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②風

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『気球クラブ、その後』


(→〈〈2007日本映画ベストテン〉選出理由その①〉からのつづき。
〈2007年日本映画ベストテン〉のリストはコチラ)


それでは続いて、②~⑨についてざっと振り返りたいとおもいます。

『くりいむレモン いけないマコちゃん』
レズネタだという以外、特に原典との共通点はないほぼオリジナルの物語。一体、これのどこがいけないマコちゃんなんだあ~というオールドファンのブーイングが聞こえてきそうですが、大むかし平野俊弘ファンだったし垣之内成美ファンでもあった自分がノー問題なのだから、何の問題もないということにしておきたいと思います。(あんまり自慢になりませんが、オリジナルはノベライズ版まで読んでます。ふつうにストレートに実写化したら、まんま井口昇みたいな映画になるかも。)
荒涼とした風景に風が吹きすさぶ世界、人がゆっくりと消えてゆく。まるで『回路』(00)か『大いなる幻影』(99)か、注目の新鋭・保坂大輔監督の新作はなんと永森裕二/AMGの元で実現。このような題材でも保坂大輔らしさがキッチリでた、幸福な作品だとおもう。性差も恩讐もこえてなされる屋上でのキスの交換等、ささやかな飛躍が映画をみる喜びを届けてくれます。

『国道20号線』、⑥『ラザロ』。このようなかたちで〈現在〉と切り結ぼうとする心意気。逆に⑦『人が人を愛することのどうしようもなさ』は、時代に流されないというか我が道をゆく石井隆の心意気。正直何の興味も持てない喜多嶋舞という「女性」の一挙一動に、次第に釘付けになってゆく凄さ。実は、なんだかんだと石井隆を応援しつつも、たぶん『夜がまた来る』(94)あたりまでは、“映画ファンあがりのアマチュア監督”に対して、あそこは良いけどあそこはヤリ過ぎとか、どこか傲慢ながら上から目線でみていた部分のある自分がいたように思う。それが自分の中で変わったのは『黒の天使vol.1』(98)『黒の天使vol.2』(99)連作あたりからでしょうか。偉大な優れた映画作家のフィルモグラフィをフィルムセンターやシネクラブで追うようにして、その一作一作に接している自分に気づく。
『人が人を~』は、エロ表現の映画史的更新としても記憶に留めたい作品ですが、今回も「不吉な予感」の描出力が、相変わらず天下一品だなあと感じさせられました。

『気球クラブ、その後』は誰がみたって素晴らしいと思わせる青春映画。『恋する日曜日』の一編と言っても通るような、リリカルで愛すべきプログラムピクチャーの小品然とした佇まいがいい。園子温の絶好調はつづく、『エクステ』も良かったです。しばらくは、毎年2~3本ずつ園子温の新作をコンスタントに観たいですね。蜷川某なんぞではなく、園子温にこそ吉高由里子の初主演映画は撮ってもらいたかった。

『機械じかけのRQ』、安藤尋のものとしては、力作『僕は妹に恋をする』よりコチラをとります。サイボーグみたいに完璧なレースクイーン(亜紗美)。実は、彼女はアンドロイドだった。というアホみたいな話が、重く、息詰まる、生真面目な安藤印のタッチが、ここでは(その生真面目さがかえって幸いに)オカシミに転化し、飄々とした闊達さで「苦いコメディ」が実現されています。これまでイマイチ乗れなかった亜紗美でしたが、この役は良かったですね。面白ゼリフが多々あって、その発声も可笑しかった。「汗ト匂イハ手二入レマシタ。ダケド、アイ、ガ、ワカリマセン。アイ、ハ、ソノモノノ価値ヲ認メ、強ク惹キツケラレル気持チ。可愛イガリ、イツクシムココロ、デス。気持チ、ッテナンデスカ?ココロ、ッテナンデスカ?アイ、ヲ、シテル、トハ、ドーユー状態ヲ示スノデスカ?」とか、「アイ、シテマスカ?アイ、シテ、クダサイ」とか。

『ヒミコさん』は⑤『国道20号線』とともに別記事有り。どちらも“ある種の”傑作ですが、『ヒミコさん』の位置がココなのは、受容のされかたが気に入らないため。要するにコレを軽々しくホメてる人と一緒になりたくないという抵抗感が、この微妙なポジションに『ヒミコ~』を落ち着かせる結果となりました。⑥『ラザロ』は、ゆくゆくDVD化され→レンタルor購入して自宅で消費(あるいはネットで観賞とか)。そういう現在的観賞のしかたが実に似合わない、風貌のイカツサが頼もしい。映画館で観るべき映画っていうのは、今でもまだある。そういう確信を与えてくれます。

そのへんのことで言えば、選出経緯は次項に譲りますが『恋する日曜日 私、恋した。』を⑩に選んでしまった理由も、「映画館で観る」という行為と結びついてる気がします。

場所は新宿トーア。観客は…‥露骨に関係者らしき男性と、露骨に堀北真希ファンらしきふくよかな若者(上映後、500円のポスターを購入してた)と、自分の、計3名。
30代、関係者でもなく、特別堀北真希ファンというわけでもない、ただひとりの一般的観客として、トーアの惨憺たる入りの客席に腰を落ち着ける。ふつうに映画を期待して観に来た、そのことが何故こんなに孤独で居たたまれない気持ちをうむのか。自分は何か決定的な過ちを犯しているのか。ここでこのようにして、ビュオビュオ風の吹きすさぶこの映画の風の音に包まれつつ、わたし、恋したという台詞を耳にすることと、TSUTAYAで選んで自室のDVDデッキにソフトを放り込んで観賞することとは、体験として決定的な違いがある筈だ‥。

そういえば、2007年の日本映画には、強く冷たい風が吹き荒れていた気がする。①も②も③も、さまざまな風が吹いていました。あるときは微弱な陽光の熱を奪い去るように弱くしかし冷たく、あるときは存在の意識と人と人の距離感を根こそぎ奪いさるほど強く荒れふぶいて。『叫』『魂萌え!』を遠くから想起するときに残る印象も、一塊の、一陣の風。そのような存在感が、ある時、ドワッとスクリーンを横切った。そのような印象。


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『くりいむレモン いけないマコちゃん』(07)


さて、言い残したことはまた後日に。そういえば『サイドカーに犬』に触れるの忘れてましたね‥‥。

(→選出理由③につづく)

関連記事:『僕は妹に恋をする』
       『魂萌え!』①『魂萌え!』②
       『国道20号線』
       『ヒミコさん』
       『叫』①『叫』②

theme : 2007年度 ベストムービー
genre : 映画

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