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『映画芸術』423号ほか

さて最新の『映画芸術』423号(2008年春号)。
編集長が武田俊彦にチェンジして、荒井晴彦カラーが徐々に薄れてきた『映画芸術』の行く末を危惧している‥というのがこれまでの映芸ばなしの流れでしたが、今号になるともはや荒井カラーが薄い薄くないのレベルではなく、まったくの別物‥。荒井晴彦の人格は“ネチネチ芸”もしくは“ボヤキ芸”として寺脇研との対談コーナー&編集後記に大人しく囲い込まれて、誌面全体の統御には何ら関与しない。
で、一読、ほぼ何も感じない。比較的クオリティの高い文章が集まった『キネ旬』、というか相対的に良質な映画雑誌、というだけ。切っても血が流れていない。そんな雑誌。これならまだ『シナリオ』のほうが切ったら血が出ると感じられます。

だいたいこの、大判の頃の『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』みたいな表紙は何なんだろう。べつにいいけど。西島秀俊が表紙なのはともかく、この目ぢからのない写真は果たして西島ファンに喜ばれるものなんだろうか?下世話だけど、売ろうとしたら旬な話題の『靖国 YASUKUNI』あたりの題名を表紙に主要記事としてアピールすべきなんじゃないか?と色々心配。
予告編があまりに寒くて、本編観ずにクサした(そして、今後も観る気のしない)『パーク アンド ラブホテル』の熊坂出監督インタビュー。村上春樹好きとのことで、ナルホドね、というか、さもありなん、とおもう。

ところで、今号で『2000年にアングラ芝居をさがして』『目と耳のモンタージュ』『バニシング・ピンク』『ピンボケとパンフォーカス』『映画館通信』『独立単館戦線』といったお馴染みの連載群が軒並み終了とのこと。‥もしかして休刊?と編集後記をみると、〈今号をもちまして、ウェブサイト、マンスリーも含め「映画芸術」の活動から身を引くこととなりました。(略)次号より本誌の活動を支えてくれる新スタッフの頑張りに、どうぞご期待ください。そして、いままで同様のご支援をいただけましたならありがたく存じます (T)〉とありました。Tは武田俊彦でしょうから、ゴッソリ連載も終わったうえに編集長もかわるということで、相当なリニューアルになる模様。いい方に転べばいいけど‥って、「いい方」ってなんだろう‥。

『論座』前号の特集は〈ゼロ年代の言論〉。“ゼロ年代”という単語をつかうと部数がのびるのでしょうか、最近特集としてよくみかける気がする。しかしこの特集の内容はようするに「紙媒体かネットか」みたいな非常に卑近な話で、ゼロ年代と風呂敷広げてソレか‥とバカバカしくなった。(ミニコミ誌を相次いで創刊する新鋭(?)気鋭(?)の論客が、ノー天気に紙媒体の可能性を語るのと対照的に、業界の古老が語る現状分析のほうが聡明で冴えているというのは、皮肉な話‥)

映芸や『論座』だけの話ではなくて、最近、なにを読んでも心に響かない、何も感じない。ウンともスンとも思わない。病んでるんだろうか‥。『真夜中』、『monkey business』等々、新しいコンセプトの新雑誌が続々登場しているのに、読んだら読んだでいちおう、〈興味深い〉と括弧付きでおもう、そして〈‥んだろうなあ〉と他人事な言葉が続く。ようするにどうでもいいとしか感じられない。ゼロ年代的な論壇誌(?)を目指して創刊されたのかも知れない『m9』も、何も考えていないし何も提示していないし、何も感じさせない。ある立場を選択し、モノを言う、それに対して同じ感覚の仲間(読者)が集まる。それが戦略として有効だった主義の時代が終わって趣味の時代となり、言葉が外部に届かなくなった。ミニコミ誌的戦略のもつ力は、明らかに弱まって感じられます。

10年なり20年スパンで読んでいた『本の雑誌』や『映画秘宝』の購読をヤメたとき、しばらくは何だかんだ言いつつ気になっていたのでしたが、最近は気にもならなくなってきた。同じ感性の仲間にむけて、身内の言葉でコミュニケーションを楽しくとっていればそれはそれでいいんでしょう、という傍観する気分。(『本屋大賞』の今年の結果をみて、『本の雑誌』的な“知的スタンス”はとうとう形骸化して“知”が抜け落ち、怠惰な消費者の裾野がだらしなく広がっただけに終わったんだと思った。椎名誠らが「敢えて」近視眼的に言論を組織してきた〈戦略〉の果てには、近視眼的消費のみが残った。)

ミニコミのかたがたが、ペイしてるかしてないかという程度の少ない部数でも、そのパッケージで言葉を発信することに素朴に意義を感じている一方で、『映画芸術』『シナリオ』界隈の空気には(こんな小さなメディアで何を言ったって、何も変わらないし何も届かないよ)という絶望的な気分が漂う。その気分のほうが(『論座』に登場したミニコミの方々の認識より)リアルだと感じる。 届けるべきところに届かないで、同じ感性の内輪のみに届いて平和に循環しているのが現状。ってなんか暗い話になってしまいました。ただ、たとえば論壇誌の言論は内輪の共同体から外へ波及することが全く無いのに対して、映画は、音楽のように、世界言語になりうるもので、ささやかなところから信じられない程の〈外〉へと波及し、痕跡を残す可能性をいつでももつもの。その属性としての希望が、絶望的な気分にあるはずのある種の映画雑誌にも、どこか乾いた明るさを齎していると感じます。
『映画館通信』最終回、ラピュタ阿佐ヶ谷支配人・石井紫氏の文章は以下のように終わっています。〈物語もクライマックスに差しかかったその時、スクリーンの光を受けて、客席の様子がパッと眼に飛び込んできました。食い入るように画面をみつめる皆様の表情……。なんという、光景。なんという、奇跡。このイメージを糧にして、私は明日も明後日も、チャリンコを駆って、ここへ来ることが出来るのです。そして、こんな日々が長く続くことを、願って。〉


関連記事:『映画芸術』422号 2007年日本映画ベストテン&ワーストテン

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