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④DRMの2007年

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『サイドカーに犬』


選出理由③からのつづき→)
〈2007年日本映画ベストテン〉のリストはコチラ)


〈選出理由その④~〉

いいかげん際限がないので、そろそろ最後にするとして、急いでまとめていきたいと思います。例年、ドンマイもしくは御祝儀枠の⑩から。


⑨の次点、という意味合いでは『パッチギ!LOVE&PEACE』(一作目よりずっといいと思います)、『一万年、後‥‥。』、『ワルボロ』、『叫』等の秀作野心作がひしめいていますが、ここには多少違ったニュアンスで推す映画を挙げたいという気持ちがあります。(自己満足的に勝手に選んで勝手に言ってるだけなので、どうでもいいといえばどうでもいいんですが、物事には何事にも自分なりのバランスというものが誰しもあるということです。)


アクセス解析によると、当ブログには女優の河井青葉さんの検索で辿り着くかたが相当数いらっしゃるようです。そのつながりというか責任感として、河井青葉主演作をここに置きたい気分もそうとうにありました。‥しかし、その映画のタイトルは『セックスエリート 年収1億円、伝説の風俗嬢をさがして』‥。彼女はどこまで被虐的な出演作リストを更新したら気がすむんでしょうか‥。

しかもこの映画がごく普通の出来ぐらいならともかく、ハッキリ、惚れ惚れする程悲惨なシロモノで、それがまた乱造したかのようなヤッツケ仕事ならいかにも理解もしやすいのですが、KAZUTAKA監督なるディレクター、なかなかに本気に頑張って制作しているようなのが、尚更出来栄えの痛々しさを増幅させています。ノンフィクション作家である語り手・河井青葉が、次から次と風俗嬢たちにインタビューして回る、単調なダンゴ状の弛緩した構成に、この映画を観るひとは眠気を振り払うのにかなりの努力を要するでしょう。常々、AV女優が一般映画やドラマに進出したときの演技力の安定度に賛辞を送っていた自分ですが、この映画での女優陣、殊に笠木忍のヒドイ演技には、久しぶりにひっくり返りました‥。いいシーンなど皆無なので、せっかく主演の河井青葉も輝きなし。


ということで『セックスエリート』は圏外へ消え、それではと2006年は『紀子の食卓』等で注目した吉高由里子の2007年出演作、『渋谷区円山町』『歌謡曲だよ、人生は』『転々』はどうだったかというと、これもわざわざ拾うほどのものでもない。絶対に大器と断言したい吉高由里子のブレイクは2008年に持ち越されましたが、話題の主演作『蛇にピアス』公開よりさきに、現在ゴールデン放映中の連ドラ『あしたの喜多善男』では早くもクネクネした異様な魅力で他キャストを圧倒。鼻づまり軟体演技系としては蒼井優の絶頂期を既に凌駕していると判断します。(その蒼井優はここ2~3年程全くダメでしたが、井口奈己監督『人のセックスを笑うな』での彼女のフィーリング演技は、久しぶりに冴えていました。)

(ところで、2007年は驚異的な新人俳優は見あたらなかった気がします。賞レース的には『恋するマドリ』『ワルボロ』『恋空』新垣結衣あたりが新人女優賞の有力候補になるのかも知れませんが、新垣結衣の輝きは去年にはもう摩耗していた気が。男優では、イケメン・ムーブメントに乗った城田優、木村了、岡田将生あたりの台頭が2007年的な印象。)

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『Girl's Box/ラバーズ・ハイ』

となると残るは、自分がファンと公言するボーカル&ダンスユニット、(dream改め)DRM関連の映画をムリヤリ選出しようと目論む‥。
しかし、去年はメディア露出が絶無ゆえに、ファン以外には存在しないも同然だったdream/DRMについて、いったいどこから説明をはじめていいのか、途方に暮れてしまいます。

旧dream、現DRMにとってもそのファンにとっても、2007年は激動かつ静かな一年でした。
その前年暮れにエイベックスからフィットワンに移籍という事態が出立。エイベックスに体よく放逐されたうえ、去年はレーベルはそのままながらもグループ名である〈dream〉をもエイベックスに奪われ、dream名義の膨大な楽曲も封印された。ファンもメンバーも“大人の事情”によるこの蹂躙を、「アイドルからアーティストへの転換」のしるしとしてムリヤリにも納得しようとしていましたが、いざ〈DRM〉としてファーストミニアルバムがリリースされてみると、プロモーション活動もメディア露出もほぼ絶無という扱いで、エイベックスにもフィットワンにも、DRMをアーティストとしても売る気などさらさらないことが露呈してしまいました。
世間一般の誰もが、dreamがDRMに改名したことも(いちおう)方向性をシフトしたことも知らぬまま、飼い殺しからそれに伴い遠からず訪れる契約解除への道筋を着実に歩みつづけるDRM。それとともに、熱心なキモヲタを切り捨てることをアーティスト化と短絡したメンバーによるオールドファン冷遇の姿勢は、心ある(?)ドリヲタの大量離脱という現象を生みました。

こうして、自他共に「今年は勝負の年」と認識していた筈なのに、表だったことは何もすることなく無風状態で過ぎてゆき(メンバーのひとりからは「ニート宣言」の発言あり)、メンバーもファンもモチベーションを着実に下げていったDRMの2007年。前年(2006年)のクリスマスイブには、天下のZepp Tokyoでフルサイズのライブが盛況だったグループが、一年後のクリスマスイブには代々木公園で路上ライブを(事務所に“微妙に”非公認で)告知なしでおこなうまでにウラブレてしまうとは、誰に予想出来たでしょうか。

対世間的には、写真情報ゴシップ誌の「スーパースター・長澤まさみの女子高生時代のスナップ写真」特集に数回、「堀越時代の同級生」としてキャプション付きでdreamメンバーの説明が載ったのが、最大のメディア露出。という、完全なる「過去の人たち」としての2007年。そんななか、メンバー中もっとも「芸能人」としての活動が有る、エース・長谷部優の主演映画も(前項で言及の『Girl's Box/ラバーズ・ハイ』)、公開は2008年に持ち越され、Vシネやドラマにも出番は無しでは、推挙するにも打つ手がない‥。

それでは、元dreamメンバーであり、現在もDRMと親交のある阿井莉沙(フォスター所属)出演作、『スピードマスター』須賀大観監督)はどうでしょうか。
カーアクションものは何気に好物なので、ハナから⑩候補として観賞に臨んだのでしたが‥‥CG丸だしのレースバトルには緊迫感も何もなく、こんなもの暇つぶしにも値しない。やっぱり、特撮映画はミニチュアの手仕事感がないと愛せないように、カーアクション映画にも実車を使用して手間暇かけた痕跡がないと応援出来ないんですよね‥。

そんなわけで阿井莉沙に関しても、次なる出演作『僕の彼女はサイボーグ』(2008年夏公開予定)に期待‥という状況だったのですが、秋の深まるころ深夜帯ドラマ『ハリ系』でハリ系人間(ハリネズミから進化した人間の種族)のモテる女の子を演じる姿をみせ、健在を示していたばかりの阿井莉沙のブログに12月中旬、以下のような声明が出されました。

〈みなさまへ
大切なご報告があります。
私、阿井莉沙は12月をもってフォスターを辞めることになりました。
突然の報告で皆さんを驚かせてしまったと思います。
私自身ゆっくりと自分と向き合い、またみなさんに今までもらった元気を返せるように、
また、さらに色々な経験を積み新しい自分をみなさんにお届けすることができるよう、
私も頑張りたいと思いますo(^-^)o
今まで応援をしてくださった全てのみなさんに心から感謝しています。
本当にありがとうございました。〉

‥こうして、年の瀬まで暗闇に突っ伏すようなニュースを連打して終わったDRMの2007年。その微々たる活動からは、無理にも推挙するような映画は掘り出し得ませんでした。


‥ということで、ここまで書いてきたことは、⑩に『恋する日曜日 私、恋した。』を推したことと何の関係もない無益な話であることがそろそろ露呈してきたわけですが‥‥個人的には必ずしもその出来ばえに満足している訳ではない『私、恋した。』にエールを送るのは、『恋する日曜日 電車』の項(→コチラ)で既に述べたように、この企画の成り立ちに心あたたかくさせられたからでした。そうして出来上がった作品も、少女と難病と恋という題材の定型的プログラム・ピクチャーながら、安全な点取り策にも安易な催涙にも走らず、破れ目のある、ヒリヒリした感触をもつ不定形な映画になっていて、一点に集約されない豊かさをもっている。そこに好感を抱きました。あと、廣木隆一監督には『M』とかの路線じゃなくコッチ方面をバンバン撮ってほしい、そういう意味もこめて『私、恋した。』を推します。
(女優・堀北真希については、色々とまとめて言うつもりでしたが、余裕がなくなってきたので新作主演映画『東京少年』の時にでも、出来たら言うことにしたいと思います。)

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『恋する日曜日 私、恋した。』


さて、まだ④『サイドカーに犬』に触れそこねたままでしたので急いで言います。演技の良し悪しや映像の良し悪し、そういう美学的というか審美的なツマラン芸術観だけでは捉えられない美点を有した、まさに〈映画〉でしかありえない映画、それが『サイドカーに犬』という映画の独自の美しさ。彼女のあの場面の演技がどうのこうの、あのセリフがイイとかイマイチとか、そういう判断から遠いところに立った表現がここにはあると感じる。傑作だと思いました。


関連記事:『恋する日曜日 電車』
       映画版『恋する日曜日』その1
       映画版『恋する日曜日』その2
       『叫』①『叫』②


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『サイドカーに犬』



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③山下敦弘

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『天然コケッコー』


〈→〈選出理由②〉からのつづき〉
〈2007年日本映画ベストテン〉のリストはコチラ)


〈選出理由その③~〉

さて、なんと選からもれた天才・山下敦弘。デビュー時から変わらず熱烈に応援していたのに自分でも信じられませんが、去年はどうにも乗れなかったのだからしょうがない。その2本を比べたら、『天然コケッコー』ではなくて断然『松ヶ根乱射事件』(『松ヶ根~』については既出記事有り)をとりますが、『松ヶ根~』に対してもかすかな違和感を感じていることは、既に公開時述べました。この2本よりかは『ユメ十夜』で担当した短編のほうが底がぬけていて、ずっと良かったと思っています。

どうやら大変好評らしい映画版『天コケ』は、ラスト、黒板に頬寄せたり、ワンカット内で時間が飛んだりする表現に代表される“いかにも”映画的なシーンが不毛と感じられました。茫洋としているようにみえて実はシュッとしているくらもちふさこ作品の力は、キャラクター描写にこそキモがあるとおもう。殊に『AーGirl』以降、作風が徐々に「物語を物語ることを放棄しキャラクターの生命感の描出に力点を置く」ように作劇作法がエスカレートしていった時期、その表現が臨界点に達したのが『天然コケッコー』だったという認識があって、それがわざわざ軟体気質の山下監督の手にかかったというのに、映画版の『天コケ』の場合、ダラダラしているのは見せかけで(“ダラダラしてる”というスタイリッシュな描写)、端正な輪郭に行儀良くおさまってしまっています。
キャラクターの心情や行動によって、シーンがのびたり縮んだり飛躍したりするのではなく、用意されたエピソードに案配よく人物や行動言動が配置されてゆき、バランスのとれた時間配分でシーンが構成されてゆく。という、じつにハコ書きチックな、反・くらもち的である以上に反・山下敦弘(&向井康介)的作劇に疑問。やはり戦犯は渡辺あやか‥。岡田将生は好きですが、この映画の大沢くんはぜんぜん魅力なし。逆に(?)、これまではその自意識の過剰な表出ぶりが常々カンに障っていた夏帆の演技および佇まいを、この映画では初めて心静かに見守ることが出来ました。

正直、観ている最中は、堪能しよう好感を抱こうと前のめりになっていたゆえもあって、直後しばらくは自分のなかに好評の声が渦巻いていたのですが、しばらくして冷静になってみると、「『天然コケッコー』が山下敦弘で映画化!!」というニュースをきいたときの興奮と期待に、思い描いていた想像上の映画の出来に、じっさいの映画『天然コケッコー』が全く達していないことに白々とした気持ちをどこか抱いていたのでした。上質な佳作。など、この企画にも山下敦弘監督にも望んでいなかった。演出や美術や撮影や演技(←廣末哲万以外)が良いという判断があろうとも、最終的には、この安全な映画からは興奮も愉悦も残念ながら得られなかった。そういう寂しさがありました。

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『Girl's Box/ラバーズ・ハイ』

ところで、2007年、個人的に一番印象深いのは『Girl's Box/ラバーズ・ハイ』(近日公開)なる映画にエキストラで参加したことでした。2007年の内に公開していれば、出来不出来は問わず(感触としては、ゼンゼン駄目)、思い出に是非⑩に挙げておきたかったんですが、それはともかく、唐突にここでこの話をしだしたのは、山下敦弘監督『リンダリンダリンダ』(05)に関連してのことがあったからでした。

『Girl's Box/ラバーズ・ハイ』の舞台となるのは傾きかけたショーパブ〈Girl's Box〉、大ざっぱに言えばここで『コヨーテ・アグリー』みたいな話が展開されるのですが、僕はこのショーパブに集い、盛りあがる客のひとりとしてこの撮影に参加したのでした。しかし、物語の背景が助監督によってちゃんと説明されることがないまま撮影に臨むことになったため、ここで歌い踊る金魚(長谷部優、長澤奈央、嘉陽愛子による現実にあるユニット)に対して、われわれ客役のエキストラたちは、どの程度熱狂的に振る舞うべきなのか、ただ噂をききつけて冷やかし半分に駆けつけた客なのか、前から彼女らの熱烈な信者なのか、それとも彼女らではなく〈Girl's Box〉というショーパブのハコを愛する人々なのか、ちっとも判然とせず曖昧なまま、とりあえずテキトーに盛りあがるしかなかったのでした。
そうするとどうなるか。
エキストラなんて基本やることなくて退屈なもんで、観客として反応しろ~と指示されたら、やたらとハッチャケて熱狂的に振る舞う。そのほうが“レジャーとして”楽しいし、退屈しないし、してやった感もあるし。ということで、我々エキストラは、物語上の機微も客とステージ上の彼女たちとの関係性も、まったく知りもしないながらも大汗かきつつ大騒ぎしていたのでした。
それが果たして物語上の背景として適した質の騒ぎかただったのかは本編を観るまで不確定なのですが、ヤケクソに延々と飛び跳ね続けつつ、僕が思い出していたのは『リンダリンダリンダ』についての一連の逸話でした。

とりあえず資料が手元にないのでうろおぼえで話を始めますが、『リンダリンダリンダ』の開巻間もなくしての長回し、校内中を歩く前田亜季をキャメラが追う。そのさい、大人数の高校生たちが、それぞれ各々文化祭の準備に勤しみつつ騒いだりしている姿が現れては消えてゆく。細部まで演出の行き届いた充実した画面。このエキストラの演出を担当したのは確か山下たちの後輩である元木隆史『ピーカン夫婦』!)だったはず。『Girl's Box』とは違って、こちらは細部まで気が配られていると感じられ、信用して映画内世界に没入してゆくことが出来る。

さて、“ガールズバンド青春ムービーとしての『リンダ~』”に対する外部からの要請(プレッシャー?)とは裏腹に、山下敦弘と向井康介は『リンダ~』の結末部、(一致団結演奏して盛り上がってシメ)というコッパズカシイ定型をなんとかスカそうと躍起になって抵抗をしめしていた。しかしどうやらそのクライマックスを外すことは商業映画として不可能のようで、彼らは確信を持てぬままクライマックスの撮影をむかえる。ここでも恐らくエキストラの相手をしたのは元木隆史であったのか。山下/向井のシャイネスは、“ヤラセ”の盛り上がりなど許容出来ずに、最終的に体育館でパーマンラウムの演奏に立ち会う観客(エキストラ)たちは、特にどう盛り上がれと指示されることなくフィーリングでやってくれというアバウトな扱いをされる。
結果、パーマンラウムの演奏に観客たちは熱狂的な喝采と盛り上がりで応える。クライマックスの成りゆきに不安を抱いていた山下敦弘(や向井康介)は、指示もせず自然にこのようになったのだから、これで良かったんだと肯定的にとらえることが出来た、というふうにインタビューにこたえていました。
彼らは、観客の盛り上がりに“自然発生的な”「ほんとう」があった。そう認識し、それが「コッパズカシさ」としてしかなかったこのベタなクライマックスを許容することが出来た。そういう「納得」があった。

しかし自分が『Girl's Box/ラバーズ・ハイ』の現場を経てみると、この山下敦弘らの納得は、少々認識が甘かったんじゃないかという気がしてならない。観客たちは自然発生的に熱狂したんじゃない。エキストラたちは、ノリのいい曲に接して、微妙に徐々に温まって渋々のように自然とノリだすなんて繊細なナチュラルさを属性として有していない。『2/デュオ』の俳優じゃあるまいし、退屈してるからエキサイトしていいならしたほうが楽しいだけなのだ。
だから、山下敦弘(や向井康介)が心のどこかで(もしかしたら、ヘタこいたかも)と未だに思っているかもしれない『リンダ~』のクライマックスシーンは、山下/向井的な意味で、キッチリと失敗した場面だった。そのように自分のなかでは最終判断がくだりました。

しかし、それもひっくるめて自分は『リンダリンダリンダ』という映画は好きだと感じるし、作品の資質の方向性として歪で間違っているあのクライマックスも、無方向にとっちらかる“山下的いい加減さ”として愛しているのだとおもう。『天然コケッコー』にはそのようなイビツさがあまりにも無かったし、『松ヶ根乱射事件』はその「無方向ぶり」が余りに確信犯じみていて、いいかげんさが足りなかった。そう感じています。

(→選出理由④につづく)

関連記事:『松ヶ根乱射事件』
       『天然コケッコー』映画化!!
       『ピーカン夫婦』その1
       『ピーカン夫婦』その2

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『松ヶ根乱射事件』

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②風

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『気球クラブ、その後』


(→〈〈2007日本映画ベストテン〉選出理由その①〉からのつづき。
〈2007年日本映画ベストテン〉のリストはコチラ)


それでは続いて、②~⑨についてざっと振り返りたいとおもいます。

『くりいむレモン いけないマコちゃん』
レズネタだという以外、特に原典との共通点はないほぼオリジナルの物語。一体、これのどこがいけないマコちゃんなんだあ~というオールドファンのブーイングが聞こえてきそうですが、大むかし平野俊弘ファンだったし垣之内成美ファンでもあった自分がノー問題なのだから、何の問題もないということにしておきたいと思います。(あんまり自慢になりませんが、オリジナルはノベライズ版まで読んでます。ふつうにストレートに実写化したら、まんま井口昇みたいな映画になるかも。)
荒涼とした風景に風が吹きすさぶ世界、人がゆっくりと消えてゆく。まるで『回路』(00)か『大いなる幻影』(99)か、注目の新鋭・保坂大輔監督の新作はなんと永森裕二/AMGの元で実現。このような題材でも保坂大輔らしさがキッチリでた、幸福な作品だとおもう。性差も恩讐もこえてなされる屋上でのキスの交換等、ささやかな飛躍が映画をみる喜びを届けてくれます。

『国道20号線』、⑥『ラザロ』。このようなかたちで〈現在〉と切り結ぼうとする心意気。逆に⑦『人が人を愛することのどうしようもなさ』は、時代に流されないというか我が道をゆく石井隆の心意気。正直何の興味も持てない喜多嶋舞という「女性」の一挙一動に、次第に釘付けになってゆく凄さ。実は、なんだかんだと石井隆を応援しつつも、たぶん『夜がまた来る』(94)あたりまでは、“映画ファンあがりのアマチュア監督”に対して、あそこは良いけどあそこはヤリ過ぎとか、どこか傲慢ながら上から目線でみていた部分のある自分がいたように思う。それが自分の中で変わったのは『黒の天使vol.1』(98)『黒の天使vol.2』(99)連作あたりからでしょうか。偉大な優れた映画作家のフィルモグラフィをフィルムセンターやシネクラブで追うようにして、その一作一作に接している自分に気づく。
『人が人を~』は、エロ表現の映画史的更新としても記憶に留めたい作品ですが、今回も「不吉な予感」の描出力が、相変わらず天下一品だなあと感じさせられました。

『気球クラブ、その後』は誰がみたって素晴らしいと思わせる青春映画。『恋する日曜日』の一編と言っても通るような、リリカルで愛すべきプログラムピクチャーの小品然とした佇まいがいい。園子温の絶好調はつづく、『エクステ』も良かったです。しばらくは、毎年2~3本ずつ園子温の新作をコンスタントに観たいですね。蜷川某なんぞではなく、園子温にこそ吉高由里子の初主演映画は撮ってもらいたかった。

『機械じかけのRQ』、安藤尋のものとしては、力作『僕は妹に恋をする』よりコチラをとります。サイボーグみたいに完璧なレースクイーン(亜紗美)。実は、彼女はアンドロイドだった。というアホみたいな話が、重く、息詰まる、生真面目な安藤印のタッチが、ここでは(その生真面目さがかえって幸いに)オカシミに転化し、飄々とした闊達さで「苦いコメディ」が実現されています。これまでイマイチ乗れなかった亜紗美でしたが、この役は良かったですね。面白ゼリフが多々あって、その発声も可笑しかった。「汗ト匂イハ手二入レマシタ。ダケド、アイ、ガ、ワカリマセン。アイ、ハ、ソノモノノ価値ヲ認メ、強ク惹キツケラレル気持チ。可愛イガリ、イツクシムココロ、デス。気持チ、ッテナンデスカ?ココロ、ッテナンデスカ?アイ、ヲ、シテル、トハ、ドーユー状態ヲ示スノデスカ?」とか、「アイ、シテマスカ?アイ、シテ、クダサイ」とか。

『ヒミコさん』は⑤『国道20号線』とともに別記事有り。どちらも“ある種の”傑作ですが、『ヒミコさん』の位置がココなのは、受容のされかたが気に入らないため。要するにコレを軽々しくホメてる人と一緒になりたくないという抵抗感が、この微妙なポジションに『ヒミコ~』を落ち着かせる結果となりました。⑥『ラザロ』は、ゆくゆくDVD化され→レンタルor購入して自宅で消費(あるいはネットで観賞とか)。そういう現在的観賞のしかたが実に似合わない、風貌のイカツサが頼もしい。映画館で観るべき映画っていうのは、今でもまだある。そういう確信を与えてくれます。

そのへんのことで言えば、選出経緯は次項に譲りますが『恋する日曜日 私、恋した。』を⑩に選んでしまった理由も、「映画館で観る」という行為と結びついてる気がします。

場所は新宿トーア。観客は…‥露骨に関係者らしき男性と、露骨に堀北真希ファンらしきふくよかな若者(上映後、500円のポスターを購入してた)と、自分の、計3名。
30代、関係者でもなく、特別堀北真希ファンというわけでもない、ただひとりの一般的観客として、トーアの惨憺たる入りの客席に腰を落ち着ける。ふつうに映画を期待して観に来た、そのことが何故こんなに孤独で居たたまれない気持ちをうむのか。自分は何か決定的な過ちを犯しているのか。ここでこのようにして、ビュオビュオ風の吹きすさぶこの映画の風の音に包まれつつ、わたし、恋したという台詞を耳にすることと、TSUTAYAで選んで自室のDVDデッキにソフトを放り込んで観賞することとは、体験として決定的な違いがある筈だ‥。

そういえば、2007年の日本映画には、強く冷たい風が吹き荒れていた気がする。①も②も③も、さまざまな風が吹いていました。あるときは微弱な陽光の熱を奪い去るように弱くしかし冷たく、あるときは存在の意識と人と人の距離感を根こそぎ奪いさるほど強く荒れふぶいて。『叫』『魂萌え!』を遠くから想起するときに残る印象も、一塊の、一陣の風。そのような存在感が、ある時、ドワッとスクリーンを横切った。そのような印象。


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『くりいむレモン いけないマコちゃん』(07)


さて、言い残したことはまた後日に。そういえば『サイドカーに犬』に触れるの忘れてましたね‥‥。

(→選出理由③につづく)

関連記事:『僕は妹に恋をする』
       『魂萌え!』①『魂萌え!』②
       『国道20号線』
       『ヒミコさん』
       『叫』①『叫』②

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①シネマの虐殺

さどばk
『サッド ヴァケイション』

〈2007年日本映画ベストテン〉からのつづき→)

〈選出理由その1〉~

〈(‥)映画は本来随分前から、トーキーになってからと言えるかもしれないけど、一個の視点では足りなくなっていたはずなんです。次から次へと視点が変わっていって当たり前なんだと。そういうほとんど考えられなくなってしまったことを改めて考え直さなければならないと思っています。これは自分自身の問題でもあると同時に、無限大の映画が抱えている問題でもあるという気がするんです。どこかモノローグで済ませられないところ、あるいは作家その人の視点からどんどんはみ出していく位置があるはずなんですけど。
トニー・スコットの映画を見て「こういうこともできる」と。対話という言葉ではその時は考えていなかったんですけど、何だって繋がりうると思いました。
いままでだったら1カットで行くところをもう1カット入れて3カットにする、
言ってみれば「これがシネマだ」と自分が思ってた感覚を押しのけて別なモノを入れた
(光石研と斉藤陽一郎のシーン)あそこほど残酷なことをしているとこはないですね。
あれこそまさに自分の中のシネマを虐殺した瞬間というところがあるんです。つまり、あれを十一分まるまるワンカットでやれたらどんなに幸せかと思うけれども「そうじゃない。これをずたずたにするんだ」と、そうやって自分のシネマを虐殺したんですね。〉(改行→中略)

上記は、『サッド ヴァケイション』についての座談会での、青山真治の発言。まさに今現在的に、映画が抱えている問題について、青山真治監督が真摯に危機感をかんじ、幸福な〈あるべき、確固たる、完璧な映画〉との合一というシネフィル的耽溺に向かわない姿勢を(実作で)示した、と思わせる、そのような言葉。それは結局、〈他者〉とどのように相対するのか、〈他者性〉がどのように映画を、そして人生を豊にしてゆくのかという「人生の問題」として、映画制作の時間が生きられた。そういう幸福さが、『サッド ヴァケイション』という映画に刻印されていると感じられました。

自分が青山真治の映画を手放しで賛美&応援しつづけてきたわけでもないのは、このブログのあちこちの文章や、年間ベストテンからも明らかだと思いますが(過去『Helpless』『EUREKA』さえ挙げておらず、結果推挙してたのは以下の微妙な作品群でした→'97⑧『WiLd LIFe』、'01②『路地へ』、'03⑨『月の砂漠』、'06⑤『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』)、ここでは過去青山映画に不可避的に漂っていた胡散臭さが吹き払われていて、なんと“素朴な”好感をもつことになった。『サッド~』で採用された主従でなく用いられた2キャメという撮影スタイルは、人と人との〈対話〉〈繋がり〉というハートフルな要素を、どうしたって頭でっかちな監督の自我に映画が澱みがちな青山真治の映画世界に、ごく自然な形で導入することに成功した。
例えば『EUREKA』でも、『シェイディー・グローヴ』でも『月の砂漠』でも何でもいいのですが、それらで描かれていた〈愛〉や〈救い〉や〈つながり〉は結局、〈シネマ〉や〈観念〉や〈作家性〉や〈主題の展開〉の下位概念に甘んじ、悪くいえば、何らかの賞賛を得るための、あるいはある種の議論を豊かに組織するための円滑的構築物として、〈映画〉の「ある一部」を構成するものに過ぎなかったような気がしなくもない。

しかし、〈シネマ〉を虐殺し、聖典的厳格さもシネフィル的高踏もその表情に陰りをおとさない『サッド~』にある〈感情〉や〈救い〉や〈つながり〉は、映画の構成部品ではなくてただそこにある〈感情〉で〈救い〉で〈つながり〉で、それが愛しい人への優しいまなざしのような空気となってスクリーンの中と外に吹き過ぎてゆきました。

2キャメ撮影による、シネマの虐殺を意識的に試みた映画といえば、この前年、黒沢清『LOFT』がありましたが、その意味合いというか風合いは『サッド~』とはだいぶ違って感じられます。
(以下は黒沢清の発言、同様に改行は中略→)

〈(‥『LOFT』で)カメラ二台を使ったとはいえ、メインのカメラがあって、もう一台はそれを補足するようにあるというんではないんです。そうではなく、二台ともがメインで、だからどっちかだけ使ったって成立するんだと。
予備で押さえておきましょう、というのではなくて、二台のカメラどっちを使ってもうまくいくように、対等な形でいつも回していたんです。
相当細かく出鱈目に割られているんですけど、半分以上、へたすると三分の二以上のカットつなぎは、通常つながらないとされているつながりなんですよ。
最初から2台を、特につなぎがうまくいくようになど考えもせずに回してみて、結果として編集は何でもありだということがあらためてわかった
セオリーなんていうのは、そのうちのほんの一種類だけで(‥)〉

『LOFT』はこの結果、映画というモノはそのくらいのことではピクとも揺らがぬ、底知れない恐ろしいモノだという事実がたち現れ、拡散的に〈世界〉はひろがっていかずに、関節が外れたまま粘着した触感を伴いつつ内へ内へと〈映画〉という〈世界〉へ閉じていった。最終的に、“自閉した一個の完全生命体”然とした映画作品がゴロリと世界に横たわる。このヘンな帰結、さすが〈映画獣・黒沢清〉の面目躍如といったかんじもしますが、黒沢清のばあい、この行く末に未来はないとも感じてしまう‥。やはり、映画(=私)と世界(=他者)との結びつきの更新が肝要ということでしょうか。

なんか急いで駆け足で語ってきてしまい、言葉足らずなのが気がかりですが、気に病んでいても進まないので先にゆきます。ところで、どこまで真面目に受容されているのか幾分心許ないのですが、去年のトニー・スコット『デジャヴ』。その表現と、それがもたらす表情に震撼しました。トニー・スコットだから言うんじゃなく、素で感動したというと、巷では馬鹿にされるんでしょうか。

ここでは絶対的必然をもって、メイン(A班)とサブユニット(B班)の主・従/主・補という関係が凶暴なほど徹底的に解体され、世界を捉える視線の複数化が強引に実現されています。
出色は、メインとB班が競作し、せーので同時にスクリーンに映写しはじめたかのような、驚愕のカーチェイス場面。過去と現在を同時に疾走する、こんなカーチェイス観たことないし、そのうえそれが新式の興奮となって、キチンと娯楽になっている凄さ。

そして冒頭、フェリーにさまざまな人々が乗船してゆく、雑多なカットが積み重なる場面。いかにもB班なこの一連のシークエンスが、終盤、繰り返されると、まるで古典的映画の正確で端正なショットの積み重ねのように、厳然たるショットとショットの連なりのように感じられてきてしまう不思議な体験をもたらす。主/従、メイン/サブの階級性を解放する、その最前線には、やはりトニー・スコットがいるのだと納得。

‥さて、予想通り(?)全然書き終わってませんが、次項以降は以下の要領で述べていく予定です。

○②~⑨ざっと
○ドンマイ枠⑩の決まる経緯
○DRM/dreamの2007年
○山下敦弘の2本と、『リンダリンダリンダ』
○堀北真希という女優

(→〈選出理由②〉につづく)


関連記事:
『叫』①(『LOFT』に言及)
吉祥寺バウスシアターで『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』爆音ナイト
『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』

theme : 2007年度 ベストムービー
genre : 映画

2007年日本映画ベストテン

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『サッド ヴァケイション』


〈2007年日本映画ベストテン〉

①『サッド ヴァケイション』(青山真治監督)

②『くりいむレモン いけないマコちゃん』(保坂大輔監督)

③『気球クラブ、その後』(園子温監督)

④『サイドカーに犬』(根岸吉太郎監督)

⑤『国道20号線』(冨田克也監督)

⑥『ラザロ』(井土紀州監督)

⑦『人が人を愛することのどうしようもなさ』(石井隆監督)

⑧『機械じかけのRQ』(安藤尋監督)

⑨『ヒミコさん』(藤原章監督)

⑩『恋する日曜日 私、恋した。』(廣木隆一監督)



すこし時期がおそくなりましたが、毎年勝手に脳内で選んでいる極私的なベストテンです。

昨年は平成に年号が変わって以来、個人的には史上最低の観賞本数を記録しました。理由はあまり言いたくありませんが、映画への興味が摩滅していっているのを自分でも感じています。

そんなこんなで、マニアックに走れるほど本数をこなしていない分、結構保守的なベストテンになってしまったのが心残り。ピンク映画やVシネマがぜんぜんフォロー出来なかったのが痛い。
当ブログで去年長文を費やした、黒沢清『叫』、周防正行『それでもボクはやってない』、塩田明彦『どろろ』、山下敦弘『松ヶ根乱射事件』、阪本順治『魂萌え!』等が入らずに、触れてないのばかりがインする結果になってしまいましたが、他意はありません。2005年でも2009年でもなく、2007年にこそ公開された、その必然の感じられる映画群が自然とセレクトされていったと感じています‥。

長くなりそうなので、選出理由は以下後日につづく→

(→〈選出理由その①〉〈選出理由その②〉〈選出理由③〉〈選出理由④〉

関連記事:
2006年日本映画ベストテン
『叫』①『叫』②
『それでもボクはやってない』
『松ヶ根乱射事件』
『どろろ』
『魂萌え!』①『魂萌え!』②
『国道20号線』
『ヒミコさん』

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2007年秋ドラマ

さて、もう新ドラマがはじまってるというのに、また話題がちょっと時期はずれになってしまいましたが~、去年最後のシーズンのドラマのことについて、です→


〈2007秋ドラマ〉
①モップガール
②医龍Team Medical Dragon2
③家に五女あり
④熱血ニセ家族
⑤3年B組金八先生(第8シーズン)
⑥暴れん坊ママ
⑦愛のうた
⑧働きマン
⑨SP
⑩お・ばんざい!



10ー12月期のドラマは、久しぶりに超・超・超低調でした。『ドリーム☆アゲイン』、『ガリレオ』、『有閑倶楽部』、『歌姫』、『ジョシデカ!』、『ハリ系』など‥。自分では我慢づよいほうだと思っているのですが、あまりの冴えなさに、いくつものドラマを途中の数話で離脱しました。

仕方ないから昼ドラ群(『お・ばんざい!』『家に五女あり』『愛のうた』『熱血ニセ家族』)で補強。とりあえず放棄せずにみたのはこの10本でした。ボーダーラインは④あたりでしょうか。

この超超低調の期間中。本放送時、現実に起きた事件とタイミングよくリンクし過ぎて不幸にも放映が中止となってしまった、『セクシーボイスアンドロボ』の第7話「ハンバーグさん」の回を、レンタルしてきて観てみましたが‥‥この1話だけで、今期の全ドラマを凌駕するんじゃないかと思わせる素晴らしさでした。

もう一つ。冴えない“妄想族”サラリーマンたちが性的に右往左往するという、テレ東お得意の軽エッチ・コメディ・ドラマ『2ndハウス』(長野博&磯山さやか主演)は、本放送時、あまりに下らなくバカバカしいので中途離脱してしまいましたが、先ごろ再放送されて、これを今期(10ー12月期)ドラマの放映されるなかでみていると、何だか立派に面白く感じられ、無事最後まで観ることができました。それだけ、今期ドラマがどうにもこうにもというものだった。と感じています。

今期では①『モップガール』が、唯一無二、ダントツ、圧倒的な面白さ。これだけが、『セクシーボイスアンドロボ』にも比肩する素晴らしいドラマだったと思います。どこがどう凄いのか、何だか言いづらい種類の魅力なのも、愛着かわく原因。一部では北川景子の演技が難点なんて声もありましたが、まさか!何より北川景子が素晴らしかった。余裕があれば別項で。『トゥルー・コーリング』との比較とか脚本がどうとかいうことは、このドラマの本質的な魅力とはまったく無縁の言説だとおもう。

ケレン満載、②『医龍2』はサスガの面白さだったのですが、存在してもしなくても、どっちでも良かった。そういう弱さはあると感じる。新キャラ、某さんのおかげで、大根度はアップ。あと、中村靖日はどうも好きになれず‥こういうのを“映画的ないい顔”とかいうのは違うだろうとおもう。彼はダメで、山本浩司がイイと感じるのは、どんな違いなんだろう?

『ライアーゲーム』、『ライフ』ときて、さてフジ土深夜枠が次に何をやらかすかと期待していたら、その新作⑨『SP』のカビ臭さに唖然。せっかくの冒険枠で、岡田准一×本広克行×金城一紀とは、いかにもな層へ向けてのイージーな仕上がり。失敗し破綻することを畏れないような冒険心が足りないんじゃないでしょうか。“やや”脱力系なところがトレンドか。設定、演出、脚本、音楽、ギャグ、アクション‥‥どれをとってもドンヨリと鈍く冴えない寒々しさ。ものすごい低いハードルを、スレスレでクリア出来なかった感じ。岡田くんカッコイイ、以外の理由で、ホメてるひとがもし存在するのなら、真面目にその良さをきいてみたいと思います。『3年B組金八先生』、起承転結なき作劇に驚愕。逆に、起承転結のキレイな回は物足りないかんじ。レプロの最終兵器・菅澤美月は意外にも不発。

ここ数年、テレビドラマに顕著な時代のしるしとして顕れていると思われるのが、〈疑似家族〉の問題です。その問題の重要さについてはおいおい別の機会に考えたいと思いますが、とりあえずここではその状況をざっと概観しておきたいと思います。

近年のドラマ、例えば『役者魂!』では、藤田まこと・松たか子・川島海荷ら、直前まで見ず知らずだった人々が集い、肩を寄せ合い家族として束の間暮らしはじめる。『ギャルサー』での少女たちは、背景に家庭の存在をほとんど感じさせず、〈エンゼルハート〉というギャルサークルに集い、そこで、家庭で一歩一歩学ぶように、嘘をついてはいけません、借りたものはキチンと返しましょう、1日1日を大切に生きましょう、ひとに死ねとかキモイとか言っちゃダメだよといったことを日々学んでゆきます。先ごろの『セクシーボイスアンドロボ』でも、ニコの家族は実際の家族ながら、その繋がりの不自然さ、不確かさが描き出され、ロボたちとの、恋人とも友達とも仕事仲間言い難い、奇妙な疑似家族的“チーム”の〈繋がり〉が描かれていました。

『家に五女あり』での前田吟は、定年退職して初めて、子供である姉妹たちに正面から向き合い、彼女たちについてなにも知らないし繋がり方も分からないという事態に戸惑うことになる。血縁家族であるという素朴な過信は、それだけでは“絆”となり得ないのだ。映画『紀子の食卓』ばりに開巻早々からレンタル家族ネタが炸裂する『熱血ニセ家族』のばあい、天涯孤独(ぎみ)の主人公たちは、あるふとした奇縁から、露骨に血縁とは無縁の〈疑似家族〉を形成することになります。
昼ドラそのもの(ただし、出来の悪い)の空気感を醸し出していた『暴れん坊ママ』でも、新婚の上戸彩は、忽然と現れた自分の子供ではない少年(夫・大泉洋の、前妻との間にいた子)を、何とか〈真の家族〉として認識してゆこうとして、奮闘する、そんな姿が描かれていましたし、『お・ばんざい!』での斉藤由貴や『愛のうた』の雛形あきこも、自分のお腹を痛めた実子ではない“連れ子”たちを〈家族〉そのものとして包み込んでゆく。『オトコの子育て』『おいしいごはん 鎌倉・春日井米店』においては、“一度崩壊した家族を強引に再接合する”という物語類型が採用されていました。

一年前のドラマになりますが、『演歌の女王』ではもう少し複雑で、ここで“家族”を形成するのは、連れ子や恋人や趣味を同じくする輩ですらない。しがない演歌歌手である主人公・天海祐希は、良く分からない微妙な関係(腐れ縁?)の男(原田泰造)の隠し子や、原田が援交(?)未遂して(?)遭遇したイジメられっこ(成海璃子)などを何故かドンドン引き取る羽目になり、生活力も統率力もないのに無意識に〈疑似家族〉のフィールドをどんどん膨張させてゆく。そのようにして、ギクシャクと不自然に生成されていく〈家族〉というシステムが、寒々しさと温かさの混在した妙な感触をもって描出されていました。

そういったドラマ群を前にすると、エディプス的家族像を〈良きもの〉として肯定しようとする力のつよい『3年B組金八先生』は、かなり古ぼけて視聴者に印象されます。毎度盛り込まれる時事的社会問題も、現在的な装いをドラマに与えるというよりはかえって骨格の古さを際だたせる。その旧態ぶりが、必ずしも悪いこととは思いませんが‥。
(また、必ずしも〈疑似家族〉を題材としない作品群も、〈チーム〉という曖昧な“繋がり”を、主題系のひとつとして有する。『有閑倶楽部』『働きマン』『医龍2』などにおける束の間の共同体、『ガリレオ』『ジョシデカ!』の異質なコンビ‥)

要するに、血縁からいったん切り離したところで〈絆〉や〈家族〉が再考されている。そのようなムーブメントが現在テレビドラマ周辺で隆盛だと(ドラマではないけど、『家族解散』の卑俗な焼き直しみたいな『幸福な食卓』もありましたし、「もう父親のポジションはオリて好きなことする!」という発端をもつ物語群は多々アリ)。
「あたりまえを疑うこと」が表現の原則なのだから、ドラマ作品が懐疑的視点から“家族”や“共同体”の解体(や再生)を描くのは、時代に関わりなく当たり前といえば当たり前で、山田太一の太古から変わらないといえばそれまでですが、これまでとはまた異なる〈みなしご感〉が、現在的ドラマには漂っているように思います。
〈家族という制度への懐疑〉というよりはそれを自明のものとしたところから出発した〈疑似家族〉表現。その端的にわかりやすい代表例として、映画『紀子の食卓』終盤の、“じっさいの”〈血縁家族〉が〈レンタル家族〉として〈疑似家族〉を演じたとき、初めて平和な一家団欒の時が訪れる、という、幾重にも倒錯した描写などがあり、ここには、この時代固有の、家族についてのある実感が刻印されています。
それらが何を意味して、何を指し示しているのか、色々と考えられそうで興味深い状況だなあと。

そうして、それら幾多のドラマ群のうち、一般的には失敗作に分類されている感のある『役者魂!』、『ギャルサー』、『演歌の女王』あたりが、〈疑似家族〉の問題について、ある種豊穣かつ尖鋭な表現を有している作品だとおもいます。(この項つづく予定)

なんかまた堅苦しいかんじになった‥。もう少し腰砕けな感じで話を終わりたいと思うので、もう少しだけ。
『お・ばんざい!』
主人公の斉藤由貴は、新日ファンというか猪木ファンという設定らしいのですが、言うのは〈1、2、3、ダー〉と〈元気があれば何でもできる〉とか薄過ぎるのばっかり。それのどこが猪木信者やねん!

『暴れん坊ママ』
普段は、いちおう気をつかって、嫌いなタレントや俳優さんのことを〈嫌い〉と言わずに〈苦手〉と濁して記述しているのですが、大泉洋については濁したくないくらいハッキリと大嫌い。どこが嫌いかも考えたくないほど嫌いなので、この『暴れん坊ママ』も直前までいっそ見るのをやめようと思っていました。おまけにヤツの前妻との息子ユウキ(澁谷武尊)、この子の演技がまた実に苦手(濁した)なタイプの演技で‥。それでも最後までみつづけたことを考えると(東幹久が相変わらず最高だったことはあるにしても)、自分は上戸彩がそうとう好きなんだろうなと、そんなに考えていなかった事実を改めて認識することになりました。

theme : テレビドラマ
genre : テレビ・ラジオ

石田光洋

今日昼過ぎウチの店に、総合格闘家・石田光洋選手が食べにきました。実物をちかくで見て、なんだか感激した!!

ガッシリした男性の2人連れが来店して、席についた。最初はなんかそのうちのひとりが石田選手によく似てるな~と思ってたんですが、よく見るとインナーのシャツにTーBLOODの文字が!ヤッパ石田光洋だ!

で、噂に違わず好青年で、先輩らしきその連れのひとには終始丁寧な言葉づかい、従業員である自分に対しても横柄なところは微塵もなく、優しく接してくれてた。料理を出したときも(そんなに大した料理でもないのに)、ワー、スゲー、と純朴な感嘆を発し、さわやか新党の看板に偽りなし!

先輩がハメてみろと戯れに渡したゴツい指輪を指にハメて、つけたはいいが今度は外れなくなって慌てている石田選手。キライなヤツの(試合前の調整の)練習なんて正直付き合いたくねえよな~という先輩の言葉にも毒で返さず曖昧に微笑む石田選手‥。一々、とことんさわやかなのでした。

会計時、石田選手はたぶん経済的にはぜんぜん困っていない筈だが、ここは俺が出すと先輩が一括して払う(但し領収書有りで‥)。夜は祝勝会的なものがあるらしく(石田選手は先日の『やれんのか!大晦日!2007』であのギルバート・メレンデスに激勝、同日試合のあったチームメイトたちも軒並み勝利をおさめた)、その代わり~そこでの払いはオマエ(石田)な~、と冗談ふうに言い放つ先輩。笑う石田選手。その顔は激闘のあとを感じさせない綺麗なものだった。

(帰ってから、『PRIDE男祭り2006』のDVDで確かめたら、先輩らしきひとはやはりチームメイトでした。佐藤大輔の煽りV中では、石田選手と共に走りこんでいました。)


theme : 格闘技
genre : スポーツ

謹賀新年

遅ればせながら、

あけましておめでとうございます。

このブログを継続的に読んでる人がいて下さるんだか、いないんだか、良くわからないので、挨拶のテンションもどうしたものか良くわからないのですが、とりあえず、今年もよろしくお願いします!!

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プロフィール

ししらいぞう

Author:ししらいぞう



東京在住

調理師のようなことをやっています。

趣味は立ち読み 格闘技観戦 映画観賞

3月生まれO型  

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