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映画『Girl's Box/ラバーズ☆ハイ』放映情報

先頃公開され、度々触れてきた映画『Girl's Box/ラバーズ☆ハイ』が、スカパーの〈もぎたて映画館“スカパー!シネメロン”〉にて、明日より1週間、PPV放送されます。

○放送期間
6月27日(金)21:00~
6月28日(土)23:00~
6月29日(日)13:00~
6月30日(月)15:00~
7月1日(火)20:30~
7月2日(水)15:30~
7月3日(木)22:00~

○放送チャンネル
チョイスch.174

○価格
1000円/番組

‥DVD発売前とはいえ、1000円は高いな~と思わないでもないですが、地方在住で公開館に駆けつけるにはハードルが高かったガルボ周辺のコアファンの方々にとっては、まず必見ではないでしょうか。キャストの誰のファンでもない一般的な映画ファンにとってはあり得ない値段ですが‥。

『Girl's Box/ラバーズ☆ハイ』は劇場公開でペイ出来たとは到底思えず、レンタルもPPT方式だと大した収益も見込めない類いの映画。となると、あとはDVDの売上にかかっていますが、ガルボ周辺のファンのパイが年々縮小していっている気がしないでもないこの現状では、キャストのうちのだれかがサッサとブレイクでもしない限り製作費を回収するのは結構厳しいんじゃないかと。
別に正直売上が厳しかろうがどうだろうが知ったこっちゃないと言えばそうなんですが、それによって〈Girl's Box〉の映像方面への次なる展開が無くなるんだとしたら、あんまり面白くない。そんななかで、PPVで損失を幾分でも補填出来れば希望もみえてくるかもしれない。なので、より多くの人がPPVを購入して観賞してくれることを願ってます。

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theme : 映画関連ネタ
genre : 映画

追記:『チー子とカモメ』

チー子とカモメ1
『チー子とカモメ』



(以下、ドラマ『週刊真木よう子』追記→)

⑫『チー子とカモメ』
監督・脚本:三木聡
共演:永作博美、山崎一

最終話、大トリは三木聡作品。どの作品も同じようでいて実は出来不出来の激しい三木聡、今回はどうでしょうか。

スーパー内をねり歩く真木よう子、頭の重さが後ろにかかったヒョコヒョコした妙でみっともない歩き方。近づいたら安く粉っぽい化粧品にむせそう、そんな空気を発散している。「ねるねるねるね」を万引きし、呼び止められる真木、最終話の冒頭が第1話の冒頭と同じシチュエーションでキレイにサンドイッチというのは気が利いてていいかんじ。
その窮地を救うのが、元・お水仲間の永作博美。ふたりとも偶然(?)“愛人”をクビになったばかり、成りゆきから真木の元・愛人に二人して直談判にゆくことになる。そのどーでもいいような小さな小さな珍道中に、どーでもいいような小ネタが散りばめられている格好。
冴えないピーナっぽいというか某モレノにも一瞬みえる真木、永作とコンビだとカツゼツの悪さが目立ち、かつキャラで完全に食われてる。最近好調の永作博美、周囲や環境と微妙にズレてどこか空回りするキャラが十八番になりつつありますが、そのマイペースさの速度感が独特だ。空回りというかマイペースのさじ加減によって、高嶺の花になったり必要以上に虐げられる存在になったりする永作さん、今回はなんとも言えない微妙なハズし方で、それはそれでまた滋味溢れるかんじ。

『週刊真木よう子』においてここまで何話もあったサブカル小ネタ系の短編ですが、この⑫とそれらはどこか違ってるように感じられる。小ネタに対するツッコミの感触がやわらかくて温かいというのもあるのだけれど、そもそも小ネタの噴出してくる源泉がデータベース的にサブカル系アーカイブから召喚されるのではなく、路上、日々の生活、人生の細部からやってくる。たとえバンテリンやねるねるねるねという固有名詞でのくすぐりがあったとしても、生活感情や人生の時間の思い出がそこにはこびりついている。お勉強ともサブカル的文化圏での戯れとも無縁の“生”の感覚が、そのネタにはいつでもつきまとっているのだ。

たとえば『恋泥棒ヨーコ』の小ネタは、結局のところ作り手のセンスや世界観に起因するし、『トラトラトラ』の小ネタは登場人物とは別にあり、そこにあるのは各ネタの優劣だけだ。これらの映像作品では、作品の外側にネタやセンスがあり、それをナイスにデコレーションすることに力が注がれている。
それに対して『チー子とカモメ』でのネタは、登場人物の肌に接するように在り、また、登場人物たちの内側から発信されてくる。彼ら彼女らは、それを言ったりしたりすることで人物像の厚みや温もりや特性を獲得してゆき、また、それらの小ネタに反応することで人間的感情や人間性を提示してゆく。小ネタを通過することで各キャラに人間としてのありようが付加されてゆき、他者や世界との関係性や距離のとりかたも示されてゆく。ここでは小ネタが単なる意匠でもガジェットでもなく、作品を有機的に組織しているのだ。
そうしたなかから、ものごとを深く考えず、中途半端にポジティブに生きる人たちの、冴えないがどこか温かい人生の時間が切り取られて提示される。『時効警察』や『転々』の主人公たちが、作品世界内のヘンな異物や、他者のヘンな発言行動に対して、困惑したり受け入れたり軽く流したりするさまを見続けていくうちに、私たち視聴者や観客は、いつの間にか彼ら彼女らに愛着や愛情を抱いているようになるという作用が、三木聡の作劇には備わっているのだった。(『図鑑に載ってない虫』のいつにないスベり方は、ネタが人物の肌やハートに遂に接触せず、作品の外に留まったことに起因してみえます。)

無意味な会話、あんまり考えてないテキトーな発言が、柔らかい可笑しさを発散するとともにある種の人間性の表現へと結晶する。何かを期待し求めていても、そこまで本気で貪欲にもなれず、人生を闘争しサバイブするにも意志が散漫で弱々しい、そんなたそがれた半端者の「やさしさ」が作品そのものの「やさしさ」にもなっている。愛人契約の切れた真木から山崎一を盗っちゃおうと小狡く思い立つも、萎むようにアッサリ失敗しグダグダになる永作の情けなさは、否定されるものとしてでなくダメ人間の愛しさとしてそのまま肯定される。「あーあ。あーあだよまったく。」という、ラストで真木よう子が発するこれ以上ないくらい無意味で無内容な台詞は、作品/主題をひとつの方向へむけて収束することなく、とっちらかったままに放置しますが、そのベクトルの無さこそが、さまざまなマイノリティをやわらかく包みこみ肯定/許容する、外へとやさしく開かれた窓となる。三木聡作品の懐かしいやさしさとはそのようなものだ、と感じさせられました。
ということで『チー子とカモメ』、『中野の友人』に次ぐシリーズ中第2位の佳品だと判断。30分のうちに、小ネタもじゅうぶん効かせつつ、物語もキチンと語り登場人物たちも愛しいものとして感じさせる。なかなか大変な仕事だと思います。


関連記事:ドラマ『週刊真木よう子』

theme : 週刊真木よう子
genre : テレビ・ラジオ

6月20日(金)

ころ3
『コロッサル・ユース』


6月20日(金)曇時々雨

やっと体があく、金曜日、夕方まで。
さっそく狙うはデイヴィッド・クローネンバーグ監督『イースタン・プロミス』と、ペドロ・コスタ監督『コロッサル・ユース』。『コロッサル~』は渋谷のみだけど、『イースタン~』は銀座or池袋の2択。さて、どっちにすべきか。当日の朝、行きがけのフィーリングで決めることにする。


『イースタン・プロミス』
池袋、シネ・リーブル
10:15~(~12:20?)
or
日比谷、シャンテ・シネ
10:25~(~12:20?)

『コロッサル・ユース』
渋谷、イメージフォーラム
14:00~



珍しく一本目と二本目のあいだに余裕がある。中央線で都心に向かいつつ、さてどっちにするか‥と考える。交通の便でいえば池袋のほうがずっといいけどあまり好きな街ではなく、劇場としてもシャンテのほうにずっと愛着があります。客層のイメージでいうとリーブルがヲタっぽく、シャンテはプチブル的。座席数はシネ・リーブルが180席もしくは130席に対し、シャンテ1が224席とだいぶ大きい。少々遠いけどスクリーンサイズの大きいシャンテ(3・5m×8・2m)にしようと決める。

有楽町で降りるころ、小雨がパラつき出してきた。シャンテの前に15分まえくらいに着くとパラパラと人がいる。しかし‥‥予想外にお年を召された方が多いな‥‥これがクローネンバーグ映画の客層かあ??とにわかには信じがたく、他の上映作品の客かとも思うが、窓口に並ぶひと並ぶひとが口々に「イースタンプロミス」「イースタンプロミス」と告げている。もっとも、他の上映作品も『幻影師アイゼンハイム』『JUNO ジュノ』と、別段年寄りウケというラインナップでもないかんじ。ファーストオンフライデーの為、窓口で1300円でチケットが買える。ついでにここで『コロッサル・ユース』の前売りも買っとく。

エレベーターで4階の劇場に運ばれる。満席というわけではなさそうなので、どうせ自分の好きな1列目は空いてるだろうからと、まずはチラシのチェック。廣木隆一の『ぼくの友だち』をゲット出来たので満足。映画館に来る楽しみは、チラシや予告編で必ずしも自分の好みでも守備範囲でもない映画の断片に否応なく接して興味をもったりすることも大きいと思う。かつての映画ファンが、二番館の3本立てとかで好きも嫌いもなく無差別爆撃のようなアトランダムさで様々な映画と接することで自然と鍛えられていったような作用を得る機会が今は少なく、自分から無理ヤリ能動的に無差別を志さないとどうしても島宇宙のタコ壺に埋没していってしまう危険性がある。
売店では『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のコミックス版とか売ってた。

割引回ということも公開間もないということもあるのか、平日の初回に関わらず7~8割の入りで盛況なフンイキ。クローネンバーグらしからぬ客層は40、50、60代のいぶし銀でロマンスグレーな男女が殆ど。なんと30代の自分が最年少領域か。銀座という土地柄も、平日の午前という時間帯も考えたらそれはそうなのかもとも思うが‥池袋は、あるいは夜の回はガラリと客層が違うのだろうか?
男女比は7:3か6:4、実に自然な感じにバランスがとれていて、(“いい映画”を期待してみにきた)という上品で純朴な気配が漂う。男性陣は、新宿や浅草などの映画館に平日いるような類いの、煤っぽくうらぶれた中高年男性という感じはなくて、充足して余裕のある自我が整えられた髪型にあらわれているかんじのかたがた。中高年女性のかたがたも、北島三郎ふうのひとは絶無といったあんばいで、なんかこっちが観る映画間違っちゃったみたいな気分にさせられる。クローネンバーグの監督作品で、ヴィゴ・モーテンセンが出てるという以外、何ひとつ情報を仕入れて来なかったんですが、もしかしたら中高年がグッとくるような題材なりフックなりがあるんだろうか?

予告編では、『イントゥ・ザ・ワイルド』がグッとくる系で、ワクワクし期待が膨らむ。ショーン・ペン監督。
『庭から昇ったロケット雲』(マイケル・ポーリッシュ)、日比谷っぽい善良そうな映画、邦題が弱々しい。G・ガルシア・マルケス『コレラの時代の愛』(マイク・ニューウェル)の映画化には心躍っていましたが、予告をみる限りは大した映画じゃなさそうで、ちょっと萎えた。タイトルみて一瞬藤田敏八かとおもった『帰らない日々』(テリー・ジョージ)、ホアキン・フェニックスが出ているだけで星ふたつぐらい増える気がする。なんかアレみたいな映画だな、『リトル・オデッサ』撮った監督の、えーと『裏切り者』、とか思ったが考えたらホアキンが出ていたからそうおもっただけかも。

予告が終わり『イースタン・プロミス』上映開始。集中して観て、あっという間の100分間。ながいことクローネンバーグのいい観客ではなかったのでしたが、去年の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』でビビってたじろいだ。『ヒストリー~』を観逃していてその衝撃がなかったとしたら、この『イースタン・プロミス』でビックリしてひっくり返っていたかも知れない。去年『ヒストリー~』について感じた感嘆を今回再確認、再認識する。(別記事予定)

終わって出てくるお客さんたちは、性急に映画のことをアーダコーダ言い合ったりしていないし表情にもあまり表さないから、皆さんどう感じているのかよく分からない。気になりつつ劇場を後にする。

渋谷。渋谷でいつも行く映画館は多くが何だか坂の上にある。渋谷で映画館に向かうとき、いつもふうふう言いながら坂を昇ってる気がする。イメージフォーラムにふうふう向かいながらそう思いだす。コンビニでコーヒーと飴買って劇場に到着する。

14時の回の観客客数は男性だらけの13名。マニアックな方特有の年齢不詳なかんじで、20なかばがメインだと思うが正直よく判らない。全体に色味のないイデタチは、正に映画学徒、シネフィルの末裔といった風情。幅は18~35位?
『コロッサル・ユース』についても予備知識はほぼ皆無、ヴァンダがまた登場することくらいしか知らない。『ヴァンダの部屋』だけでも復習しようとおもって前日一応仕事場にDVDを持っていったけど、見事に観るヒマがなかった。

ところで、何だかペドロ・コスタの周辺をめぐる言説になんとはなしに居心地の悪さを感じる今日このごろ、というかずっと思ってましたが、どうも〈ペドロ・コスタ〉が“ワカッテル”シネフィルの免罪符と化しているフシがある。自称映画ガワカッテル映画マニアは、観るまえ接するまえからペドロ・コスタ凄いペドロ・コスタ凄いと言おうと待ちかまえている、そう言っときゃ優秀な映画学徒みたいな、そんな安心のための怠惰なブランドと化しているかんじが胸糞悪い。ある時期以降の小津安二郎がそうであったように‥ということで、ペドロ・コスタについても『コロッサル・ユース』についても無言を貫くと観るまえから決めている。

予告編はたっぷり。まずは河井青葉さんがナレーションをつとめるリー・チーシアンの『1978年、冬。』。良さげ。『ホットファズ』(エドガー・ライト)、未知の感触にはやくも興奮する。『天安門、恋人たち』(ロウ・イエ)旧ユーロスペースっぽい。つまんなそうな映画が殆どなく、どれもそれぞれ見応えがありそうなかんじ。
『ドモ又の死』。奥秀太郎、今年か来年には時代が来る!!

2時間35分の上映が終わってロビーに出ると、もうほぼ17時。売店ではペドロ・コスタのDVDーBOXが売ってた。買いだけど今はもう金がない。『エクス・ポ』、佐々木敦によるペドロ・コスタインタビュー、ヤッパリそっち系の話にもってくんだ。スクリーンサイズ(1:1.33)について考えながら出入り口付近に近づくと、以下のような貼り紙が貼ってあってまた色々考えた。立った人間のこと、座った人間のこと、横たわった人間のこと、扉のこと、壁のこと、建物のこと。帰ってからDVDである普通の映画を観たけど、なんだか凄い違和感を感じたのは、『コロッサル・ユース』という映画の毒に侵されていたからかも。

〈『コロッサル・ユース』上映についてのお断り

『コロッサル・ユース』は、フィルムに画面が特殊な形で焼き付けられているため、上下を完全な垂直を出して上映することが出来ません。これは画面をカットせず完全な状態で見ていただくためです。
ご了承の上、ご鑑賞いただけますようお願い申し上げます。

シアター・イメージフォーラム〉

theme : ミニシアター系
genre : 映画

ドラマ『週刊真木よう子』

まきよーこ


ドラマ『週刊真木よう子』

(テレビ東京系、水曜25:20~)
製作:週刊真木よう子製作委員会
制作協力:オフィスクレッシェンド
企画:大根仁
EP:大月俊倫

真木よう子というひとには、女優としても女性としても、ほとんど興味がありません。あくまでもそういう前提での以下の感想なので、真木よう子目当てでこのドラマを観ている方々の意見や印象とは大きく食い違ってくるんじゃないかとは思います。

深夜枠ドラマ昨今の流行、〈テレビドラマのサブカル化〉の典型例である『週刊真木よう子』は、女優・真木よう子を素材に、〈毎週異なる出演者・脚本家・演出家が贈るオムニバスドラマ〉という企画。サブカルテイストの〈出演者・脚本家・演出家〉を揃えて提示するというこのテの企画の成否は、統括者の力量やセンスにかかっているかと思いますが、『週刊~』の場合はアッチ系な大月氏でなく、オフィスクレッシェンドの取締役でもありメイン演出家でもある大根仁がその任を負う。
オフィスクレッシェンド内でも、ひときわ隣接サブカルチャーに接続性をもつ大根仁氏により選定されたとおぼしき、主に小劇場演劇畑の興味深い異分子がこの深夜枠に集結‥と言いたいところですが、何でか大根仁氏自身が監督脚本をつとめる回が何話もあって、〈毎週異なる出演者・脚本家・演出家が贈る〉という看板は偽りかよ!と不満あり。正直、大根仁という演出家の名前はそれほど魅力的でなく、彼の名前で食指を動かされる視聴者は殆どいないんじゃないでしょうか。氏の適度にスタイリッシュだが印象も感慨も残らない作風は、映画でいえば下山天みたいなもんでしょうか。って言うと下山天に失礼か‥


①『ねぎぼうず』
監督:大根仁
脚本:大根仁、三浦大輔
原作:リリー・フランキー
共演:田中哲司、みのすけ、松尾諭

②『スノウブランド』
監督・脚本:大根仁
原作:すぎむらしんいち
共演:中村達也、桑代貴明、松浦祐也、中島巨人

で、肝心の第1話&第2話は“これが『週刊真木よう子』のクオリティとバラエティと方向性です”と示さなければならない、視聴者に対してのパイロット版の役割をもつ筈。それが、二話共に大根仁作品、どちらも真木よう子のエロさ(←感じないのでよく分からないが)を前面に出した作品、では、わざわざ視聴者を篩い落としているようにしか思えない。事実、自分の知人もこのあたりで観るのをやめてます。思いっきりキングレコードなCM群も、(なんか肌に合わないナ~)と引いてしまう一因になっているんじゃないでしょうか。

①、田中哲司の無駄づかい。展開の少ない、オチもミエミエな話が、大した工夫もなく提示される。真木よう子に淫して観なければ退屈してしまうと思うんですが。で、退屈した。台詞も相当ツマンナイ。

②、『松ヶ根乱射事件』冒頭のワンカットにも及ばない30分間。雪のなかに銃声が響き、血飛沫が雪に散る。2分半の長回し、バリバリスタイリッシュな出だしからノワールな世界へ。こんな話は巷に腐るほどあふれてるので、ディテール勝負となり、どうしてもハードルは高くなる。で、個人的にご贔屓の松浦祐也演じる警官と、コンビで血まみれの札束のアタッシュをみつけるのは中島巨人さん。とってもとっても煙草を吸うのがヘタクソな中島巨人さん、こういうディテールがイマイチだとドッチラケ。このテのディテールこそこだわらないと。スローモーションの多用もノーセンス。
真木よう子のチラリズムに興味が持てず、①同様退屈する。締めのガキの台詞はおっぱい絡みだったらシュッとしたのに。


③『おんな任侠筋子肌』
監督:山口雄大
脚本:井口昇
共演:阿藤快、阿部サダヲ、板尾創路、町田マリー、廣田三憲

露骨に梶芽衣子スタイルの真木よう子。物語の骨子も『女囚701号 さそり』(72、伊藤俊也)に始まる『さそり』シリーズそのもの。タッチは伊藤俊也とも石井輝男とも言えるテイスト。
タイトルのイメージは東映任侠映画末期の『緋牡丹博徒 鉄火場列伝』(69、山下耕作)もしくは『日本女侠伝 鉄火芸者』(70、山下)あたり、緋牡丹博徒シリーズや女渡世人シリーズの藤純子モノを想起させ、同時期の日活『昇り竜 鉄火肌』(69、石井輝男)等とダブる。70年代初頭という時代に、日活/東映を駆け抜け藤純子以降の次代のスターとなった梶芽衣子は、当初扇ひろ子(東映の“お竜”藤に対し日活で同路線を担っていた)の『昇り竜』シリーズの一環であった『怪談昇り竜』(70、石井)に、失踪した扇ひろ子の代役として急遽起用されたという奇縁がある。
60年代任侠から70年代的反体制アウトローへ、藤純子から梶芽衣子へ、東映/日活をボーダーレスに駆け抜け新時代を切り開いたといったイメージは(梶芽衣子とともに)石井輝男が代表する。『さそり』の伊藤俊也は、東映での石井輝男の門下生でもあった。

石井輝男(や伊藤俊也、あるいは梶芽衣子)らの表現はなんらかへのある種のカウンターであり反逆であり、萎縮してゆく時代の閉塞感への反撃だった。閉塞のなかで「逆手にとる」という表現の運動だった。それゆえそこにファンも感情を仮託し、熱狂することができた。しかし、③にはそれらへのオマージュの精神はなく、表面的で安手のパスティーシュがあるだけだ。雑で説明的だったと思えば急に妙にセンスが良かったりする、ムラがありありで表現への切迫した速度感のある井口脚本にはオマージュが幾分感じられますが、山口演出にはそれが見事に欠落している。適度に面白く、一見マニアックにみえて分かりやすく笑える小ネタを上手に配列し提示する、そのための丁度いいツールとして〈梶芽衣子〉〈さそり〉等が消費されているだけにすぎない。単なる小手先のサブカルごっこ。閉塞感への反撃、どころか、平和に閉じた〈サブカル的な気分〉に安穏と浸り、安全なところで戯れているだけだ。
語りは流麗すぎ、手間かけ過ぎキャスト豪華すぎ。 ここは超低予算、早撮り、ノースターで行かないと味わいが出ない。『デス・プルーフ in グラインドハウス』 (07) 以後の作品としては鈍感すぎるんじゃないでしょうか。『キル・ビル Vol.2 』(04) のズームアップショットにあったような精神が感じられないから、愛もセンスもないと唾棄したくなる。これをみると、今にして思えば、面白くもなかったし退屈だったけど、杉作J太郎の諸映画は“わかってる”と感じさせました。
ヌメヌメした筋子ネタはいかにも井口的。


④『中野の友人』
監督:山下敦弘
脚本:赤堀雅秋
原作:いましろたかし
共演:井口昇、小林きな子、佐伯新

傑作。山下×赤堀、新たな名コンビの誕生。プロデュースの勝利。
いましろたかしのマンガからスルリと抜け出てきたような、存在そのものがいましろタッチな井口昇が“俳優として”素晴らしい。
(後日追記)


⑤『トラ トラ トラ』
監督:大根仁
脚本:宮崎吐夢
共演:大久保佳代子、江口のりこ、篠原友希子

女4人=MAX=「Give me a Shake」=『トラトラトラ』、じゃなくて『ファスター・プッシーキャット キル!キル!』(キル!キル!→トラトラ~への連想?)が元ネタか?また大根仁か‥‥。
小ネタ満載、しかしいかにも小劇場演劇ぽい脚本がいかにもの域を出ず、激サム。サブカルっぽさがサブカルっぽいカテゴリーに大人しく収まっている。


⑥『景色のキレイなトコに行こう』
監督:豊島圭介
脚本:豊島圭介、及川章太郎
原作:福満しげゆき
共演:温水洋一

佳作。定年後の日々のようにざわざわと柔和で微弱な日光の温かみ。浮浪者の老女のような姿の真木よう子。繊細なリアリズム描写を基調に、白昼の路上での惨劇をはじめとした、非現実的な事柄や描写が間欠的に出立する。基調は丁寧で流麗、非現実的描写はバタバタした描写でメリハリがあって計算ができていると思う。ロケハンも丁寧、エキストラを入れてのカットも手抜きがない。カット割も構図も手間がかかっているけどこれ見よがしでなく、何より音の設計が良いですね。演出がキチンとしてこそ、小ネタや出来事が光る、事の成りゆきにドキドキするという、当たり前の事実をこの第6話は示しています。チョークで石畳に線を引く、それだけのアクションが輝く。「ウチに帰るよ」という着地はキレイですが、もう一飛躍欲しかった気もします。
映画畑では新世代の有望株として注目を集める及川章太郎ですが、今回はそれほど冴えた印象を残せなかったかな?温水洋一の使い方はイマイチ‥というか、近年“良かった温水洋一”を見たことがないかも。


⑦『立川ドライブ』
監督:大根仁
脚本:赤堀雅秋
共演:正名僕蔵

殺された真木よう子。から始まって時間を遡り、そこへ至る顛末が描かれる。不安定なカメラに、リアルでローファイな会話、ビンボーくさい日常感溢れる描写がダラダラつづく。ケッサク『中野の友人』につづいて登板、THE SHAMPOO HAT赤堀雅秋の脚本は、反ダイアローグ的で、カンバセーションに重きを置く。そこから日常における人と人との微妙な距離感が生じ、脈動し、ドラマが形成される。メールの情けない使い方も秀逸。傑作直前‥と思いきやしかし、色調を調整した画面、切迫感=寄りのカットという説明過多ぶり、夏描写のイージーさ、パトカーでのドライブ場面など、スタイルに流れたシーン群が良さを相殺し、退屈化。そこは一歩引いてルーズを貫かないと。残念。


⑧『恋泥棒ヨーコ』
監督:大根仁
脚本:せきしろ×からしま+おおね
共演:森下能幸、掟ポルシェ、宮崎吐夢、浜野謙太、遠藤憲一

あらゆる意味でまんま『去年ルノアールで』。


⑨『蝶々のままで』
監督・脚本:タナダユキ
共演:星野源、野嵜好美、伊達暁

ネタも作りも面白くも何ともないが、微妙なブスさの野嵜好美だけが絶妙。『ジャーマン+雨』(傑作!)で一躍名をあげた野嵜好美は、インディペンデント系の錚々たる講師陣が集う〈ENBUゼミナール〉2004年度の卒業生で、山下敦弘のENBUゼミナール卒業作品『道』の主演で注目を集め、『道』(『子宮で映画を撮る女』)以外でも山下敦弘作品の常連と化している(『アカバネ三姉妹』(『蒼井優×4つの嘘 カムフラージュ』))だけあるナイスなツラの持ち主で、そんな映画畑の新進女優が、それなりに注目される地上波ドラマでの露出は喜ばしいこと。


⑩『ひなかの金魚』
監督:神徳幸治
脚本:黒木久勝
共演:池田鉄洋、ヨネスケ、市川しんぺー

神徳幸治×黒木久勝=劇団ROUTE30による週刊真木よう子。6月にある劇団ROUTE30の第2回公演『ひなかの金魚』と同題ですが設定・ストーリーは異なるようで、マルチメディア展開とか公演の宣伝という事ではない様子。神徳幸治は堤幸彦の助監出身でクレッシェンド寄りの人物(『週刊~』へのオファーは既に去年、大根仁からあったとのこと)、黒木久勝は塚本晋也組にずっと助監督としてついているということで、堤×塚本→エキセントリックな作風、を想像する向きもあるかもしれませんが、本編は人生のある程度の長いスパンの時間を感じさせる、地味ないわゆる“ちょっといい話”。しかし30分は短く、こういうのは70分はないと味が出ない気がする。ヨネスケネタはありきたり。
真木よう子の役柄は、他の挿話とだいぶテイストがちがう男に都合のいい女‥『週刊真木よう子』の一変奏としてはOKだが、『ひなたの金魚』単品でみるとフツーにミスキャストかも。


⑪『魔女がアタシを』
監督:大根仁
脚本:長塚圭史
共演:緑魔子、和田聰宏、渋川清彦、千葉雅子、長塚圭史、吉本菜穂子

基地の街、和田と真木の乗る車が老女をハネる。老女は和田の祖母だった。成りゆきから彼女を真木がしばらくの間預かるハメに‥。
サブカル/小劇場界のビッグネーム、阿佐ヶ谷スパイダーズの長塚圭史が脚本&出演で降臨。長塚圭史に加え渋川清彦が出演していることもあって、風間志織監督『せかいのおわり』(05)を連想させ、自動的に“ミニマム映画”のひとつのバリエーションとして、価値判断のサーチが為される。ラフかつ流麗なカメラワークも実にミニマム的。
部屋の美術、小道具のいちいちがいいセンスで、壁飾りやらコップやらが目に楽しい。役者では、何とはなしにダメな渋川清彦がヤリ過ぎずいい感じ。逆に長塚圭史は、いつも通りヤリ過ぎ感あり。
他者との距離感の変容が物語持続の主軸となっていますが、緑魔子のキャラクターと行動、エピソードが平板かつ図式的すぎてミニマムな味わいはなく、それでいてミニマム映画的な(風味の)語り口も手離さない。ここでは瞬間をとらえて岐立させるような、事物を微分/異物化する作用が生じていない。要するにミニマムなテイストはなんちゃってなわけでムードだけを示し、幾分古風でキャッチーなおしゃれ感が現出し、小綺麗にまとめただけという印象。微細な感情の蓄積が足りないから飛行機を見にいくエピソードも別に効いてない。⑩に引き続き、70分は無いととも感じさせますが、⑩とちがってもし70分あったとしてもあまり面白くなるイメージが湧きません。いかにもいい空気感がありそうでいて、じっさいは全然画面に大気が流れていない、ある意味不思議と人工的な感触。
真木よう子は‥‥良くも悪くもない。


⑫『チー子とカモメ』
監督・脚本:三木聡
共演:永作博美、山崎一
(後日追記予定→別記事:追記:『チー子とカモメ』へ)


(付記:『honnin』vol.07の吉田豪による真木よう子インタビューは、残念ながら『honnin』で吉田豪がしたインタビューのうちで最もつまらないものでした。しかし、記事中の真木よう子の発言〈『ベロニカは死ぬことにした』は消したい!〉には、強く同意したいと思う。真木よう子が言う意味とは、ちがう意味で‥。)

(未了)

theme : テレビドラマ
genre : テレビ・ラジオ

2008年春ドラマ

ビヨンドザブレイク3
『ビヨンド・ザ・ブレイク』


〈2008年春ドラマ〉

①『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』 シーズン1&2
②なし
③『ROOKIES』
④『ラスト・フレンズ』
⑤『みこん六姉妹2』

⑥『キミ犯人じゃないよね?』
⑦『Around40~注文の多いオンナたち~』
⑧『ハチワンダイバー』
⑨『ホカベン』
⑩『秘書のカガミ』
⑪『絶対彼氏』
⑫『再婚一直線』
⑬『週刊真木よう子』
⑭『ママの神様』
⑮『CHANGE』



例によって、前期連ドラについての記事がいくつもの未了のままですが、時期も時期なので気にせず先を急ぎたいと思います。

さて、今期の連ドラには、唯一無二、これが素晴らしいと推したいものが特になく、存在してもしてなくても構わない。そんなドラマが殆どだった気がします。

そんななか、隅々まで楽しさに満ちていて、登場人物みんなに愛情が染み渡りそして生き生きしていた『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』を、海外ドラマなんで思いきり反則ですが①の位置に置きたいと思います。学校では平凡なドジっ子、だけどホントはスーパースター!という物凄く他愛ないお話ですが、毎回観るのが心から楽しく、心洗われた。個人的にツボだということで、万人に勧められるのか定かではありませんが、この際どうでもいいこと。トゥイーンの女の子向け、という軸にズレがないのが好印象(別記事予定)。

日本発のテレビドラマとは別に、地上波でも多くの海外ドラマが放映されており、その大概が日本のものより面白かったんですが、ちがう意味で強烈な印象だったのが『ビヨンド・ザ・ブレイク』です。近年の海外ドラマの吹き替えでは、『スーパーナチュラル』のトンデモな低クオリティが名高い(?)ところですが、『ビヨンド・ザ・ブレイク』は更にその上をいくと言っても過言ではありません。
どちらかというと演技巧者のイメージが強いと思われる本仮屋ユイカの、主人公・レイシー役での意外なほどの拙い声優ぶりに、まずは不意をつかれる。そして、多人数登場するサーファーガールですが、各人の声質や演技が似ていて区別がつかない、だけならまだしも、演技とか役作りという以前に、皆さん「シナリオを今もらって、とりあえず全員でホン読みしてみただけ」というふうな極限までノッペリした喋り方にクラクラするのでした‥。そして極めつけは、ドーン役のクリスティーナ!!演技がどーのこーの言う以前にどうやら日本語が覚束ないようで、ちゃんとつっかえずに喋れるカナ~~?と、何か根本的に間違ってる心配をしつつ聞き耳を立てながらハラハラとドラマを観賞するハメになっている。なんだこりゃ??
サーファーモノは好きなジャンルでたいへん楽しみにしていただけに、余計な心配をしながら見なくてはならず、残念な印象に。聞けばメインキャストは全員アフレコ初挑戦とのこと。なんでそんな冒険をしなきゃならんのか理解に苦しみますが、回を重ねるごとにクリスティーナのスゲェ日本語がだんだんクセになってきた‥。
あと、チェックしていたのに何となく観逃してしまった『気分はぐるぐる』(NHK教育)。だけど3チャンだし、何度も再放送やるかな~と気軽に構えています。

さて肝心の日本の連ドラですが、途中で挫折したのが『猟奇的な彼女』『ごくせん』『おせん』『パズル』『スイート10~最後の恋人~』で、積極的に観逃したのが『無理な恋愛』(堺正章が苦手)と『バッテリー』(なんかキモい)。注目の『ケータイ捜査官7』は、第1話を観逃したらなんかカクンとテンションが下がって、ホントはあんまり観たくないことに気づいた。

あとは放映期間が微妙な『瞳』『炎神戦隊ゴーオンジャー』『仮面ライダーキバ』を除くと、計13本が今シーズン、自分が観るのを止めなかった連ドラということに。前期より約半分に減ったからずいぶん楽でした。

春ドラ全般の印象は、マーケティングやリサーチ、ターゲットの設定は意識的で周到、そして、作品自体がその想定された枠からはみ出さない、という感じ。みるまえ/制作されるまえに予想されたものが、実際その範囲内で現れていて、観るという作業が“事前イメージの追認”でしかない、という貧しさが殆どのドラマの表情を覆っていたように思えます。置きにきた球のようなドラマ群。企業としてはそういう狙い通りのドラマを制作し放映することは間違ってないんでしょうが、それでは話題も流行もブレイクしないし、新たなムーブメントも生じてくる余地がないでしょう。
(つづく)

関連記事:ドラマ『週刊真木よう子』

theme : テレビドラマ 2008年春(4月~6月)
genre : テレビ・ラジオ

再読のきっかけ  柔道部物語、石川淳

○柔道部物語
4・29『DREAM.2』、三度目の正直でついに決着がついた、“『やれんのか!』vs『HERO’S』頂上決戦”であるところの青木真也×JZカルバン戦。この試合の前後近辺のインタビューで、青木真也がしきりに『柔道部物語』(小林まこと)ネタを連発していました。

カルバンのリッパすぎる極太マユゲが『柔道部物語』の主人公・三五十五を連想させることから端を発して、カルバンを三五十五呼ばわりし、「ザス、サイ、サ!」、「俺ってストロングだぜぇ~」等のタームが記事中に踊っていた(「ストロング~」はkamiproの誘導アリ)。それをみていたらフツフツと10年ぶりくらいに読みたくなり、ウチの本棚を漁ってみましたが『柔道部物語』は何故か5巻までしか見当たらない。仕方ないから5巻までを読みましたが、やっぱり相当面白い(試合パートと、日々の部活動、練習パートが同じくらい面白いマンガはそうそうない)。
しかし、西野が出てくるよりまえに途切れてしまい、次が読みたくて悶々とする。改めて家の中を探しなおしてみるがやっぱり見つけられなくて、以来、6巻以降をもとめて地道に近隣の数々の書店、古本屋近くを通るたびに覗いてみましたが、文庫版はあったけどヤンマガKCスペシャル版が見つけられない(文庫版を買う気はない)。ネットで本は一切買わないと決めているためネット発注という手はないので、そっち系の古本屋が充実している街に足をのばすしかないようだけどなかなか時間がとれない‥。
そういえば当時というか90年代、『柔道部物語』信奉者で漫画家志望の友人Yさんが、『帯をギュッとね!』(河合克敏)や『そばっかす!』(きくち正太)なんかをその都度『柔道部物語』と比較していちいち批判していたことを思い出した。僕がその頃唯一毎週買ってまで読んでいた少年漫画誌が『週刊少年チャンピオン』だったこともあり、『そばっかす!』について特によく語った気がする。
でその、じつにチャンピヨン臭の強かったきくち正太のマンガ(『おせん』)がまさか、テレビドラマの原作として採用され、毎週ゴールデンに放映される日が来るとは思わなかったな‥としみじみ。

○石川淳
ブログの記事を書くさいは、関連した直接的な資料にあたるほかに、書くとっかかりのヒントになりそうな書物・雑誌のバックナンバー等をパラパラめくって再読する、というのが通常の自分の手続きになっています。

前々記事『Girl's Box/ラバーズ☆ハイ』の場合は、〈アイドル映画=少女映画〉ということで、引用もした中森明夫『アイドルにっぽん』のほか、『Quick Japan』『STUDIO VOICE』等のアイドル特集号、澁澤達彦、森茉莉、四谷シモン関連本などをなんとなく読み返していましたが、金井美恵子『添寝の悪夢 午睡の夢』に少女についての章があったのを思い出して開いてみると、〈少女〉という巻頭ちかくの短いエッセイで、石川淳の短編『喜寿童女』について言及されているのを見て、『喜寿童女』を再読。その流れで、久しぶりに『石川淳全集』(筑摩書房版)をポツポツと再読しはじめています。石川淳の文章は旧字・旧仮名じゃないとどうも感じが出ないので、簡便な文庫版ではなく不便だけど全集か単行本での再読ということになる。

そういえば、音楽家にして文筆家である、菊地成孔のエッセイ集『歌舞伎町のミッドナイト・フットボール 世界の9年間と、新宿コマ劇場裏の6日間』のなかで、〈石川淳の凄絶なピカレスク小説『はんかい』(←ケータイでは字が出ん)〉という一節があり、ハテ石川淳にそんな小説あったっけ?と『石川淳全集』をひっくり返したのが前回、数年前のプチ石川淳再読週間の発端でした。

結局、『はんかい』なる小説は存在せず、菊地成孔の虚言であることが判明した。『歌舞伎町のミッドナイト~』内の別の一編に〈ドミニク・ノーゲスの『レーニン・ダダ』っていう、これまたもの凄いインテリが嘘を平然と書いて、全く説明がないという本にインスパイアを受けた〉という記述があり、そういうスタンスが、菊地氏のケムに巻く性質とフィットしての虚言の表出だった。ということに、一応落ち着く。ひとつの嘘を確かめるのに結構な手間がかかって、いい迷惑だ。

石川淳というと、短編をベストに挙げるのが通、という雰囲気がありますが、自分が最も愛する石川淳の小説は未完の長編『蛇の歌』。後期の長編小説群、『狂風記』やら『六道遊行』やら『天門』やらには、ちっともピンと来ないというよりむしろ退屈してしまうのに、これらの長編群と大した違いのない『蛇の歌』には何故かいつもドキドキしてしまう。たぶん、石川淳の小説がどうのという以前に、“未完”であることに魅惑されているだけなのかもしれません(大岡昇平だと『堺港攘夷始末』が一番好き)。
どういう方向にも集約していかないとあらかじめ判明している『蛇の歌』の、シンプルで不思議な世界に一歩一歩入ってゆく感覚は、夜、眠りにつくまえの読書にぴったりで、文章の静かで心地良い語りに誘われるように、次第に微睡んでゆく。その未定の、無方向を予感させる語りが、夢にむかう感覚とディゾルヴするようにして、誘眠剤がわりになるのでした。

これもまた、凄くどうでもいい話を思い出しましたが、小学校高学年のとき、掘留くんと合作でマンガを大量に書いていて、それをいちおう製本して学級文庫として教室のうしろのスペースに置いていたことがありました。そのうちの『泥棒物語』『太平洋戦争』『江戸時代末期』などのマンガ群は、殺人が無機質に延々と連鎖するだけのおはなしだったのでしたが、のちに高校生になってから石川淳の『無明』を読んだとき、こりゃ僕たちが書いていたマンガそのまんまじゃん!とビビった。(その頃なんで『無明』なんか読んだかというと、『小説新潮』か何かの〈好きな短編小説ベスト3〉とかいうアンケートで、『ゼウスガーデン衰亡史』で正直絶頂期だったころの小林恭二が『無明』を1位に挙げていたから。)
思い出してばかりいるとキリがないのでもうやめます。

theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

読書日記?

このところ、夏のメニュー替え準備等で多忙をきわめて、身も心もガタガタになっていましたが、ようやく峠を越えて少し落ち着いてきました。
『使い捨て店長』(佐藤治彦編)なんて退屈な新書をわざわざ読まなくても、何年も飲食業界で“雇われ店長”をやっている者であれば、誰でもここに書いてあるようなことくらいは身にしみるように知っているでしょう。今の会社に入って、現場で数週間休みなく働きはじめそして働き続けたとき、毎日大釜の前で長時間熱に炙られながら、こりゃ高村薫『照柿』の(というか、プロレタリア文学の)世界だな‥と感じていました。

金も休みもなくて、どうしたもんかと思いますが‥‥それでもなんとか都合をつけてペドロ・コスタとクローネンバーグの新作くらいは劇場で観たいと思いますが、果たしてどうでしょうか。観にいける本数が限られすぎていてなかなか独自のラインナップが組めず、観る映画がどうしても保守的なセレクトになってしまいがちなのが近年の悩みです。

『使い捨て店長』は内容がどうのという以前に、文章が味気なくて読み通すのが苦痛なシロモノ。新書ブームな昨今ですが、このテの味もそっけもない書物の氾濫を目にしていると、セカチューやらディープラブやらの刹那系の短絡的な小説群のブームのほうがまだ健全だったかもとおもう。本を読むということが、〈知識を得たりスキルを身につけたりするためのツール〉として期待されるというビンボーくささよりは、快楽を得るために読む。というほうが、圧倒的に健やかなんじゃないかと。

映画関連書でいうと、最近話題の(?)藤井仁子編『入門・現代ハリウッド映画講義』なんかは、確かになかなか刺激的だし必読の映画本だと思いますが、どうも教科書然とした文章が馴染まず、イライラする。丁寧丁重、そして退屈。いかにも大学の先生たちの書いた文章群。日本のある水準の映画ファンは、おそらくこれまで、素晴らしい映画本のいきいきした文章を浴びるように読んできたはず。そうした目からみると、昨今の啓蒙的で退屈な映画本の氾濫は一体どうしたものかと首を傾げずにはいられないんじゃないか。加藤幹郎の著作群とか、犯罪的な退屈さだとおもう。

そんななか、月刊誌『シナリオ』別冊の『脚本家 白坂依志夫の世界「書いた!跳んだ!遊んだ!」』が出ました。隅から隅まで、切ったら血の出るような文章群が載っています。そのなかでもやはり、連載時からごく一部で話題だった『人間万華鏡(カレードスコープ)』。スゲェ‥。

theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

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