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鹿男あをによしなど

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またつづきです。

(そもそも、地上波連ドラのサブカル化などという話は、耐用期間のあやしいジャパニーズなタームなど持ち出さなくても、〈アヴァン・ポップ〉の概念ひとつで用が足りるんじゃないかという反応も、もしかしたらあるかもしれません。
しかし、ここで自分が言いおいておこうとしているのは、最先端臭のする(抵抗の意志、的な)“精神の運動”についてではなくて、時代状況に対して受動的な対処がなされ、静かにその(ドラマ群の)表情に沈着してゆく“おとなしさ”の感触について、でした。)

さて、万城目学の小説を原作にもち、石原隆がプロデューサーに名をつらねているわけだから勿論、サブカルとメインストリームの中間という名の王道をハイクオリティでゆく奈良・ファンタジー・ドラマ『鹿男あをによし』は、今期サブカルドラマ中、もっとも成功したものといっていいと思います。

純粋に面白さで勝負すれば、『未来講師めぐる』に軍配があがるでしょうし、サブカル的濃度という面でいえば『栞と紙魚子の怪奇事件簿』に、表現の次世代感でいえば『チョコミミ』に、遅れをとっているかも知れません。
しかし、『鹿男あをによし』に漲るある種の“メジャー感”は、地上波ゴールデンでこのキテレツな物語を一定以上のクオリティで供給し続けるという困難とともに、そう易々と獲得出来るものではない貴重なものだと思います。メジャー感には玉木宏、綾瀬はるかの存在とネームバリューが大いに貢献しているのは確実ですが、考えたら玉木宏も綾瀬はるかもそして多部未華子も、必ずしもメインストリームの匂いのしない微妙な存在感の持ち主でした。

成り行きから奈良の女子高に赴任することになった理科講師が、言葉を喋る鹿に〈運び番〉という使命を託され、日本滅亡の危機回避に奮闘することになる。同時に鹿の、鼠の、狐の化身かと思われるような謎の人物たちが、彼の周囲に出没する。

そのような奇矯な物語を、括弧付きの描写――同タイプの人間群の〈共有する記憶〉に依拠した、当てこんだ、甘えた描写――に走らず、正攻法で(危ういながらも)描いてゆく。ファンタジーではあるがファンタジー風なお約束の話法、お約束のテイストに逃げずに、その都度“『鹿男あをによし』の”話法を創出してゆく。それが、ある一部のセンスにのみ向けただけの内輪ドラマに堕ちない、毅然とした凛々しい意志を体現し、ドラマ『鹿男あをによし』に凛とした清潔さを与えています。

奈良は小さいころに行った事があるはずだけど、ロクに記憶がない。また、大人になってから特に行きたいと思ったこともないから、行ったこともありません。
そんなあやうい前提で言いますが、ドラマ『鹿男あをによし』に接すると、ああこの空気、このざわめき、この光線が奈良なんだと思わされる。

こころの線が細い鹿男=玉木宏が、事態の展開するスピードについていけず、気持ちが落ち着くヒマもないままフワフワするなか、彼の周囲には、未明の早朝のような乾いた冷たい空気が張りつめている。その空気を表現する空間のつかい方、殊に光の表現が素晴らしく、あるひとつの独特な土地に、玉木宏とともに我々視聴者も一緒にいるんだ‥と感じさせます。

特に室内のシーンがいいですね。逆光を主体にした、妙な角度で細く弱く外界から室内に射し込んでくる白い光は、しかし静かに眩しく、深い奥行きと天井のガランとした高さを感じさせる空間設計のガランとした寒々しさは、冬特有の空気が乾いたさまを体感させます。
たとえば校舎内の、廊下に上階への左右二本の階段を配した縦の構図は、通常のドラマでよくみる構図よりカメラを引き、奥行きと広々とした空間を強調していて、そこに大気が存在していることを意識させます。そして玉木宏や綾瀬はるか、佐々木蔵之介の下宿する下宿兼小料理屋の建物がまた天井が高い。一階は食堂や炊事場や玄関が一望出来そうな奥へ横への広がりをみせていて、同時に二階への階段が視界に入り、二階は吹き抜けの空間を挟んで玉木宏の部屋の窓と綾瀬はるかの部屋の窓が向かい合うという映画的というかラブコメ的配置。その就寝するためだけにあるような部屋には深夜、窓の遥か上方から乾いた大気を裂いて月光が煌々と射しこむ。

その独特の静かな大気の手触りと、奈良で出会う人々の、ほんのり優しいがどこかコミュニケーションの取りきれない不思議に飄々としたさまは、異郷に迷いこんで不可思議な運命に遭遇する主人公の感情のたゆたいに同調し、じつに自然な気持ちで私たちをファンタジーの世界へいざないます。

しかし、そのように静的な凛とした不可思議な描写(対話時の真正面カットバックもいい味が‥)が素晴らしい反面、動的な演出はけっこうマズくて、鹿のモニャモニャした動きには“なんちゃって”の甘えがあったし、大和祭の剣道のシーンなどはアクションのみならず観客の描写も大味で、おおいに白けてしまったのでした。
同じように物語の舞台である土地の精気と空気を感じさせ、秋から冬にかけての弱い光と大気のなかドラマが進行してゆく『僕の歩く道』(アソシエイトプロデューサー石原隆)では、描写の突出によって物語が解体してゆくのに対して、『鹿男あをによし』のばあい、あくまで律儀に物語を中央に据えて語りつづける大人しい“お行儀の良さ”があって、それがこのドラマになにか凡庸な、クスんだ印象を与えていて、突き抜けて話題作になる、そういう機会を逃した感はあります。

キャストについては、児玉清が最悪で、『ドリーム☆アゲイン』に引き続き、惨憺たるありさま。(特別出演)みたいな甘えた演技でお茶を濁すのはやめてほしいと思う。
『夜のピクニック』や『ルート225』などで、映画ファンにはとうに有望な新鋭女優と見られていた多部未華子が、連ドラ『山田太郎ものがたり』で平板で愚鈍な女をショッパく演じているのをみて、資質にあわないこんな役で名を知られてもしょうもない!!と心を痛めたものでしたが、『鹿男あをによし』では独特な透明感ある適役を好演。自己顕示欲が前面に出過ぎていて心理の底が浅くみえる田中麗奈あたりには出来ない演技だと思います。
ということで、多少何かしら瑕があったにしても、『鹿男あをによし』は志高く、魅力的なドラマだったと思います。

それと比較すると、『栞と紙魚子の怪奇事件簿』は、じつに〈小劇場演劇〉系のテイストで“諸星大二郎”といういかにもな題材をセンスよく処理するという、島宇宙化を前提とした安心しきった作劇。井口昇、南沢奈央、毛皮族の江本純子、AKB48の前田敦子等という組み合わせはあらかじめ〈共有サブカルチャーの記憶〉をアテにし、あとは「気のきいた」「センスのよい」ところでだけ勝負すればいいという、一見破天荒にみえて実はハードルの低い勝負を試みているドラマだと思う。正直、たいへん面白いんですが、面白いわりにはこのような戦略にそれほどの困難はみえないことから、このテのものが今後続々と増えてゆく気がします。BSーi『恋する日曜日 ニュータイプ』主演者だった南沢奈央の地上波連ドラ初主演作なので、是非ヒイキしたおしたいところでしたが、冷静に考えたら自分は彼女をあんまり買ってないのでした。

『腐女子デカ』、『コスプレ幽霊 紅蓮女』も同系統の深夜ドラマで、バカにしてというか油断していると意外と不意を突かれるくらいの、じゅうぶん充実した面白さをもっています。小劇場風味のある『腐女子デカ』より、野暮ったくていかにも〈ドラマ24〉枠らしい温かみのある『紅蓮女』を上位にしましたが、たんに好みの問題かもしれません。近ごろすっかり見飽きてウンザリしていた高部あいの演技を見たくない気がして、観るか観ないか最後まで悩んだ『紅蓮女』でしたが、観たらみたでやっぱり抜きん出た存在感があると認識。

さて、サブカル化への対処として、最も浅はかな例では『佐々木夫妻の仁義なき戦い』が挙げられると思います。そしてある意味、これはこれで現在を象徴する代表的なドラマだということも出来ます。

稲垣吾郎と小雪の夫婦がいる。夫婦ともに弁護士、性格が対照的で衝突続き、婚姻の絆は崩壊寸前の危機。そこに持ち込まれる事件やトラブルの解決を通して、夫婦とは何か、異なる人と共に生きるとはどういうことかという問題が改めて照射されるという寸法のドラマです。

日曜劇場のこの枠はおおかた、男女の絆、夫婦の絆を主題に据えていて、男女(夫婦)ふたりでこの枠のドラマをみながらアーダコーダと自分らの関係についてとるに足りない会話を交わす。そのようなコミュニケーションのためのツールという効能があります。その点からいえば、ここで展開される「価値観のちがうふたりが一緒にいること」についての言説は、じゅうぶんその任を果たすし、ある種の感慨をもたらす力も有しています。

しかし、W弁護士、佐々木夫妻の関係と法的トラブルの二重化した描写、極端なキャラ付け、過度に意匠にはしる映像やナレーション、といった過剰なガジェットは、いかにもサブカルふうな「傾向と対策」による過剰さで、そして、不要。いちいちのキャラクターにプロレスラーの名が冠せられ(小ネタ、目くばせ)るのも、主題を浮き立たせるわけでもなく表現する話法の楽しさとして表れるわけでもなく、ただ単に余計で不純なものにしか感じられません。芯のところにある、古めかしいがハートのあるものが、面白くも何ともない浮ついた意匠によって濁って映る。ぜんぜんアマチュアレスリングを分かってないいい加減で面白くもないレスリング場面を何度も見せられて、このドラマの作者たちの誠意を信じるのはかなりの困難だとおもう。

(つづく)

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theme : 鹿男あをによし
genre : テレビ・ラジオ

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