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ドラマ『週刊真木よう子』

まきよーこ


ドラマ『週刊真木よう子』

(テレビ東京系、水曜25:20~)
製作:週刊真木よう子製作委員会
制作協力:オフィスクレッシェンド
企画:大根仁
EP:大月俊倫

真木よう子というひとには、女優としても女性としても、ほとんど興味がありません。あくまでもそういう前提での以下の感想なので、真木よう子目当てでこのドラマを観ている方々の意見や印象とは大きく食い違ってくるんじゃないかとは思います。

深夜枠ドラマ昨今の流行、〈テレビドラマのサブカル化〉の典型例である『週刊真木よう子』は、女優・真木よう子を素材に、〈毎週異なる出演者・脚本家・演出家が贈るオムニバスドラマ〉という企画。サブカルテイストの〈出演者・脚本家・演出家〉を揃えて提示するというこのテの企画の成否は、統括者の力量やセンスにかかっているかと思いますが、『週刊~』の場合はアッチ系な大月氏でなく、オフィスクレッシェンドの取締役でもありメイン演出家でもある大根仁がその任を負う。
オフィスクレッシェンド内でも、ひときわ隣接サブカルチャーに接続性をもつ大根仁氏により選定されたとおぼしき、主に小劇場演劇畑の興味深い異分子がこの深夜枠に集結‥と言いたいところですが、何でか大根仁氏自身が監督脚本をつとめる回が何話もあって、〈毎週異なる出演者・脚本家・演出家が贈る〉という看板は偽りかよ!と不満あり。正直、大根仁という演出家の名前はそれほど魅力的でなく、彼の名前で食指を動かされる視聴者は殆どいないんじゃないでしょうか。氏の適度にスタイリッシュだが印象も感慨も残らない作風は、映画でいえば下山天みたいなもんでしょうか。って言うと下山天に失礼か‥


①『ねぎぼうず』
監督:大根仁
脚本:大根仁、三浦大輔
原作:リリー・フランキー
共演:田中哲司、みのすけ、松尾諭

②『スノウブランド』
監督・脚本:大根仁
原作:すぎむらしんいち
共演:中村達也、桑代貴明、松浦祐也、中島巨人

で、肝心の第1話&第2話は“これが『週刊真木よう子』のクオリティとバラエティと方向性です”と示さなければならない、視聴者に対してのパイロット版の役割をもつ筈。それが、二話共に大根仁作品、どちらも真木よう子のエロさ(←感じないのでよく分からないが)を前面に出した作品、では、わざわざ視聴者を篩い落としているようにしか思えない。事実、自分の知人もこのあたりで観るのをやめてます。思いっきりキングレコードなCM群も、(なんか肌に合わないナ~)と引いてしまう一因になっているんじゃないでしょうか。

①、田中哲司の無駄づかい。展開の少ない、オチもミエミエな話が、大した工夫もなく提示される。真木よう子に淫して観なければ退屈してしまうと思うんですが。で、退屈した。台詞も相当ツマンナイ。

②、『松ヶ根乱射事件』冒頭のワンカットにも及ばない30分間。雪のなかに銃声が響き、血飛沫が雪に散る。2分半の長回し、バリバリスタイリッシュな出だしからノワールな世界へ。こんな話は巷に腐るほどあふれてるので、ディテール勝負となり、どうしてもハードルは高くなる。で、個人的にご贔屓の松浦祐也演じる警官と、コンビで血まみれの札束のアタッシュをみつけるのは中島巨人さん。とってもとっても煙草を吸うのがヘタクソな中島巨人さん、こういうディテールがイマイチだとドッチラケ。このテのディテールこそこだわらないと。スローモーションの多用もノーセンス。
真木よう子のチラリズムに興味が持てず、①同様退屈する。締めのガキの台詞はおっぱい絡みだったらシュッとしたのに。


③『おんな任侠筋子肌』
監督:山口雄大
脚本:井口昇
共演:阿藤快、阿部サダヲ、板尾創路、町田マリー、廣田三憲

露骨に梶芽衣子スタイルの真木よう子。物語の骨子も『女囚701号 さそり』(72、伊藤俊也)に始まる『さそり』シリーズそのもの。タッチは伊藤俊也とも石井輝男とも言えるテイスト。
タイトルのイメージは東映任侠映画末期の『緋牡丹博徒 鉄火場列伝』(69、山下耕作)もしくは『日本女侠伝 鉄火芸者』(70、山下)あたり、緋牡丹博徒シリーズや女渡世人シリーズの藤純子モノを想起させ、同時期の日活『昇り竜 鉄火肌』(69、石井輝男)等とダブる。70年代初頭という時代に、日活/東映を駆け抜け藤純子以降の次代のスターとなった梶芽衣子は、当初扇ひろ子(東映の“お竜”藤に対し日活で同路線を担っていた)の『昇り竜』シリーズの一環であった『怪談昇り竜』(70、石井)に、失踪した扇ひろ子の代役として急遽起用されたという奇縁がある。
60年代任侠から70年代的反体制アウトローへ、藤純子から梶芽衣子へ、東映/日活をボーダーレスに駆け抜け新時代を切り開いたといったイメージは(梶芽衣子とともに)石井輝男が代表する。『さそり』の伊藤俊也は、東映での石井輝男の門下生でもあった。

石井輝男(や伊藤俊也、あるいは梶芽衣子)らの表現はなんらかへのある種のカウンターであり反逆であり、萎縮してゆく時代の閉塞感への反撃だった。閉塞のなかで「逆手にとる」という表現の運動だった。それゆえそこにファンも感情を仮託し、熱狂することができた。しかし、③にはそれらへのオマージュの精神はなく、表面的で安手のパスティーシュがあるだけだ。雑で説明的だったと思えば急に妙にセンスが良かったりする、ムラがありありで表現への切迫した速度感のある井口脚本にはオマージュが幾分感じられますが、山口演出にはそれが見事に欠落している。適度に面白く、一見マニアックにみえて分かりやすく笑える小ネタを上手に配列し提示する、そのための丁度いいツールとして〈梶芽衣子〉〈さそり〉等が消費されているだけにすぎない。単なる小手先のサブカルごっこ。閉塞感への反撃、どころか、平和に閉じた〈サブカル的な気分〉に安穏と浸り、安全なところで戯れているだけだ。
語りは流麗すぎ、手間かけ過ぎキャスト豪華すぎ。 ここは超低予算、早撮り、ノースターで行かないと味わいが出ない。『デス・プルーフ in グラインドハウス』 (07) 以後の作品としては鈍感すぎるんじゃないでしょうか。『キル・ビル Vol.2 』(04) のズームアップショットにあったような精神が感じられないから、愛もセンスもないと唾棄したくなる。これをみると、今にして思えば、面白くもなかったし退屈だったけど、杉作J太郎の諸映画は“わかってる”と感じさせました。
ヌメヌメした筋子ネタはいかにも井口的。


④『中野の友人』
監督:山下敦弘
脚本:赤堀雅秋
原作:いましろたかし
共演:井口昇、小林きな子、佐伯新

傑作。山下×赤堀、新たな名コンビの誕生。プロデュースの勝利。
いましろたかしのマンガからスルリと抜け出てきたような、存在そのものがいましろタッチな井口昇が“俳優として”素晴らしい。
(後日追記)


⑤『トラ トラ トラ』
監督:大根仁
脚本:宮崎吐夢
共演:大久保佳代子、江口のりこ、篠原友希子

女4人=MAX=「Give me a Shake」=『トラトラトラ』、じゃなくて『ファスター・プッシーキャット キル!キル!』(キル!キル!→トラトラ~への連想?)が元ネタか?また大根仁か‥‥。
小ネタ満載、しかしいかにも小劇場演劇ぽい脚本がいかにもの域を出ず、激サム。サブカルっぽさがサブカルっぽいカテゴリーに大人しく収まっている。


⑥『景色のキレイなトコに行こう』
監督:豊島圭介
脚本:豊島圭介、及川章太郎
原作:福満しげゆき
共演:温水洋一

佳作。定年後の日々のようにざわざわと柔和で微弱な日光の温かみ。浮浪者の老女のような姿の真木よう子。繊細なリアリズム描写を基調に、白昼の路上での惨劇をはじめとした、非現実的な事柄や描写が間欠的に出立する。基調は丁寧で流麗、非現実的描写はバタバタした描写でメリハリがあって計算ができていると思う。ロケハンも丁寧、エキストラを入れてのカットも手抜きがない。カット割も構図も手間がかかっているけどこれ見よがしでなく、何より音の設計が良いですね。演出がキチンとしてこそ、小ネタや出来事が光る、事の成りゆきにドキドキするという、当たり前の事実をこの第6話は示しています。チョークで石畳に線を引く、それだけのアクションが輝く。「ウチに帰るよ」という着地はキレイですが、もう一飛躍欲しかった気もします。
映画畑では新世代の有望株として注目を集める及川章太郎ですが、今回はそれほど冴えた印象を残せなかったかな?温水洋一の使い方はイマイチ‥というか、近年“良かった温水洋一”を見たことがないかも。


⑦『立川ドライブ』
監督:大根仁
脚本:赤堀雅秋
共演:正名僕蔵

殺された真木よう子。から始まって時間を遡り、そこへ至る顛末が描かれる。不安定なカメラに、リアルでローファイな会話、ビンボーくさい日常感溢れる描写がダラダラつづく。ケッサク『中野の友人』につづいて登板、THE SHAMPOO HAT赤堀雅秋の脚本は、反ダイアローグ的で、カンバセーションに重きを置く。そこから日常における人と人との微妙な距離感が生じ、脈動し、ドラマが形成される。メールの情けない使い方も秀逸。傑作直前‥と思いきやしかし、色調を調整した画面、切迫感=寄りのカットという説明過多ぶり、夏描写のイージーさ、パトカーでのドライブ場面など、スタイルに流れたシーン群が良さを相殺し、退屈化。そこは一歩引いてルーズを貫かないと。残念。


⑧『恋泥棒ヨーコ』
監督:大根仁
脚本:せきしろ×からしま+おおね
共演:森下能幸、掟ポルシェ、宮崎吐夢、浜野謙太、遠藤憲一

あらゆる意味でまんま『去年ルノアールで』。


⑨『蝶々のままで』
監督・脚本:タナダユキ
共演:星野源、野嵜好美、伊達暁

ネタも作りも面白くも何ともないが、微妙なブスさの野嵜好美だけが絶妙。『ジャーマン+雨』(傑作!)で一躍名をあげた野嵜好美は、インディペンデント系の錚々たる講師陣が集う〈ENBUゼミナール〉2004年度の卒業生で、山下敦弘のENBUゼミナール卒業作品『道』の主演で注目を集め、『道』(『子宮で映画を撮る女』)以外でも山下敦弘作品の常連と化している(『アカバネ三姉妹』(『蒼井優×4つの嘘 カムフラージュ』))だけあるナイスなツラの持ち主で、そんな映画畑の新進女優が、それなりに注目される地上波ドラマでの露出は喜ばしいこと。


⑩『ひなかの金魚』
監督:神徳幸治
脚本:黒木久勝
共演:池田鉄洋、ヨネスケ、市川しんぺー

神徳幸治×黒木久勝=劇団ROUTE30による週刊真木よう子。6月にある劇団ROUTE30の第2回公演『ひなかの金魚』と同題ですが設定・ストーリーは異なるようで、マルチメディア展開とか公演の宣伝という事ではない様子。神徳幸治は堤幸彦の助監出身でクレッシェンド寄りの人物(『週刊~』へのオファーは既に去年、大根仁からあったとのこと)、黒木久勝は塚本晋也組にずっと助監督としてついているということで、堤×塚本→エキセントリックな作風、を想像する向きもあるかもしれませんが、本編は人生のある程度の長いスパンの時間を感じさせる、地味ないわゆる“ちょっといい話”。しかし30分は短く、こういうのは70分はないと味が出ない気がする。ヨネスケネタはありきたり。
真木よう子の役柄は、他の挿話とだいぶテイストがちがう男に都合のいい女‥『週刊真木よう子』の一変奏としてはOKだが、『ひなたの金魚』単品でみるとフツーにミスキャストかも。


⑪『魔女がアタシを』
監督:大根仁
脚本:長塚圭史
共演:緑魔子、和田聰宏、渋川清彦、千葉雅子、長塚圭史、吉本菜穂子

基地の街、和田と真木の乗る車が老女をハネる。老女は和田の祖母だった。成りゆきから彼女を真木がしばらくの間預かるハメに‥。
サブカル/小劇場界のビッグネーム、阿佐ヶ谷スパイダーズの長塚圭史が脚本&出演で降臨。長塚圭史に加え渋川清彦が出演していることもあって、風間志織監督『せかいのおわり』(05)を連想させ、自動的に“ミニマム映画”のひとつのバリエーションとして、価値判断のサーチが為される。ラフかつ流麗なカメラワークも実にミニマム的。
部屋の美術、小道具のいちいちがいいセンスで、壁飾りやらコップやらが目に楽しい。役者では、何とはなしにダメな渋川清彦がヤリ過ぎずいい感じ。逆に長塚圭史は、いつも通りヤリ過ぎ感あり。
他者との距離感の変容が物語持続の主軸となっていますが、緑魔子のキャラクターと行動、エピソードが平板かつ図式的すぎてミニマムな味わいはなく、それでいてミニマム映画的な(風味の)語り口も手離さない。ここでは瞬間をとらえて岐立させるような、事物を微分/異物化する作用が生じていない。要するにミニマムなテイストはなんちゃってなわけでムードだけを示し、幾分古風でキャッチーなおしゃれ感が現出し、小綺麗にまとめただけという印象。微細な感情の蓄積が足りないから飛行機を見にいくエピソードも別に効いてない。⑩に引き続き、70分は無いととも感じさせますが、⑩とちがってもし70分あったとしてもあまり面白くなるイメージが湧きません。いかにもいい空気感がありそうでいて、じっさいは全然画面に大気が流れていない、ある意味不思議と人工的な感触。
真木よう子は‥‥良くも悪くもない。


⑫『チー子とカモメ』
監督・脚本:三木聡
共演:永作博美、山崎一
(後日追記予定→別記事:追記:『チー子とカモメ』へ)


(付記:『honnin』vol.07の吉田豪による真木よう子インタビューは、残念ながら『honnin』で吉田豪がしたインタビューのうちで最もつまらないものでした。しかし、記事中の真木よう子の発言〈『ベロニカは死ぬことにした』は消したい!〉には、強く同意したいと思う。真木よう子が言う意味とは、ちがう意味で‥。)

(未了)

theme : テレビドラマ
genre : テレビ・ラジオ

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