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映画『トウキョウソナタ』その1

『トウキョウソナタ』
〈2008年、日本・オランダ・香港、119分〉

監督:黒沢清
脚本:Max Mannix、黒沢清、田中幸子
撮影:芦澤明子
音楽:橋本和昌
照明:市川徳充
出演:香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海、津田寛治、井川遥、児嶋一哉、役所広司

サラリーマン・佐々木竜平(香川照之)は突然、会社からリストラを宣告される。妻(小泉今日子)にそのことを言い出せぬままにハローワークで仕事を探すも、なかなか満足いく職にありつけないまま時が過ぎてゆく。その父に頭ごなしにピアノを習いたいという希望を却下された次男の健二(井之脇海)は給食費を着服し、月謝とすることで密かにピアノを習い始める‥。


1.「廃墟」としての家庭

居間か食堂か、何の変哲もないけれども人の気配が感じられない部屋に、画面の右手から、どこか凶々しい、不吉な風が吹き、ゆっくりと新聞紙が舞う。『回路』の街角に吹きすさんでいたあの風、『降霊』では窓外の木の葉を揺らし、『LOFT』における謎の建物へ向かう道筋に生い茂る緑を靡かせていた、〈世界〉の変調を知らしめるようなあの風が(『ドレミファ娘の血は騒ぐ』の、『復讐 消えない傷痕』の、『CURE』の、『大いなる幻影』のあの風‥)、閉塞しているかと思われた室内を流れている。黒沢清の映画に吹いている“風”は、たとえそこが世界の果ての辺境であろうとも、不可視の世界/原理/構造の中枢から距離を無効にして“飛躍して”届く〈兆し〉としてあって、そのようにして突然現れる〈兆し〉は、何の変哲もなかった風景(世界の在り方)を一変させます。

嵐の訪れに薄暗く色素を失った室内の奥にはサッシの窓が半ば開かれてあり、外からの激しい雨がそこから入り込み水が居間の床をパタパタと叩いている。窓の外では、ポツポツと植えられている貧相な木の枝に張りついた葉が雨に打たれて揺れる。何の変哲もない筈の部屋が、その空間のガランとした暗い空虚さと、その床面を浸食する水によって、「廃墟」化する。
(蓮實重彦はかつて黒沢清の映画における廃墟の頻出について、〈空洞化した建築が人目を避けてどこかに残されているなら、その床一面にわずかな水を流しておけ〉ばそこに「黒沢的廃墟」は瞬く間に完成し、〈林を抜けてこの廃墟にたどりつく者がいたとするなら、その人間には「善悪」を超える権利が認められる〉だろうと『「善悪の彼岸」に』で述べています。)
単なる民家の一室に過ぎない場所が、ここでは「黒沢的廃墟」の気配をかすかに放ち出す。その廃墟化に抗うように、雨水を拭こうとしているこの家の主婦らしき女性がバタバタと画面のなかを行き来し(それはどうやら小泉今日子らしいのだけれど、人物に焦点をあわせてゆくスター化作用はそこでは行われず、厚みのある人物像として結晶しない、以後しばらくは内面も体温も感じさせないシステマティックで空虚な物体としてこの家に「いつも居る」。)、この空間のガランとした空虚感を際だたせる。

窓が開かれた、あるいは窓ガラスそのものがなく外界/世界にひらかれた居室の空間性もまた、黒沢清の映画の重要な魅惑のひとつとしてその映画(群)を形成していて、『大いなる幻影』のアパートの開放された窓と吹きわたる外気、『蜘蛛の糸』で大杉漣が棲む事務所の窓から臨む樹の緑を透過する光、『カリスマ』で刑事の役所広司がたどりつく植林作業員たちの宿舎では多くの窓ガラスが割れていて風が通り過ぎるがままになっているさまや、『LOFT』で中谷美紀が住むことになる部屋の開け放った窓から入りこむ正面の謎の建築物の物質性はこれまで、私たち観客をワクワクさせてきたものでした。そして勿論、「廃墟」もまた、窓も扉もない、内と外が無媒介的に通底する空間性の最たるものとして、黒沢清映画の多くの場面でその姿を現してきました。

前述の蓮實氏は、黒沢的廃墟を無時間的な物質の悪意が跳梁する空間と定義し、宮台真司は〈社会〉の中に突如として〈世界〉が侵入してくるときに〈社会〉の中の「弱い環」である廃墟が登場すると指摘していますが、要するに、黒沢清の「廃墟」は、雑な意味でのリアリティの観念(=世界把握)からは零れ落ちる、真に物質的な〈この世界〉の感触として、不意にぬっとあらわれてくる「他者性」として存在を観客に知覚される。時代や社会のシステムや、慣習や習慣による慣れからくる常態化に抗うようにして、私たちの怠惰な固定観念の向こう側から、システムを押し分け、一瞬で亀裂を入れてそれは立ち顕れる。そこでは、そうであろうと普段私たちが思っていたルールとは違う不可視の〈世界の法則〉が作動し、思わぬ不意の惨劇が起こりますが、それは私たちがそれまで依拠していた、心理や、時間的歴史性や、善悪の社会的な価値基準を無効にする〈世界〉の物質性が“何も媒介としないこと”、つまり〈暴力〉として顕れてきていたからだということになります。

さて、小泉今日子の蠢く家屋を襲った不意の嵐は、(黒沢清もある種の影響を受けているアッバス・キアロスタミ監督の、『友だちのうちはどこ?』での雨が、隔たった2つの地点を結びつけるように)風とともに離れた場所にある夫・香川照之のいるオフィスへと、距離を無効化して観客を連れてゆきます。
外が嵐の不穏な空気でざわざわと騒がしく落ち着かなげなこの会社(TANITA)、このオフィスでは先刻の家屋の場面とは異なりすべての窓は閉ざされ、そして白いブラインドがことごとく降ろされていて、外界を臨むことができない。ブラインドの向こうからの、暗く、そして中途半端に明るいぼんやりとした光が、射し込むとも射し込まないとも言えないような曖昧さで室内を包む。
この部屋の、妙に曖昧で不安げな宙吊り感”は、ブラインドのもつ開/閉の二重化という属性、そうして結局のところ外は見えないという特性からして、この『トウキョウソナタ』という映画のもつ「隠す/露呈する」「見る/見えない」という主題体系と響きあうようにもみえますが、それ以上に、黒沢清映画に幾度か登場するある舞台装置の感触を想起させます。

それは、窓が何らかの理由で曇っているのか、あるいは窓の外が霧に包まれているのかは分からないが、とにかく乗客を取り巻いている窓という窓が曖昧な不透明さを帯びていて外界から視覚的に遮断されている、ある種幻想的なかんじもある乗り物。『地獄の警備員』ではその冒頭、窓外が不気味にくすんだタクシーに乗った久野真紀子が通勤するオフィスビルに向かう。その露骨に抽象的な舞台装置を経由して、主人公は常人には計り知れない原理で殺戮を重ねる殺人鬼の待つ非・日常世界へと侵入してゆきますし、『CURE』の後半、まるで雲の中か異界を浮遊してさまよっているようなバスに乗った役所広司は、その反リアリスティックなバスに揺られて、やがて人知れぬ廃墟に辿り着きます。
このように窓という窓を不透明さに覆われて外界と遮断され、極度に抽象的空間と化した黒沢的な移動装置(乗物)は、我々の知る原則からは断絶した〈世界〉そのものの暴力性に遭遇する場へと主人公/観客を導いてゆく作用があります。

この妙に曖昧な不透明さで窓を覆われたオフィスは、嵐の気配に微かに振動するようにして不可視の外界の不穏さを抽象的に漂わせています。スタジオに作られた電車車両内セットのように揺らぐ気配さえみせそうなこの抽象的な“乗物”で、香川照之はリストラを宣告され、平坦な日常から転げ落ちる(以降に登場する、事実としての乗り物である屋根の開閉する自動車や出兵する長男の乗りこむバスは、その窓からの眺めは可視的で、そのような作用は生まない)。そしてオフィスからかろうじて持ち出した日常の残滓であった私物や書類の入っているらしき紙袋も、その帰宅の道行き途中で廃棄することになります。

その道行き途中でふとたどり着く公園らしき広場は、職を失った者たちで溢れており、幽鬼の群れのような彼らのドンヨリした意志なき動作からは後戻りが困難な異界の臭気が漂う。もう後戻りが出来なくなった1人の浮浪者が、新参者の幽鬼候補者に今のうちに引き返せと助言をしている。公園には椅子とも言えないようなごく低い四角のコンクリートの塊が地面からニョキニョキと幾つも生えており、人々はその椅子(?)に律儀にポツリポツリと腰をおろしている。屋外のだだっ広い空間に多くの椅子、といういかにも黒沢的な光景は、奇妙で間抜けで、魅惑のある図。

さて、世界の変調の〈兆し〉としてある“風”に吹かれ、黒沢的〈乗物〉に揺られた香川照之は、必然的に「廃墟」に辿り着くことになります。幽鬼の群れを傍らに通り過ぎた彼は、自宅近くの三叉路で偶然次男の健二(井之脇海)と合流し(ここでの、微妙な距離感の父子のやりとりが素晴らしいと思います)、ふたりは電車がすぐそばを走り抜ける場所に建つ家に共に帰り着きますが、玄関からふつうに家に入ってゆく息子とふと距離を置いた香川照之は、玄関を回避し、家屋に付随したわずかばかりの細長い敷地を右手に迂回して苦労しいしい進んでゆき、先程雨水が激しく入り込んでいたサッシから密かに居間に侵入しようと試みる。
リストラゆえの早く帰りすぎたことを妻不審がられないために、玄関を避けての居間からの侵入だという心理的説明もなくはないのですが、どう考えても庭~居間からの侵入行為はどんな理由づけをもってもより極めて不審だし、そもそも主婦である小泉今日子が、息子の帰宅時間頃に食堂と続き部屋になっている居間にいないとタカをくくるのはいくらなんでもムリがあるでしょう。香川照之は、心理的必然とは無縁に、黒沢的「廃墟」に〈世界〉の原理に従って、開巻早々に辿り着いた。〈床一面にわずかな水を流〉されて俄かに「廃墟」化した我が家に、〈林を抜けてこの廃墟にたどりつく者〉としての資格を得るためにわざわざ貧相な庭の貧相な木々をぬって(=林を抜けて)到着する。という卑小な冒険を経て。

〈林を抜けてこの廃墟にたどりつく者がいたとするなら、その人間には「善悪」を超える権利が認められる〉、だろう。たしかに『トウキョウソナタ』での香川照之は、黒沢清的な想像力に忠実な筋道をとおって、「廃墟」たる家庭にたどりつたように見えます。しかし、ここであらわれてくる廃墟は、これまでの黒沢清映画の廃墟とはだいぶ趣が違って感じられます。

“雑な意味でのリアリティ”の信奉者であるごく普通の登場人物/もしくは観客が、それとはまったく別種の世界の原理に触れ、次第に触覚的に汚染されてゆくようにして事態が推移していったとき、不意に黒沢的廃墟が顕れてくる。それが黒沢清的な世界観というか世界把握なわけですが、『トウキョウソナタ』では冒頭から既にメインの廃墟である筈の家/家庭が画面に登場してきます。そこには、幾多の黒沢清映画にあった廃墟特有の映画的かつ魅惑的な空間性もなく、そこで吹いている風には、『降霊』なり『LOFT』なりでの風にはあった有無を言わせないような官能性が、スッポリ抜け落ちています。
不意打ちするものとしてでもなく、顕れてくるものとしてでもなく、魅惑的な官能性も欠落している『トウキョウソナタ』の「廃墟」の在り方は、黒沢清の想像力の変質を示すのでしょうか。

(→映画『トウキョウソナタ』その2につづく)
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theme : 日本映画
genre : 映画

2008年夏ドラマ

キャット
『キャットストリート』


さて、もう既に次のシーズンが始まっていますが、2008年夏ドラマのまとめです。最後まで観ていたものを順位付けしてリストアップしてますが、いつも通り順番はとりあえずのもので適当です。

〈2008年夏ドラマ〉
 ①なし
 ②なし
(③リアル・クローズ)
 ④コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命
 ⑤学校じゃ教えられない!
(⑥瞳)
 ⑦ウォーキン☆バタフライ
 ⑧正義の味方
 ⑨恋空
 ⑩ナツコイ
 ⑪キャットストリート
 ⑫33分探偵
 ⑬魔王
 ⑭大好き!五つ子2008
 ⑮太陽と海の教室
 ⑯四つの嘘
 ⑰打撃天使ルリ


『モンスターペアレント』、『ロト6で3億2千万円当てた男』、『シバトラ 童顔刑事・柴田竹虎』、『ごくせん』、『ヤスコとケンジ』は途中で挫折。『ゴンゾウ・伝説の刑事』はやっぱり観ておけばよかったかな~とほんの少し後悔。
印象に残ったのは戸田恵梨香と、そして桐生の風景(『恋空』『ナツコイ』)。2008年の夏ドラマは、ここ数年で最も低調なシーズンだったと思います。その前の春期も低調で、それでも中では『ROOKIES』を最善としましたが、今期はより低調で他人に推せるものがありませんでした。そのなかでは個人的には好感をもっている2本、『コード・ブルー』と『学校じゃ教えられない!』をいちおうの収穫だとおもっていますが、正直、『学校じゃ教えられない!』についてはコレを擁護してその良さを説得的に話をする自信があんまりない‥(この2本と『恋空』、『瞳』は別記事で触れたいと思います)。

最も期待していた『正義の味方』、第1話をみたとき、この演出のテイストじゃ1クール保たない感じがするけどどうするのかな?と心配していたらどうもしなかったみたいで、案の定、後半は息切れぎみで、興味がグングン薄れていきました。
いざフタを開けてみると、聖千秋の原作へのリスペクトなど感じられず、ただ“悪魔のような姉”マキコさんのキャラクターに山田優を当てはめたらイケるんじゃないか、虐げられて右往左往する妹・容子が志田未来にハマるんじゃないか、というキャスティングありきな発想で作られただけのようだったので残念。ただ、『正義の味方』じたい、聖千秋の長編のなかでは最も面白くないもののひとつなので、あまり大仰なことも言えませんが‥。(あと本郷奏多がフツーに軽やかなイケメン、という配役にはどうも違和感が。それと、痩せた中村静香、ってどうなんだろう?)

そんな寂しい気分のなかで見た、香里奈主演の単発ドラマ『リアル・クローズ』には、心洗われました。ファッションに疎い女子がファッション業界真っ只中へ、というどうということもない話(『プラダを着た悪魔』のパクリ的な批判があるようですが、元々アレがそんなにオリジナルな話か?)なんですが、原作者である槇村さとるの作風の“どこか生真面目な、あの感じ”がちゃんと濃厚に漂っていて、ドラマ版『おいしい関係』なんかもただのトレンディードラマで槇村さとる度ゼロでしたから尚更、嬉しかったというか溜飲が下がった。どこか器用になれない、ギクシャクした香里奈のパーソナリティも、槇村さとる的な生真面目さと相性が良かったとおもう。入れかわり立ちかわり登場する衣装の数々も眼に楽しく、ごくふつうにあっていいドラマだと思います(能瀬3姉妹の共演ということで若干の話題を呼びましたが、次女えれなのトンデモナイ演技はある意味最大の見所かも)。これを水準作として③の位置に置き、ボーダーラインとすることで夏期ドラマへのイヤミとしたいかんじ。

一瞬で解決するイージーな事件を、探偵がなんだかんだと難癖をつけて毎回放送時間の33分間いっぱいに引き延ばす『33分探偵』は今期の典型的なサブカルドラマ。ですが、堂本剛主演の深夜ドラマ、ということでターゲットの知的水準に合わせたと思わせるような共感的文化圏で紡がれる“ユルさ”は、これまでのサブカルドラマには幾らかはあった尖ったところがなく、その微温的平和さにはある種の魅力があります。この程度のメタフィクション性に知的刺激があるなどと考えるのは、無理して論じて意義の有無を判定したい年長者だけで、中心的視聴者たちにとってはそんなものは“くすぐり”程度の価値の小ギャグのうちのひとつ過ぎず、フラットな気分で消費しているんじゃないでしょうか。冴えてること/ハイブロウであること/センスがいいことを必ずしも志向しない‥‥現在的サブカルドラマは新たな段階に入ったのか?

北乃きい、岡田将生、吉高由里子、濱田岳、山本裕典、谷村美月、冨浦智嗣、鍵本輝、前田敦子、賀来賢人、中村優一、忽那汐里、大政絢と、若手に限ってもなかなかの豪華キャストを集めた『太陽と海の教室』(頭の悪いドラマ‥)、驚くほど誰も輝かず、終わってみれば順当に吉高由里子のひとり勝ち。陳腐な台詞さえ吉高由里子が口にすると輝きを帯びる(この稀有な作用は、絶頂期の大後寿々花には為せたことでしたが、現在の大後寿々花は嘘のようにダメですね)。このテのものが所詮若手のショーケースという役割だとして、殆ど存在意義がなかった残念な連ドラでした。

じつは若手の豪華さということでいえば『キャットストリート』はそれ以上かも。谷村美月、勝地涼、黒川智花、木村了、石黒英雄、高部あい、荒井萌、田中圭といったナルホドと思える面々を要所要所に(『太陽~』に比べて的確に)配し、峯岸みなみ、小野恵令奈といったAKBの人たちもぞくぞく(チョイ役で)登場となれば配役の豪華さは途絶えない。
しかし、TBSドラマ版『花より男子』の場合にはエンタメ加工で原作の辛気くささの脱臭に成功したのに対して、このNHKドラマ版『キャットストリート』からは生真面目な“神尾葉子臭”が漂う。『リアル・クローズ』はそこを褒めといてナンですが、『キャットストリート』の場合はそこがつまらなく思えるのは、単に原作者に対する好き嫌いの問題なんでしょうか‥脚本の浅野妙子ともども、彼女らの描く“深刻さ”には、(現在的問題の)どこか浅はかなネタ化に見えてしまう。中盤の丁寧な語りに比べての後半の急ぎっぷりは空転に空転を重ねて失速、流行り(?)ネタを集めた絵空事に感じられて急速に興味も減退した。
そして若手のショーケースとしては、誰もが誠実に順当に演じていて、あまり驚きがない。谷村美月はいつまでも『カナリア』の印象は超えられず、注目していた石黒英雄は全然ダメ(だったら、男子ではチョイ役でしたが馬場徹がなかなか良かった)。で、一見引き出しの少なそうにみえる高部あいが、じつは多彩な演技で新たな面を見せることが(いつもながら)出来ていたと思います。

しかし、個人的には以上のようなことは本当はどうでも良くて、『キャットストリート』というドラマへの印象は:『がきんちょ  リターン・キッズ』の続編として自分の胸に迫った。
2年前の夏期のTBS系昼ドラとして一部で人気を博し、続編待望の声も高かった『がきんちょ~』は結局続編は制作されなかったのでしたが、その面々が『キャットストリート』で地味に再会していて、どこか地続きな世界でワクワクした。

『がきんちょ~』では美山加恋演じる夏川モモが人気チャイドルで、モモの相方がぬけたアイドルユニット「ぱれっと」の追加オーディションがコマチ/鈴木理子の住む田舎町で行われ、ある策略からモモは相方にコマチ/鈴木理子を指名する。そして以後スター・美山加恋は芸能人もどきとなった鈴木理子を振り回してゆくのだが、その鈴木理子の幼なじみ・タカユキが深澤嵐。そしてモモ/美山加恋には友達と呼べる相手がいない‥。その3人が『キャット~』で再会した。天才子役としての才能を遺憾なく発揮する恵都/美山加恋が、アニーもどきの『サニーデイズ』なる舞台で“元気がとりえ”でダメダメな奈子/鈴木理子と舞台を共にすることになる。芸能界という舞台設定、ダメダメ→鈴木、スター→美山という構図も共通していて、しかもスターすぎる美山加恋には友達がいないのだ。ただ、『がきんちょ~』と違うのは深澤嵐が鈴木理子側でなくて美山加恋の幼なじみだという点。
さて、そんな美山加恋と鈴木理子が友人関係を結ぶ。
鈴木理子「友達になってくれる‥よね?」
美山加恋「いいよ。私、学校に友達とかいないし‥」
こうして美山加恋は素直な善意をもって鈴木理子を励ましつつ共に頑張ってゆく。素直になれないモモとは違うが、ある種の友情をもって何かを成し遂げようと進んでゆくのは一緒だ。そして迎えた公演初日、昼公演を無事乗りきった鈴木理子を祝福する美山に、爆弾を炸裂させる鈴木理子。「‥お礼言って欲しいの?あげないよ‥なーんにも。友達1人もいないなんて、キモチワルイひと!」‥『がきんちょ~』からの弱々しい鈴木理子のキャラの流れで観てきた『がきんちょ』ファンにとっては、強烈な凶悪さだったと思う。こうして美山加恋は再起不能に。この鈴木理子側からの反撃を、2年に及ぶ“溜め”としてみると、趣深い味わいがあります。

(『ウォーキン☆バタフライ』、グリングリン長い身体をくねらせ、鈴木則文の青春映画の主人公のように顔面いっぱいに感情を表現する、中別府葵の振り切った演技の爽快さ。女子がプロレス好き、という設定が寒くなかったのは、ほんとうに珍しいことだったと思います。)


関連記事:ドラマ『がきんちょ  リターン・キッズ』

theme : テレビドラマ
genre : テレビ・ラジオ

映画『Girl's Box ラバーズ☆ハイ』参考メモ(後)

以下がまず、前記事であげた資料等を日付順に整理したもので、そのあとで説明文を書きます。

〈映画『Girl's Box ラバーズ☆ハイ』撮影状況〉
(7/12クランクイン~8/1クランクアップ)

7/10火 ホン読み
7/11水 金魚『LOVERS HIGH』リリース/19:00~東京FMラジオ出演「ワンダフルワールド」@渋谷スペイン坂(金魚)
7/12木 クランクイン、(ウォーターフロントのロケシーン、奈々絡みのシーン中心)、雨模様、(奈央、星井、優)
7/13金 早朝から撮影
7/14土 撮影中(奈央)、(優亜の噴水脇のシーンは13日か14日のどちらか)
7/15日 撮休、「Girl's BoxTV夏祭り!!SPECIAL LIVE」@新宿FACE
7/16月 撮休、「Girl's BoxTV夏祭り!!SPECIAL LIVE」@新宿FACE/スタッフは茨城セット下見
7/17火 茨城セット撮影スタート、小木茂光登場、あいぴー&ミッチーは初日?、ガルボメンバーは朝6時に集合して行き、帰りは電車で帰って遠かった、金魚の3人はモツ鍋食べに行った
7/18水 茨城、エキストラ50名、(ナオミのショータイム→優亜アカペラ)、GBガールズ参加、森プロ殴られる
7/19木 茨城、エキストラ15名、(未来/未知のダンスシーン)、八木&金子差し入れ
7/20金 撮影(ミッチー)
7/21土 撮休、金魚『LOVERS HIGH』リリースイベント@石丸電気本店・ソフト1・ソフト2・ヤマギワソフト館
7/22日 撮休、金魚『LOVERS HIGH』リリースイベント@ラオックスアソビットゲームシティ・石丸電気ソフト1
7/23月 茨城、エキストラ80名、(クライマックスシーン)、紗綾と初めて一緒(ミッチー)、休憩時愛子ちゃんとお昼寝(奈央)
7/24火 茨城、エキストラ40名、(B計画シーン)
7/25水 第2セット撮影スタート、ミッチー奈央の弁当に入っていた蜂に刺される
7/26木 第2セット撮影、朝まで撮影、奈央~風邪&熱&咳
7/27金 撮休(?あいぴー撮影?)
7/28土
7/29日 (?第2セット撮影完了?(佐藤))/嘉陽愛子『POP』シークレットイベント/長澤奈央DVD『NAO MAIL』発売イベント
7/30月 21時撤収、朝6時~千葉の病院で撮影(恵仁会セントマーガレット病院)、昼ウナギ、撮影シーン12個、3人撮了(星井と紗綾と、秋本?)、優が昼寝して金縛りになる
7/31火 都内ロケあちこち、秋葉原ロケ(あいぴーメイドコス、チラシ配りシーン等)、ラストは新宿ロケ(金髪男との遭遇、優亜&ナオミ再会シーン前半部)
8/1水 クランクアップ。横浜ロケ、昼あいぴー&ミッチークランクアップ(回想シーン)、夜優&奈央クランクアップ(ナオミ&優亜再会シーンの後半部)。第22回神奈川新聞花火大会
8/2木 ポスター撮影

(なお、BS日テレの「Girl's BOX TV」(#18~20、#25~26)ではこの映画のメイキングが放送されたようですが未見(ミランカ版も未見)で、これからもみる予定はなく、みていれば判明した事もあるかも知れませんが、まあ別に何かが分かったり分からなかったりしたところで、誰にとっても別にどうでもいいことでしょう。)

説明~

○まず矛盾する記述から先に整理すると、25日に斉藤未知のハチ事件について、長谷部優が〈撮影中、アイピーの弁当にハチが入ったんですけど、ミッチーがハチを掴んで腫れてしまった〉とインタビューで述べていますが、長澤奈央は“私の”お弁当のヒジキにハチが入って‥とブログに書いていて、長澤奈央みたいな人が“私の”と“あいぴーの”とは記憶違いなどしないだろうから、大体ボーとしてる長谷部優の勘違いだと思う。

○オーディオ・コメンタリー(以下AC)36分頃に病院ロケは千葉か埼玉とありますが、他複数記述では千葉と記されていて、撮影協力には恵仁会セントマーガレット病院の名が(住所は千葉県八千代市上高野450)。
7/30に行われたこの千葉ロケで、佐藤監督のブログによるとメインキャスト3人が撮影終了とのことですが、オフショットスチール説明等によれば紗綾と星井が撮了、翌日からの撮影にも金魚&ミッチーが引き続き参加しているのでもう1人の撮影終了者と指されているのは病院場面に出番のある秋本奈緒美か小木茂光。両者とも7/31と8/1に撮影は無いと思われますが、3日程度しか撮影に参加していない小木さんは特別出演という扱いで、秋本奈緒美がメインキャスト扱いか?

○39分頃の小木さんGirl's Boxに現るのシーンの撮影(7/17)に対してACでは嘉陽愛子や斉藤未知が初日だクランクインだと言い、他の子たちも同意したりしていて混乱しますがクランクインは7/12で、12日にはまだロケセットは撮影出来る状態になっていない。あいぴーやミッチーにとっての初日、茨城ロケセットでの撮影初日の意味合い。

○その17日にスタートした茨城ロケは週末の金魚『LOVERS HIGH』リリースイベントを挟んで24日まで連日つづく。そこで行われたエキストラを入れての撮影の主な内容は以下のよう(人数は募集人数で参加人数でない)。

☆18日(水)50名~ショータイム→ナオミ歌→乱闘→優亜アカペラ
☆19日(木)15名~未知ダンスシーン
☆23日(月)80名~クライマックスシーン
☆24日(火)40名~B計画

19日内容は未知ログより、少人数をフレームに入れての細かい(比較的テンションの低い)撮影もいくつかあったんじゃないか。
18日はGBガールズのブログにより確定。後日の秋葉原ロケまでエキストラ参加し続けた長谷部優ヲタ・森プロ(敬称略)が当時、今は無きファンサイト『あみが一番』掲示板や2ちゃんに長澤奈央になぐられたと書き込んでいた。それがAC51分頃の〈あたしケンカの相手、優ちゃんのファンの人だからね〉という長澤奈央の言葉とも繋がる。
(森プロは撮影当時複数の掲示板によくエキストラ撮影の様子を断片的に書き込んでいて、ついでに思い出しておくと、森プロが7/31の秋葉原ロケのエキストラに参加した際、Aボーイ達がメイドコスのあいぴーをケータイで写メするカット(45:45~45:49)で撮った写メは事務所や著作権とかナシで自分で保存して良いという役得があったという。)

○23日の段階で、どうやら長澤奈央が体調をこわしているらしいという話がエキストラ参加者末端まで流れてきた。翌24日のB計画撮影日も、ACやオフィシャルフォトブック等によると熱があったとのこと。そしてその翌25日から入った第2セット(「Girl's Box」2階居住部分)撮影でも症状は続いていて、売り上げ倍増計画発表シーン@第2セットのACでも〈風邪ひいちゃって帰るとき鼻水出そうだった〉と言い、26日のブログでは〈実は今風邪を引いてて熱があります/咳も止まりません〉告白。撮影期間中、なかなか風邪が治らなかった模様が窺えます。

○佐藤監督ブログによると、7/26に明日は撮休とありその7/27にはこの日は撮休と記され、どうも27日は間違いなく撮休のようにみえる。
しかし、嘉陽愛子ブログ(07/07/27/17:26)には〈おはろ~♪♪♪/今日も映画の撮影です☆/みんなで夕食タイムだよ~(^^)v/夜もファイト!!〉とあり、あたかも27日は一日中撮影があったような記述となっていますがこれは一体??どっちかが嘘をついているのか?しかし、佐藤監督が嘘をつく理由がない。特定の異性へのアリバイ作りなどのために、撮休を撮影と言い張るならまだしも、撮影を撮休と言って何の得があろう?とするとあいぴーが?
もう一点気になるのは、嘉陽愛子ブログの写真と、長澤奈央ブログ(07/07/26/0:00)の写真がほぼ同一、ポーズは違えどフレームから細部の小物まで同じで、同一撮影者が同一時間に撮ったものに思える。ということは、長澤奈央ブログと嘉陽愛子ブログの内容は同じ日のもののはず。だけどややこしいのは、長澤奈央ブログの記事アップ時間が大体0:00であることで、その記述が他の資料と日時が合致しないことが度々あること。
で、期間を絞って検証してみると以下のよう。

8/3/0:00(ポスター撮影)→(8/2のこと)
8/2/0:00(今日2人揃ってクランクアップ)→(8/1のこと)
8/1/0:00(今日は近くで花火大会があるから浴衣着た子がいっぱいいる)→(8/1のこと)
7/31/0:00(今日は朝から秋葉原ロケ)→(7/31のこと)
7/26/0:00(みんなで夕食タイム)→(?)
7/25/0:00(今日弁当にハチが~)→(7/25のこと)
7/23/0:00(休憩時間は愛子ちゃんとお昼寝)→(7/23のこと)
7/17/0:00(今日から映画は茨城ロケ~)→(7/17のこと)

‥ということで、後半おかしくなるものの、基本的には“0:00=出来事はその日付に起きたこと”、のようで、27日の嘉陽愛子の記事は前日の写真を使ったフェイクと言えそう。27日は撮休だった。

○「ショータイム!!」@Girl's Boxのシーン(7/18撮影)中、51分頃のACで長谷部優がひとりだけなんだか黒く日焼けしちゃっていることの言い訳として使われたのが、AC12分頃の、優が噴水脇に寝て眩しかったというシーン。これらの撮影で日焼けしちゃったとのことで、茨城ロケは7/17からスタートし、嘉陽愛子&斉藤未知が合流、7/18の時点でのドス黒さは合流までの撮影にあったという。
それまでに撮影は12、13、14とおこなわれ、15&16はガルボのライブで撮休だった。このうち12日は雨模様(ロケはウォーターフロント周り、星井七瀬がらみのシーンを中心に撮影された)だったから晴れた噴水場のシーン→日焼けとはならない。ので、このシーンの撮影は13日か14日のどちらかに行われたと思われます。

以上、説明が必要なのはそんなところでしょうか。こんな整理に何の意味があるか分かりませんが、とりあえずの資料としてここにあげておきます。

theme : 日本映画
genre : 映画

映画『Girl's Box ラバーズ☆ハイ』参考メモ(前)

映画『ラバーズ☆ハイ』のDVD版がリリース&レンタル開始して早2ヶ月。興味のあるようなかたなら、もう既に観了済みだと思われるなか、断続的にアップしてきたこの映画についての記事がずっと滞ってましたが、そろそろ続きを再開したいと思います。

予定記事は、

☆その3(感想まとめ)
☆エキストラ参加体験記

ですが、その話に移るまえに、基本資料編として、以下の幾つかのテクストから撮影時の様子や情報を検証してまとめておきたいと思います。
まずDVD『Girl's Box ラバーズ☆ハイ』に副音声として収録されたオーディオ・コメンタリーから、主に撮影についてのエピソードをピックアップし、以下それを、各主要メンバーのブログ、公式サイトやファンサイト経由の情報、オフィシャルフォトブック等からの情報と照らし合わせて、撮影当時の状況を整理したいと思います。(情報の重複するテクストはなるべく省略)


①〈オーディオ・コメンタリー〉

(参加者は長谷部優、長澤奈央、嘉陽愛子、斉藤未知、星井七瀬。)

~岐阜の優亜~
 2(分)○(部屋の中で走るシーン)がすごい気に入られたみたいで、ずっと走らされていた(優)
 4○お母さん役は面白い人だった、弟役はテレ屋さんだった(優)
~東京、オーディション~
 7○(中指たてるファックポーズ、なんてやったことなくて、)どーやってやるんですかって監督に訊いちゃったもん(奈央)
~東京、優亜の宿泊するホテル~
 10○(バイト情報誌みながらの説明的な)独り言を言い過ぎて、「そんな言わなくって良いから」って言われちゃった(優)
~詐欺にかかって失意の優亜~
 12○屋外、噴水の縁で仰向けに寝ているシーン→このときホントに眩しかった(優)
~優亜とナオミの再会~
 13○ロケは新宿
 14○(金髪男役の坂田聡さん)、ずーっと1人で練習してた(奈央)
 14○(援交希望者・金髪男について)実際もしこんな人だったら私ついてっちゃうかも。だって面白くない?(優)
 15○長回しのため、看板に隠れてフレームインするためにスタンバってた(奈央)
 16○坂田さん倒したあとの歩道橋の階段降りるシーンは横浜での撮影、一番最後、オールアップのシーンで、花火大会の日だった(優、奈央)
 17○(それにつづく、ナオミが優亜にヘルメットを渡す場面で)メット投げんの、ナオちゃん超強いの、あたしの顔面当たってんの、何回も練習した(優)
~Girl's Boxへ~
 19○ポールダンス、腰にマイク巻いてたから、でっかいタンコブできちゃった、衣装の露出が大きいからマイクを入れるところないから音声さんが大変で、最終的にはブーツの中に入れた。(ミッチー)
~奈々と優亜~
 27○自分の出番は初日にだいたい撮っちゃった(七)
 28○ギターを弾いている奈々、前髪が顔にかかってる感じがいいとカントク、メイクさんは顔を出したいと意見の相違(七)
 30○(奈々が弾いていたギターを片付け、優亜の前から立ち去る場面)ギターをギターケースに仕舞うのがタイヘン、フレームアウトした先でバラけてギター落っことしている(七)
~それぞれワケあり~
 31○未来回想シーン、虐待場面で転ぶところをやりすぎてアザになった(ミッチー)
~B計画~
 34○撮影日、長澤奈央が熱あった
 34○ビールは本物でなく、お茶や紅茶とかでビールっぽい色を出した
~ママが倒れる~
 36○病院に皆が走って駆けつけるシーン、あいぴーが超遅くてもたつく、奈央は速いと言われるがゆっくりしたのにみんなついて来ないと反論、一番後ろの星井、もっと早くもっと行ってよと感想
 36○ロケは山奥の病院、千葉(か埼玉)
~小木さん登場~
 39○この撮影がクランクイン、最初の日(ミッチー、あいぴー)
 39○実はこの日は外巻きだったのを、後日内巻きに変えた(ミッチー)
 40○この日の帰りにみんな(金魚)でモツ鍋食べに行った。電車で帰って遠かった。
~売り上げ倍増計画~
 42○このセット撮影メチャメチャ暑かった
 42○風邪ひいちゃって帰るとき鼻水出そうだった(奈央)
~ギター弾く奈々~
 43○ギター振り回す場面、弦で手が傷だらけになった(七)
~秋葉原~
 45○ポーズつけて、って言われたけどどうしていいか分からなかった、「え?どうゆう?」「何すればいいの?」「どうゆうふうに使うの?」と演出に不服(金魚&ミッチー)
~ナオミ、ショータイム~
 47○何回もミッチーの「ショータイム!!」のセリフを聞いたし言わされた、きっかけに使われた
 47○撮影に4、5時間かかった。控え室に行ったらみんな爆睡してた(奈央)
 50○(客同士のケンカシーン)、エキストラの長谷部優ファンと長澤奈央ファンがケンカしてるのを見て面白がってた
 51○(ナオミもケンカに加わり)、あたしケンカの相手、優ちゃんのファンのひとだからね(奈央)
 51○ひとりこんがり日焼けしている長谷部優、合流するまでの噴水の撮影等で焼けちゃった
 54○(優亜が歌っているのを徐々に気付いてくのとか)A型の人から気付いてってください、とかやってた
 54○青山草太、いいお兄ちゃんだった、ずっと優亜の弟役の子とずっと遊んでた
~頑張る1ヶ月~
 55○(ママが病院で寝ているカットのインサート)あたしこの病院で金縛りにあったんだけど。みんながメイクしてる間に昼寝したらすっごい金縛りにあった。普段金縛りにあわないのに。そっからすごい怖くなった(優)
 59○ほとんど金髪男はアドリブ
 60○雑誌掲載に使われた写真は衣装合わせの時撮ったもの
 61○(売り上げ達成直前、皆で盛り上がるシーン)楽しかった、昼休憩のあとのワンカット目で、みんな昼寝したあとで、テンションと勢いがあった
 61○(優亜と奈々)これ撮ったのは本当一番最初だった。金髪にしていた髪を染めたばっかりであたしの髪がうねってしょうがなかった、メイクさんがストレートにならないと困ってた(優)
 62○(名刺もらうシーン)すごい朝早くて眠かった(優)
 68○歩くシーンがレンジャーっぽいって突っ込まれた(奈央)
 71○(奈々の説得)この時なっちゃん普通に恐かった、たぶん役に入ってたからだろうけど普通に舌打ちされたりそんなセリフ無いのに小さく「うるせえな」と言われた(奈央)
 75○(ブリブリ衣装での台詞)これに合った芝居にすればよかった(奈央)
 75○奈々からのCD、封筒&ディスクの字は星井が書いた、奈々っぽい字で、汚くしようよと監督と(七)
 76○ナオミと優亜が衣装ホメあってじゃれるシーンはアドリブ
 78○奈央ちゃんが緊迫してたからカットかかっても喋りかけなかった(優、あいぴー)
~最期の日~
 85○優、ちょっと前髪切っちゃって監督に怒られた。みんな気付かなかったのに‥
 87○優亜母セリフ、最終的に「前向いて歌わんかい!!」、テストでは「歌いんしゃい」や「歌ってみんしゃい」とか経て。(歌いんしゃいって岐阜弁あったっけなと優のツッコミ。)
 89○優亜、アカペラのラバーズ・ハイ、何度も歌った、いろんなトコロから歌った
 90○「ラバーズ・ハイ」ライブ、楽しかった~(金魚)、ホントのライブっぽかった(あいぴー)、口パクだった(優)、金魚衣装この前着たら黄ばんでた(優)
 94○(Girl's!! Box!!コール)、そんな練習してたのかあ?(七)
 94○(舞台上に全員集合のフィナーレ)私これ呼ばれてなくって、私最後下なんだーって思ってたら、あ、未来忘れてた、って監督に言われて、あー良かった上あがれてって思って(ミッチー)
 95○みっちゃんと初めて手ぇ繋いだ(七)


②〈各ブログ〉

○嘉陽愛子ブログ(愛子の日記)
 7/10 ホン読み
 7/18 撮影
 7/27 今日も映画の撮影です
 7/30 お昼はウナギ、昨日はPOPのシークレットイベ
 7/31 今日も映画の撮影、場所は秋葉原、〈メイドさんの格好しました~(^^)v〉/エキストラとして、ファンの方も駆けつけてくれました〉
 8/1 今日でクランクアップ
 8/3 昨日は、映画『GB』のポスター撮影

○斉藤未知ブログ(未知ログ)
 7/18 映画の撮影で茨城にいます
 7/19 撮影、〈みちはダンスのシーンがあったので大変!!!〉
 7/20 今日も撮影
 7/23 またまた茨城にいます、今日は初めて紗綾ちゃんと撮影一緒
 7/26 撮影の待ち時間中。昨日の撮影の休憩時間に生まれて初めてハチに刺されました
 7/30 今日は映画の撮影で千葉にいます(^^)v/ちなみに長澤奈央ちゃんと嘉陽愛子ちゃんは朝6時からすんごく元気でしたぁ
 8/1 クランクアップ
 8/2 昨日クランクアップしたけど今日もみんなで撮影でした☆

○長澤奈央ブログ(NN Blog)
 7/10 ホン読み
 7/12 クランクイン〈今日は久しぶりに星井七瀬ちゃんに会ったよ〉
 7/14 今映画『GB』の撮影中
 7/17 今日から映画は茨城ロケ/朝6時に集合して行きました〈他の共演者の方より撮影が先に終わったから今日は電車で帰ります/三人(金魚)で電車に乗るのは初めてちょっぴり遠足気分です〉
 7/19 今日は現場に八木監督と脚本家の金子二郎さんが差し入れに(どら焼き)
 7/22 明日からまた映画の撮影
 7/23 撮影、休憩時間愛子ちゃんとお昼寝
 7/25 今日私のお弁当のヒジキにハチが入ってしまってみっちゃんが退治してくれました/でも‥‥/そしたら…/みっちゃんがハチに刺されちゃったの
 7/26 今日は朝まで撮影 朝までコース〈実は今風邪を引いてて熱があります/咳も止まりません〉
 7/29 DVD『NAO MAIL』発売イベント
 7/30 ロケのお昼はウナギ
 7/31 朝から秋葉原でロケ。夜も撮影がある
 8/1 今日は近くで花火大会がある
 8/2 クランクアップ 終わりました/最後に残ったのは私と優ちゃん。そして今日2人揃ってクランクアップしました
 8/3 ポスター撮影

○佐藤太(佐藤太の監督日誌)
 7/12 クランクイン 雨に悩まされたけど 明日早朝から撮影
 7/15 今日と明日は撮休、明後日から茨城ロケ
 7/16 Setの下見に茨城へ、明日よりここで本格的に撮影
 7/22 撮休〈明日は超重要シーンの撮影。全出演者が揃い、100人以上のエキストラと「熱い芝居」を〉
 7/26 昨日から二つ目のSetで撮闘/明日は撮休
 7/27 撮休
 7/29 二つ目のSet撮影無事終了、明日は千葉にある病院で一日中撮影、明日でメインキャストの内3人が撮了
 7/30 〈21時完全撤収〉〈朝メシは7時までの出発時間の場合のみに出される〉
 7/31 久々の都内ロケ、今夜のラストは都心部での大ナイター撮影(金髪男登場のシーン)。明日はついにクランクアップ予定

○わかな(GBガールズ)ブログ(WAKANA☆Magazine)
 7/18 朝からガルボの映画撮影

③〈その他〉

○エキストラ募集概要
Girls’BOX映画エキストラ急募
2007年7月18日(水)、19日(木)、23日(月)、24日(火)
撮影時間:AM9時~20時の間で撮影
場所:茨城県常総市内
(略)
対象者:20歳~40代の男性
募集定員:18日(水)50名
19日(木)15名
23日(月)80名
24日(火)40名

○『Girl's Boxラバーズ☆ハイ オフィシャルフォトブック』
:インタビュー
〈撮影中、アイピーの弁当にハチが入ったんですけど、ミッチーがハチを掴んで腫れてしまった〉(優)
〈毎朝、連絡網でモーニングコールをして起こしあった〉(奈央)
〈ライブシーンでファンの方がリアルな合いの手を入れてくれた〉(あいぴー)
〈カクテルの作り方はプロの方に教えて頂きました。でも二時間くらい…。あとは家で自主練習(略)何色ものカクテルをいっぺんに作るシーンは本番の一回で成功出来たんです!(略)でも瓶が重くて次の日に筋肉痛になりました。〉(ミッチー)

:オフショット、スチール(モノクロ)&解説
1&2&3〈こちらは嘉陽愛子さんと斉藤未知さんがクランクアップした記念写真。衣装を見ればどこのシーンを撮影したかは分かるはず。〉(あいぴーJK制服、ミッチーワンピース、長澤奈央OL姿)
5〈紗綾さんがすべての撮影を終了させた時〉(白ワンピ、Gジャン、無機質な廊下)
6と7〈(星井七瀬さんのクランクアップ時)(病院の、患者さんがいない病棟)

以上がだいたいの資料。‥なんか思ったより字数が足りなくなったので、次項(→コチラ)につづきます。

theme : 日本映画
genre : 映画

ドラマ『キッパリ!!』打ち切り‥

昨夜、加勢大周が大麻所持などにより逮捕されたというニュースに接した瞬間には、それほどのショックは感じませんでした。
そもそも加勢大周じたいに興味をもったこともほぼ皆無、だいたい「加勢大周」という言葉も初めて記してみて加瀬じゃなくて加勢なんだ~と知ったくらいどうでもいい存在で、自分としては石井輝男監督のあの素晴らしい『無頼平野』に出演したことがあるという一点においてのみ、肯定的に認識しているというだけで、その罪の内実ともども、じつに何も感じることのない対象なのでしたが、
メインキャストをつとめる昼ドラ『キッパリ!!』はどうなるんだ?と気付き俄然他人事じゃなくなった。

で、第2話の予告編に加勢大周が顔を見せていた深夜ドラマ『トンスラ』(吉高由里子、温水洋一主演)の場合は、まだ対処を検討中だということですが、第1話を観たかぎりの印象だと、一視聴者としては「別に~」という程度の出来の有りがちなサブカルドラマだったし、メインはあくまで吉高&ぬっくんなわけで、たとえ第2話が欠番になってもそれほどの痛みはない。しかし、『キッパリ!!』の即時打ち切り、という処置は、いかにも厳しいとおもう。(今日以降は前作(『キッパリ!』、こっちには加勢大周は出ていない)の再放送(10月6日に前半をダイジェスト版で放映後、10月7日より後半を順次再放送)で次シーズンまで間をつなぐのだそう。)現在、この仕事がここ数年、最大級のものである奥山佳恵にとっては、たまったもんじゃないでしょう。(仕組みはよく知らないけど、打ち切りに伴うギャラ等の問題があって、責任はないのに被害を被ったメインキャストをおもんばかって(そんなに面白い訳でもない)前作をムリヤリな形で再放送するということになったのでしょうか?)

去年、前作『キッパリ!』放映時に少しだけ感想を言いましたが(→コチラ)、平凡な主婦・君塚マミ(奥山佳恵)が〈今までのだらしない自分と「キッパリ!」決別し、模索しながらも家族と共に日々成長していく〉という主旨のこのドラマはしかし、開始早々に的場浩司演じる夫・洋平の隠し子騒動が勃発し、当の疑惑の少女・ヒロカちゃん(田中明)が同居しだすあたりから雲行きが怪しくなり、結局ヒロカちゃんが主人公のドラマとして終了、いったい当初の狙いはどこにいったんだという不可思議なドラマだったのでした。

なので、こんなドラマに続編があるなんて考えてもいなかったのに、誰が望んだんだか第2弾『キッパリ!!』が無事スタート。ヒロカちゃん/田中明は姿を消し、前作で大所帯化した賃貸マンションで今日も元気に暮らす君塚一家。そこへ、隣に引っ越して来たのが君塚さんちのマミさん/奥山佳恵のかつての初恋相手の“クローバーの君”ことシンちゃん/加勢大周がご登場!!この話と、洋平/的場浩司のリストラ話が二本柱で話が進んでいくわけで、脇役とはいえメインキャスト、なんとなくフェードアウトなんてふうな処理は無理だから打ち切りなんでしょうか。代役というテもあるでしょうに(どうせあちこちで、代役は坂本一生にしたらいいとか冗談めかして言われてるんだろうけど)、この処置により世界観が断絶したこのシリーズを以降も続けていくことが困難になってしまったことは、何とはなしに物悲しい。
シンちゃん/加勢大周の息子・シンタローくん/大隈祐輝が抱いている制服へのこだわりのわけや、洋平/的場浩司の転職先である〈竹の子塾〉に通う、ひと言も口をきかない陰のある少女・アンナちゃん/尾本侑樹奈(先ごろの『ママの神様』では、明るくおしゃまな女の子・エリカちゃんを演じていたのに随分と雰囲気が違う)の哀しみの理由といった、いい加減忘れられてるんじゃないかと心配になり始めていた伏線がようやく回収されようとしていた矢先だったのに‥。

もう『キッパリ!』シリーズに触れる機会もないと思うので思い出というか感想を言っておきますが、前作と同じように今回の『キッパリ!!』も、最初のほうではキッパリ生きるための秘訣やら節約の知恵の披露やらの物語的な準備が進んでいましたがいつの間にやらテーマなどどっか行っちゃったみたいで、ひたすら優柔不断な登場人物たちが右往左往する地味な展開に。主題があってそれに沿うように物語がすすむわけではなくて、マミやその友人たち、マンションの詮索オバサンたち、君塚さんちの祖父母に子供たち‥既存のキャラクターたちが普通に悩んだり頑張ったりするだけの、何だか“みどころ”を探すのが難しい、一種珍妙なドラマにまたしてもなっていました。

何しろ善良だけど飛躍したところのない登場人物たちなので、彼らは物語らしい物語を前進させることなく日々のささいで鈍重な悩みに忙殺されてノッタリクッタリ日常がつづく。そのなかで、何ともないがどこか味わい深い生活の細部が楽しい。
君塚さんちの姉弟、シオリ(岡田千咲)とシュウのケンカがまずいいですね。憤慨するシオリちゃんのハードヒットなケンカぶりが可笑しく、フテた憎々しい表情が印象的。シリーズ全般、シオリちゃんが何かにムカついてる時が一番ドラマ的に充実していたと思う。シュウにはクラスに好きな女の子・マリコちゃん(重本愛瑠)がいて、その子の机のほうを振り返ってニタニタ笑っているシーンが何度も何度も何度も出てきて、あまりにも何度もおんなじシーンが繰り返されるのでイライラを通り越してだんだん頭がクラクラしてきていたのも今となってはいい思い出だ。老けたけど案外パサついていない吉野紗香の息子役だった子役・飛永翔くんの、何だか韓流っぽい演技もツボだった。

さて問題のマミさんの初恋相手だった加勢大周、彼は暗い近過去を引きずりつつ主人公たちと接することで頑なな心が次第に和んでゆくというわけですが、何しろマミ/奥山佳恵の基本的人格が相当鈍感で何事も気にしなすぎる性格なので、加勢大周のウジウジは物語的に空転してさっさとスピード和解、君塚家のムードとペースにハマってしまい、物語素は使い果たして単なる良き隣人化。マミに惹かれていっている彼のほうはともかく、マミさんはいつも洋平/的場浩司を信頼しきってパパ~パパ~とニコニコラブラブしてるので、初恋相手との再会というネタ自体元々キャラ的にムリがあったし、そのパパに言い寄ることになる吉野紗香の話も、洋平/的場浩司はどーせよろめく訳もない生真面目なキャラなのだから単なる話数稼ぎにしかならない。ので、どんどんどうでもいいキャラと化していった途上だったのでしたが‥。加勢大周の最後の台詞は、結果的に最終話となってしまった25話終了後に流れた次回予告における「ありがとう」、だった。


さて、この昼の13:30~14:00のドラマ枠は前作の『ナツコイ』までずっと〈ドラマ30〉という名の枠だったのが、今回の『キッパリ!!』から新たに〈ひるドラ〉という枠名に変わったのでしたが、その途端にこの逮捕→打ち切り騒動‥。ここはひとつ次作から元の〈ドラマ30〉に名前を戻したほうがいいと本気で思います。

(追記:『トンスラ』第2話、加勢大周の出演していた場面は羽場裕一が代役に立てられ、新たに撮り直されて無事放映されました。)

theme : テレビドラマ
genre : テレビ・ラジオ

ドラマ『ROOKIES』その3

ルーキーズ 5
『ROOKIES』


ドラマ『ROOKIES』その2からのつづき→)

4.ROOKIES(つづき)

『ごくせん』(的作品)の作劇が、そのように閉塞してゆく内向きのベクトルを有しているのに対して、『クローズZERO』的作品である『ROOKIES』の作劇は、どのようにして閉塞を逃れようとするのでしょうか。

ドラマ『ROOKIES』は当初、放送回数未定、として放映がスタートしました。近年では、1クール10話前後でまとめるのがごく通常の連ドラの作法ということになりますが、できることなら原作24巻分をすべて描ききるという野心のもと「未定」という予定でスタートがきられたこのドラマは、それ故、ある種の緊張状態を持続しつづけながら放映を重ねることとなったように思えます。
通常であれば、10話前後の戦略を練り、そのなかで多少成功しようが失敗しようが、3ヶ月という緩やかなワンシーズンを視野においてそれなりに過ごしていければいいでしょう。スタッフやキャストには、テンションや才気や技術や感情の出力に関して、3ヶ月をそれなりに有意義なものとして生きてそして次に繋がるものになればいいというような気分の「ペース配分」がどうしたって生じるだろうし、そこでは、弛緩してみたり集中してみたりと濃淡のある日常が生きられてゆくでしょう。
しかし、土8という“死に枠”でのスタートに加え、バレー中継での度重なる中断も当初からもちろん予定にはいっていただろう状況下で、「未定」をどこまでも先に引きのばすという目標をもつ『ROOKIES』というドラマに参加しているスタッフやキャストにとって、そのような“流す”日常感でこのドラマに関わっていくことは即、不正義となるでしょう。

こうしてドラマ『ROOKIES』は、常に最終回と背中あわせの、不断の更新としての放映を重ねてゆくことになる。資金がいつ尽きるか分からない自主映画制作において、順撮りしつつ、ワンショットごとにラストカットを更新していくかのように、『ROOKIES』というドラマは1話1話更新されているという感触があります。
そうした場合、ストーリー漫画である『ROOKIES』のドラマ化においては、クライマックスから逆算する形で作劇を行い、その理路の節々のパーツを埋めてゆくといった『ごくせん』的作品の作劇手法は無効となる。ここでは、逆算的な遡行としての説得の積み重ねではなく、一歩一歩地面を踏みしめながら歩を進めるような順撮り的な説得が試みられることになります。

野球を知らない新任の教師である川籐(佐藤隆太)が、不祥事で挫折し不良生徒として荒んでいた元野球部員たちをハートある情熱で立ち直らせ、共に甲子園という夢をめざす、という骨子の物語をもつドラマ『ROOKIES』では、イメージされるべき、達成されたクライマックスとしての甲子園出場やら優勝やら勝利やら(ましてやチームの復活すらも)から逆算した作劇により感動を説得的に喚起したりはしない。
立ち直らせる、チームに復帰させる、夢をみつける、甲子園をめざす、勝利をつかむ、といった諸々の逆算的達成事項は、順撮り的更新としてある『ROOKIES』(的作品)においては、達成されたならより良いだろう出来事ではあっても、それが最優先事項とは捉えられていない。『ROOKIES』にとって、あるいは川籐/佐藤隆太にとっては、ナインたちを不良状態から立ち直らせことや、チームが復活したり存続したりすることがたとえ成されなくても、それが“ほんとう”の問題ではなく、最悪、野球場面がゼロのまま終了したとしても、それより優先されることがある。そうこのドラマはみる者に伝えてきます。

『ROOKIES』/川籐が伝えてくるのは、ハートのある感情に真っ直ぐであろう、そしてそのハートは真っ直ぐであろう、というメッセージであり、社会的順応(更正、野球部復活)や目的達成(勝利、甲子園)は決してそれらの上位概念とは捉えられていない。自分や他者や物事に対して、“真摯”であろうということのみが、この物語を駆動してゆくのだ。

例えば、城田優演じる凶暴な反抗者・新庄に対して、『ROOKIES』は/川籐は、野球部復活のため獲得すべきコマ(盛り上げのための障害の設置)という扱いをしない。ドラマが動き、揺れて前に進む力となるのは、新庄が抱いている“ほんとう”の感情、情動を、歪んで乱反射し行く先を見失ったそれを、彼自身にとって真っ直ぐなものとして捉え、感じられるようにしようとする、そのように作用する力であって、そこで彼の晴れ晴れとした真摯な感情の発露の結果がもし野球を捨てるという選択であったとしても、『ROOKIES』という作品は/川籐は、それを是とするだろうと思わせるものが、このドラマには確かにあるように感じられます。(それは、みる者に、作り手/送り手側への“信頼”を抱かせるものでもあります。)

真摯であろうとする川籐の生き方と、『ROOKIES』というドラマが真摯なものであろうとする在り方とが同調し、そうして(映画のあるべき在り方としてヒッチコックが言ったような)「エモーションの持続」としての映像作品、といった基本的なところに立ち返って提示された『ROOKIES』は、真剣に真面目に、ブレなく真摯に物事や人物を描く、という愚直な姿勢によって、“ほんとう”な細部を更新してゆこうとする。

そしてその物語りかたは、ある種のセンスの持ち主をアテにするといった、特定の文化圏を狙いうつような作用範囲の狭いスタイリッシュな方法論を採用せず、あの文化圏のひとにもこの文化圏のひとにも、真摯に熱いハートでもって丁寧に接続すれば伝わるんだという極めて川籐的な信念がその作劇/描写の方向性を決定づける。
そのため描写は時にクドく、進行テンポは澱み、鈍重な印象を与えもしますが、それはこのドラマがセンスとしての選民的な選別的な身振りを否定したところに接続する力を見いだしているからで、才能や才気を示すためでもある種の快楽原則をトレースして一定タイプの消費者に快楽を与えるためでもなく、ただ真摯であろうとする、その一点において、閉塞を突破しようとする。
商業的な“イケメン軍団”として投下された「アイドル男優」であるところのニコガクナインの面々も、己をより良くみせるためではなく、まずこの『ROOKIES』というドラマをより良いものにするために力を尽くすという、当たり前といえば当たり前のことに専心していると(他のどのドラマよりも)印象されるのは、この『ROOKIES』というドラマが川籐のキャラクターの人格、人柄と同調するようにして、その熱い真摯さで他者を引っ張り込む力を示すからだとおもう。

“イケメン軍団のパッケージ売り”のための“方便”としてある〈野球+不良=青春〉というベタを、『ROOKIES』の作り手たちは怯まず、真正面から受け止める。そこで選ばれた物語が商業的な「口実」に過ぎないことを当然の前提として見据え、〈女子供の箱〉を経由することにも揺るがない。
そこにあるのは、(女子供だけ満足させときゃいいだろ)という姿勢とは無縁の、実直なクオリティ信奉、いいものをつくりたい、という気概、誰にみせても恥ずかしくない素晴らしいものを提供しようという愚直な信念であって、なんとそんな素朴な「真摯さ」が閉塞し拡散しゆく島宇宙間を接続するというごく普通な事実を、ドラマ『ROOKIES』はかなりの程度示すことが出来たように思えますし、それがこのドラマが存在した価値でもあったと思います。

‥概略を言うだけで随分長くかかってしまいました。細かいことに触れることが殆ど出来ませんでしたが、このあたりで一旦話を終わりにします。
どうやらただの総集編ぽいけど、10月4日のスペシャル版も楽しみですね。

(おわり)

追記:
第1作目の『クローズZERO』公開時のインタビューで、山田孝之は〈とにかくより多くの人に観てもらわなくちゃ伝わらないし、良いか悪いかもない。(略)でもまず女の人が2時間もつかもたないかっていうところが勝負だったんですよね。〉と述べ、このテの映画が現在的に成立するためには島宇宙の突破が必須であると意識的だったことを告白しており、またそれと同時に、いやだからこそ、〈全員が全力で自分の仕事で応えてくれる撮影現場だった(略)自信をもって男の映画と言える。〉とやべきょうすけが別のインタビューで述べていたように、それだけに「真剣に真面目に、ブ物事や人物を描く、という愚直で“真摯な”姿勢」で制作に取り組むことがその作品に“ほんとう”を宿すための絶対条件としてあり、その2要素を併せもつことが閉塞を突破する力となっていたことが窺えます。『クローズZERO』公開時のスタッフやキャストの各種インタビューや発言には、自信と手ごたえにみちた“やりきったかんじ”、熱さが溢れていました。(ドラマ『ROOKIES』周辺にある空気や状況も、それと同じものを感じさせます。)
しかし、続編である『クローズZEROⅡ』ではどこか様子が違う。『CUT』10月号を読むと、インタビューで小栗旬は、(前回は、プライベートまで源治を引きずってしまうとおっしゃってましたが)というインタビュアーに対し、〈今回はそんなにないっすね(笑)〉という何だか弛緩した返答をしているし、山田孝之は〈『1』で完結した芹沢多摩雄が『Ⅱ』で崩れてしまわないか心配だったんです。続編になると新たな台詞や行動が付け足されるから、芹沢が崩れてしまわないか怖かったんですよね。『なんか違うな』って思われたら嫌だなって。〉と、どこか閉塞的なベクトルの心の惑いを示しています。ここでは既に、特定の文化圏を突破する「真摯さ」や「熱さ」が失われ、“つづくこと”の弛緩した(濃淡のある)日常感と、「特定の文化圏」を支持する者とそれに応えようとする「特定の文化圏」の保持者としての送り手との相補的な閉塞関係が生成されつつあるさまが見てとれるように思われます。
『クローズZERO』的作品が、“つづくこと”により早くも直面した閉塞的状況をみると、ドラマ『ROOKIES』の続編の先行きにも幾分の不安が感じられますが、果たして映画版はどうなるでしょうか。




theme : ROOKIES
genre : テレビ・ラジオ

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ししらいぞう

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