクリ的な批判があるようですが、元々アレがそんなにオリジナルな話か?)なんですが、原作者である槇村さとるの作風の“どこか生真面目な、あの感じ”がちゃんと濃厚に漂っていて、ドラマ版『おいしい関係』なんかもただのトレンディードラマで槇村さとる度ゼロでしたから尚更、嬉しかったというか溜飲が下がった。どこか器用になれない、ギクシャクした香里奈のパーソナリティも、槇村さとる的な生真面目さと相性が良かったとおもう。入れかわり立ちかわり登場する衣装の数々も眼に楽しく、ごくふつうにあっていいドラマだと思います(能瀬3姉妹の共演ということで若干の話題を呼びましたが、次女えれなのトンデモナイ演技はある意味最大の見所かも)。これを水準作としての位置に置き、ボーダーラインとすることで夏期ドラマへのイヤミとしたいかんじ。
一瞬で解決するイージーな事件を、探偵がなんだかんだと難癖をつけて毎回放送時間の33分間いっぱいに引き延ばす『33分探偵』は今期の典型的なサブカルドラマ。ですが、堂本剛主演の深夜ドラマ、ということでターゲットの知的水準に合わせたと思わせるような共感的文化圏で紡がれる“ユルさ”は、これまでのサブカルドラマには幾らかはあった尖ったところがなく、その微温的平和さにはある種の魅力があります。この程度のメタフィクション性に知的刺激があるなどと考えるのは、無理して論じて意義の有無を判定したい年長者だけで、中心的視聴者たちにとってはそんなものは“くすぐり”程度の価値の小ギャグのうちのひとつ過ぎず、フラットな気分で消費しているんじゃないでしょうか。冴えてること/ハイブロウであること/センスがいいことを必ずしも志向しない‥‥現在的サブカルドラマは新たな段階に入ったのか?
北乃きい、岡田将生、吉高由里子、濱田岳、山本裕典、谷村美月、冨浦智嗣、鍵本輝、前田敦子、賀来賢人、中村優一、忽那汐里、大政絢と、若手に限ってもなかなかの豪華キャストを集めた『太陽と海の教室』(頭の悪いドラマ‥)、驚くほど誰も輝かず、終わってみれば順当に吉高由里子のひとり勝ち。陳腐な台詞さえ吉高由里子が口にすると輝きを帯びる(この稀有な作用は、絶頂期の大後寿々花には為せたことでしたが、現在の大後寿々花は嘘のようにダメですね)。このテのものが所詮若手のショーケースという役割だとして、殆ど存在意義がなかった残念な連ドラでした。
じつは若手の豪華さということでいえば『キャットストリート』はそれ以上かも。谷村美月、勝地涼、黒川智花、木村了、石黒英雄、高部あい、荒井萌、田中圭といったナルホドと思える面々を要所要所に(『太陽〜』に比べて的確に)配し、峯岸みなみ、小野恵令奈といったAKBの人たちもぞくぞく(チョイ役で)登場となれば配役の豪華さは途絶えない。
しかし、TBSドラマ版『花より男子』の場合にはエンタメ加工で原作の辛気くささの脱臭に成功したのに対して、このNHKドラマ版『キャットストリート』からは生真面目な“神尾葉子臭”が漂う。『リアル・クローズ』はそこを褒めといてナンですが、『キャットストリート』の場合はそこがつまらなく思えるのは、単に原作者に対する好き嫌いの問題なんでしょうか‥脚本の浅野妙子ともども、彼女らの描く“深刻さ”には、(現在的問題の)どこか浅はかなネタ化に見えてしまう。中盤の丁寧な語りに比べての後半の急ぎっぷりは空転に空転を重ねて失速、流行り(?)ネタを集めた絵空事に感じられて急速に興味も減退した。
そして若手のショーケースとしては、誰もが誠実に順当に演じていて、あまり驚きがない。谷村美月はいつまでも『カナリア』の印象は超えられず、注目していた石黒英雄は全然ダメ(だったら、男子ではチョイ役でしたが馬場徹がなかなか良かった)。で、一見引き出しの少なそうにみえる高部あいが、じつは多彩な演技で新たな面を見せることが(いつもながら)出来ていたと思います。
しかし、個人的には以上のようなことは本当はどうでも良くて、『キャットストリート』というドラマへの印象は:
『がきんちょ リターン・キッズ』の続編として自分の胸に迫った。
2年前の夏期のTBS系昼ドラとして一部で人気を博し、続編待望の声も高かった『がきんちょ〜』は結局続編は制作されなかったのでしたが、その面々が『キャットストリート』で地味に再会していて、どこか地続きな世界でワクワクした。
『がきんちょ〜』では美山加恋演じる夏川モモが人気チャイドルで、モモの相方がぬけたアイドルユニット「ぱれっと」の追加オーディションがコマチ/鈴木理子の住む田舎町で行われ、ある策略からモモは相方にコマチ/鈴木理子を指名する。そして以後スター・美山加恋は芸能人もどきとなった鈴木理子を振り回してゆくのだが、その鈴木理子の幼なじみ・タカユキが深澤嵐。そしてモモ/美山加恋には友達と呼べる相手がいない‥。その3人が『キャット〜』で再会した。天才子役としての才能を遺憾なく発揮する恵都/美山加恋が、アニーもどきの『サニーデイズ』なる舞台で“元気がとりえ”でダメダメな奈子/鈴木理子と舞台を共にすることになる。芸能界という舞台設定、ダメダメ→鈴木、スター→美山という構図も共通していて、しかもスターすぎる美山加恋には友達がいないのだ。ただ、『がきんちょ〜』と違うのは深澤嵐が鈴木理子側でなくて美山加恋の幼なじみだという点。
さて、そんな美山加恋と鈴木理子が友人関係を結ぶ。
鈴木理子「友達になってくれる‥よね?」
美山加恋「いいよ。私、学校に友達とかいないし‥」
こうして美山加恋は素直な善意をもって鈴木理子を励ましつつ共に頑張ってゆく。素直になれないモモとは違うが、ある種の友情をもって何かを成し遂げようと進んでゆくのは一緒だ。そして迎えた公演初日、昼公演を無事乗りきった鈴木理子を祝福する美山に、爆弾を炸裂させる鈴木理子。「‥お礼言って欲しいの?あげないよ‥なーんにも。友達1人もいないなんて、キモチワルイひと!」‥『がきんちょ〜』からの弱々しい鈴木理子のキャラの流れで観てきた『がきんちょ』ファンにとっては、強烈な凶悪さだったと思う。こうして美山加恋は再起不能に。この鈴木理子側からの反撃を、2年に及ぶ“溜め”としてみると、趣深い味わいがあります。
(『ウォーキン☆バタフライ』、グリングリン長い身体をくねらせ、鈴木則文の青春映画の主人公のように顔面いっぱいに感情を表現する、中別府葵の振り切った演技の爽快さ。女子がプロレス好き、という設定が寒くなかったのは、ほんとうに珍しいことだったと思います。)
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