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『火火』

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『火火』

(2004年、日本、114分)

監督・脚本:高橋伴明
出演:田中裕子、窪塚俊介、岸部一徳、黒沢あすか、池脇千鶴、遠山景織子、石田えり

女性陶芸家の先駆者であり、
かつ骨髄バンクの旗揚げに尽力したひとりの女性の生、
白血病におかされた息子を描く。

実話をもとにした、
〈芸術家として 母として
 火のように生きる姿 人間と命の賛歌〉です。

同時期の『いつか読書する日』(以下『読書』)と同じく、
田中裕子が主演し岸部一徳が助演で登場という構図から、
『読書』との比較がついついなされがちで、
じっさい、
『火火』のほうが良い、
ことに田中裕子の演技がこっちのほうが上、
という意見もちらほらある程で、
なかなかの善戦している作品だという判断は少なくないようです。

静謐な、日常生活と地続きのものとしての、
静かに熱い、秘めた情熱を、
無表情に限りなく近い演出=演技プランで表現した
『読書』に比して、
饒舌な不言実行、というような、
言葉にすると矛盾するようなヒネクレかたで、
セリフの多い寡黙なハードボイルド的女性、
を体現した『火火』における田中裕子の演技は、
若者などには到達しえない高次な演出=演技で、
こちらを上位に挙げるかたがいるのも頷けます。

しかし、ここで比すべき対象は『読書』ではなく、
『世界の中心で、愛をさけぶ』に代表されるような、
難病・泣かせ・映画(ドラマ)群でしょう。

現に、実話に基づいた難病とたたかう母と子、
という企画をスタートさせたときから、
近年の、
安易に泣ける映画に群がる観客層を想定していなかったわけなく、
もはや一ジャンルとなったその枠で、
作り手たちはどのような戦略をもって戦ったのか。

誰もが圧倒されるのは、
田中裕子演じる陶芸家にして母親の、エネルギッシュさ。
怒鳴り、ぶん殴り、
借金し、当たり散らし、
最終的には絶対に自分の意見を通してしまう〈強さ〉は、
いわゆる
“母の強さ”という言葉の枠に収まりきらない過剰さで、
安易な感情移入を拒んでいますが、
それは、感情移入を拒絶した、
突き放した作劇法をとっているわけではなく、
あくまで、〈安易な〉感情移入を拒んでいます。
共感し、心揺れる場面もあれば、
あまりのことに後ずさりたくなるような
行動/言動を目の当たりにすることもある。

そのことは、何を示しているのでしょうか。

また、息子の闘病生活も、
目を背けたくなるような凄惨なものであるさまが
描き出されますが、
ドラマ展開上の効果の都合だけを考えれば、
必要以上の余計な強烈さととられかねません。

これら、以上のような要点は、
要請されるジャンルの枠内で、
単なる自己愛的な確認作業である〈泣き/泣かせ〉の循環構造に、
この映画が、
批評的に抗う意志を表明していることを
指し示しています。

長澤まさみや綾瀬はるかが坊主になっている姿をみても、
観る者は、
頑張っているな、とか、
熱演だなとかほんとに病気ぽいなとか、
せいぜいその程度を感じるだけで、
心地よく泣いてウットリしたり、
観終わったあとの話の種にするだけに終始してしまう。

ある種の、映画という〈お約束〉のなかの出来事は、
自分を取り巻く環境の一部、
安心感のある一娯楽としてのみ、
存在を許されているのだ。

そんな〈安心の構造〉に対し、
『火火』は慎ましやかに攻撃を開始する。

高橋伴明とそのスタッフは、
〈情熱的で、献身的に、難病や慣習に立ち向かう強い母親〉
というカテゴリーから逸脱する女性像を創造する。
客観視して突き放すだけでなく、時に近づき、彼女の感情に寄り添ってみもする。ひとをウンザリさせるような、はた迷惑な存在でありつつ、同時になにか愛しく思わせもする厄介な存在として息づき、

息子の闘病の残酷さが明らかにするのは、
〈催涙のための〉「小道具」でしかない幾多の「白血病」「痴呆症」の描かれ様とは袂を分かち、「小道具」であるまえに暴力的な苦しみをひとに有無を言わせず与えるものだという
当たり前の事実を、
〈最低限〉、
描かなければならないことを教える、
平常心のベテランの、揺るがない自信からくる信念。

〈ほんとう〉など何でもいいから泣かせるのではなく、

まず〈ほんとう〉があって、
それに突き動かされる個々人の感情は、一定ではないはずだから。
泣くひともいれば、
笑うひともいる、
それでいいとおもう。

大勢が泣くモノなんて、
着色料的で圧倒的に不自然なうえに、
病気だ、と思います。

ラスト、感動にむけて一定方向に観客の感情を強制的に誘導してもいいはずなのに、それをせず、
安易な感傷を断ち切る田中裕子のたち振る舞い、
炎、
ストップモーション。
どこまでも清潔に、ハードボイルド。

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theme : 邦画
genre : 映画

GWに向けた最終公開が・・(4.29)

GWに向けての、
最期の公開ラッシュが29日よりスタート!

個人的に、(前項)『予感』以外に気になるのは、
以下の映画です。

☆リメイク版『ロンゲスト・ヤード』。
アダム・サンドラーと『ロンゲスト・ヤード』という組み合わせが、ヘンで面白いですね。

『ブロークン・フラワーズ』。
ジム・ジャームッシュの新作。

『ファザー、サン』。
ロシアの真性芸術家、アレクサンドル・ソクーロフの、『マザー、サン』の姉妹編です。姉妹編といっても前作とのつながりとか、気にする必要は全くないと思います。ぜひ多くのかたがたに気軽に観にいっていただきたい!ソクーロフこそアヴァンギャルド!!内臓をじわじわ浸食する地味~な暴力のような映像と音響の攻撃を受けて、ケムにまかれて困るという体験を楽しみたいと思います。


『夜よ、こんにちは』。
マルコ・ベロッキオは凄い巨匠ながら、日本ではいつまでたっても今一つ知名度があがらない感じですが、ベルトルッチよりずっと格上の映画作家かもしれませんよ!
「赤い旅団」なる極左武装集団の、モロ誘拐暗殺事件を題材に描く、社会派人間ドラマというカテゴリーに分類されてしまいそうな重い題材の映画なので、単館ロードショーとはいえ興行価値的に苦しいところですが。。
のちのち、
ベロッキオが死んでから後追いで観るのと、
生きているうちに劇場で観たという経験をするのとでは、大違い!!
ベロッキオをリアルタイムで観ていた、
と(未来の?)孫子に自慢するべく、
是非ともユーロスペースへ駆けつけたいものです!!
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theme : 気になる映画
genre : 映画

廣木隆一『予感』が公開(4.29)

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廣木隆一監督の、
ちょっと変わった企画の映画が4月29日、
明日より公開されます。

大注目の『やわらかい生活』に先駆けての作品は、

『予感』

なる映画で、
オオヤユウスケ(ポラリス)、
原田郁子(クラムボン)、
永積タカシ(ハナレグミ)による新たな音楽ユニット、
ohana(オハナ)のプロモーション・ビデオでもあり、
51分のショート・ムービーでもある『予感』。

デビュー・ シングル「予感」のPVから始まった企画が、
楽曲からインスパイアされて、
中編映画まで発展したという経緯をもつこの作品には、

竹中直人、大森南朋、貫地谷しほり

らのほかに、

河井青葉、山田キヌヲ

の『ガールフレンド』コンビも登場!!

今のところ河井青葉出演作は全て賛美している、
河井青葉ラブの映画評論家・阿部嘉昭が、
果たして今回もまたホメたおすのか?
という点でも注目です。

4/29~『予感』2週間限定レイトショー
渋谷ユーロスペースにて
連日21:15~
当日1000円均一

theme : 気になる映画
genre : 映画

『ニップルズ』フルモーション⑦

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『ニップルズ』

(2006年、日本、74分)

監督:有馬顕
出演:穂花、吉岡睦雄、MIKA、亜沙妃、三浦アキフミ

元ヤンの着エロアイドル・ジュリは、
事務所に無断でフルヌードになることを宣言。
周囲の反対、ファンの反対、雑誌のすっぱ抜き。
商品価値の暴落したジュリからはあらゆる人々が去ってゆくが、
ひとりだけ見守り続ける男がいた。
二人は結婚するが、
彼はジュリの乳首を決して見ようとしない‥。

7作目まできた、フルモーションレーベルは、
元木隆史とチェンジしてまた新たな監督、
有馬顕が登場。
PFFなどで名を馳せたインディーズの監督で、
これが商業用長編デビュー作となります。

前作から引き続き登場は、
『スマイル』の主役の売れてない漫才コンビと敵対していた、
ブレイク済みコンビの意地悪な男女、三浦アキフミと亜沙妃の二人。
あののち着エロアイドルに方向転換していた亜沙妃は、
同じ着エロアイドルながら崖っぷちのジュリ(穂花)をせせら笑い、
不動産王である親の七光りな馬鹿息子・三浦アキフミは、
ジュリの騒動の尻拭いをするかわりに、性的奉仕を強要する。

ヒロインを演じる穂花は、
AV女優としてのキャリアはあるが、
演技経験はほぼ初めてだということです。
オセロのふたりを足したようなルックスに
ややハスキーな声は、
はすっぱなキャラクターに違和感なく、
強弱必要なトータルでの演技プランもクリアし、
安定感があります。

新人監督の演出は、
工夫されたキャメラアングル、
テクニカルな音の設計。
どこかかすかに無国籍的なハードボイルドの風を感じさせ、
油断するとすぐキマってしまうスタイリッシュさで、
自信をもって大きな空間を切りとってゆきます。
一言で言って、達者。
当シリーズの制作・原案・脚本を一手にこなす、
永森裕二が「自信作」というのもうなずけます。

大のおとなが乳首について延々論議するのも可笑しいし、
シリアスなシーンも違和感なく水準をクリアしているとも言えますが、

演技指導的にはルーティンの域を出ず、
新人だけに、
不自然なほど独自な、

〈演技についてのビジョン〉

を示して欲しかったと思います。


適度にオシャレでもあり、
適度に映画的でもあり、
決して退屈はしないのですが、
なにか凡庸な印象が残る。
クライマックスの、
性の不一致をこえた絡みのシーンを、
俯瞰でガランとしたオシャレな空間のなかに
絡み合うふたりを映し出すのは
単なるレイアウト感覚であって、
登場人物のエモーションに
映画を沿わせていないことが明らかになってしまう。
突き放して描くのだとしたら、
吉岡睦雄が叫びながら走るシーン等は
なんだったんだということになってしまうと思います。

ボーナストラックとして、
「幻のエンディング」がついておりますが、
特に何も期待しないほうがよいとおもいます。

(『コスプレの人』につづく。)

theme : 日本映画
genre : 映画

19:30、杉作J太郎の二本立て上映

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かつては確かシネマ下北沢とかいった
現・シネマアートン下北沢は50%をわる客入りの悪さで、
男女比は8:2くらいか。

わざわざ昼過ぎに整理券もらいに来て損した!!
余裕で入れたのに。。

トイレのそばに、無造作に『四畳半襖の裏張り』

『ウンタマギルー』のフィルム缶が置いてあったりして、
家庭内工業的なふんいきです。
(両方とも近日上映。)

司会「監督が、お客さんがはいってないことに頭に来て、フィルムを持って帰ってしまい、上映が出来ません!(ざわめき)なので、お金は出しますので、皆さん飲みに行きましょう(歓声)」
にはじまる、
杉作J太郎監督らによる不入りを嘆くミニコント(?)のあと、


『怪奇!!幽霊スナック

殴り込み!』



から上映開始。

5分ほどの休憩時間は、
通路で男の墓場プロのプロマイドほかのグッズ販売、
杉作監督らのテキ屋の前口上のような売り込みに
なかなかの売れ行きのよう。
ぼくもパンフを購入しました。

二本目の


『任侠秘録人間狩り』


上映後、
豪華ステージショーと称して
杉作J太郎
飯島洋一(『戦争の犬たち』)、
島口哲朗(『KILL BILL』)、
ギンティ小林(『映画秘宝』ライター)
らによる雑談や撮影秘話(?)。
普通の和気藹々とした舞台挨拶に収まりそうなものを
杉作監督と飯島さんがグダグダコントにまとめあげていました。

腰の低い島口さんら〈剣伎かむゐ〉の方々には
好感が集中する空気が、
暑苦しいオヤジっぷりを発散する飯島洋一さんには
何か軽視する空気が場内に漂いました。

5月3、4日あたりのステージショーでは、
かむゐ+ダンス+歌のコラボレーションがみられるそうなので、
興味のある方は5時またぎの回あたりに行くとよさそうです。

ショー(?)は男の墓場ニューフェイスの上本輝雄
フンドシ一丁のエクソシストの乱入でオチ、
その後は引き続き売店でスタッフ、キャスト、観客が渾然一体となってグッズ販売やサイン会が繰り広げられていたようでした。

そこには加わらず外に出るといつの間にか雨。

23時、
下北沢からうちに帰るのには
少し時間が遅いことに、憂鬱な気分。

theme : 今日観た映画
genre : 映画

18:05、下北沢

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下北沢に戻ってきたら
駅前はサンドイッチマンと男の墓場プロの面々によるチラシ部隊にジャックされていました!!

杉作J太郎本人もガード下でビラってます。

追加再上映は意外と苦戦しているのかも。。

theme : 映画
genre : 映画

イベントムービー

『ラブ&ポップ』よりあと、
『式日』を撮るよりずっと前だったか。

庵野秀明がある場で、「この先、日本映画はいわゆるイベントムービーしか生き残れないんじゃないか」という旨の絶望的な分析/発言をしていたことを、おりに触れてたびたび思い出します。

殆どの邦画は、劇場ではまず製作費を回収出来ず、
ソフトのタイトル数がコンスタントに/定期的に必要なDVD(ビデオ)メーカーの出資とその販売により、ようやくギリギリ採算のめどが立つ。

製作されたはいいが公開するあて(劇場)もなく、
旬の新鮮さを失ってゆく大量の映画群。
去年、『ALWAYS』、『パッチギ!』とともにベスト3の一角をなすほどの高評価を得た『いつか読書する日』でさえ、公開してもらえるコヤ探しに難航し、お蔵入り寸前だった事実からも、劇場での興行という経済活動と、大部分の邦画との相性の悪さがうかがえます。(『いつか読書する日』は、なんとかユーロスペースで公開。)

今の過剰な大量のオクラ状況では、
ますますイベントムービーと、ミニマムな作家的作品との
両極化は進み、

作品の出来不出来でなく、
『タイムレスメロディ』や、
『アベック モン マリ』的なフックのなさでは、
今やデビュー出来ようが出来まいが、
幾多の名も無きフィルム群に埋没してゆくこと間違いなしで、

デビュー形態を前ほめた『tokyo.sora』や、
物語内容と、上野の仕掛けのある劇場との、
ハッタリの接続がバランスの良い『ゲルマニウムの夜』
といった映画がなんとか生き残れるか、という状況です。

『イン・ザ・プール』や『隣人13号』
でさえまだまだ、
と思う。

三池崇史の『IZO』なんかは、
新人のデビュー作であったなら、
どんなにジャストな企画だったか。と少し残念。

映画作家としての資質など、
ほとんど期待されることもないであろううえ、
トレンドとしての洗練からも程遠い、
杉作J太郎が
『任侠秘録人間狩り』
『怪奇!!幽霊スナック殴り込み』
の二本立てデビューし、上映期間中連日満員だった現状は、
タレント(?)の余技として傍観するのではなく、
真剣に考察する価値がある事態だと思います。

theme : 映画
genre : 映画

13:45、シネマアートン下北沢

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来た!シネマアートン。

J太郎二本立て、意外と余裕で整理券買えました。
夕方でも余裕だったかも。

レイトショーだけでなく
GW中は通常のロードショーも一週間やるようですが、
飲食業は休みなしなので
ここが唯一のチャンスでした。

となりのスズナリでは東京乾電池の公演が行われていて、路地が楽屋と化しており、東京乾電池のみなさんが奇怪な衣装でウロウロしていました。

また7時に戻ってきます。

theme : 映画
genre : 映画

昼、下北沢

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会議終わって、

電車で移動して降り立ったのは下北沢!!

いまおかしんじ監督
『援助交際物語 したがるオンナたち』
の感動的なラストシーンの舞台に(無断で)なった
駅前のスペースです。

あまり久しぶりな感じがしないのは、
一昨日の『めちゃイケ』でみたばっかりだからでしょうか。

降り立った理由は、
下北沢シネマアートンにて追加再上映される
『任侠秘録人間狩り』『怪奇!!幽霊スナック殴り込み』
のレイトショーの当日整理券ゲットのためです!!

無事買えるといいんですが!!

theme : 映画
genre : 映画

朝、代官山

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眠い!!

せっかくの休みなのに、朝から代官山で会議です~!!

2、3ヵ月に一度、
会議のために来るくらいしか関わりのない街です。

映画館ないですからねー。

お店も、サブウェイしか入ったことない。

theme : 日記
genre : 日記

人気なさすぎ

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TSUTAYAの新作コーナー、

『青 chong』

一本も借りられていない。。

同じ新作扱いでは『容疑者なんたら』とか『タッチ』とか、
大量入荷のうえ全部貸し出し中なのに!!

日曜日なのに!!

エロやアクションのヒキがないマイナー作には、
レンタルの客層はとことん厳しいと実感。
かなしいですねー。

でも6本はいくらなんでも仕入れすぎだと思います。

theme : DVD情報
genre : 映画

『紙のプロレス』№98

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プロレスにしたって格闘技にしたって、
いまは携帯サイトやインターネットで日々試合結果の速報(詳報)はすぐアップするし、追加カード発表やカード変更、記者会見でのコメントからインタビューまで、逐一即時的にはいるし、伝説的な『猪木祭り』も絡んだ三つ巴の大晦日ドタバタ劇などは、週刊プロレス雑誌はおろかデイリーで出ている『東スポ』でさえおっつかず、携帯やパソコンがなければそのすったもんだの成り行きを存分に楽しむことは出来なかった筈。気の利いた解釈や解説や活字プロレスさえ、探せば無料でネットに転がっているんでしょう。

そんななか、
前号の専門誌特集を受けていうわけでもありませんが、
書籍扱いのワンテーママガジンでもなく
即時性を求められるメディアでもなく
深く掘り下げる一冊の研究本でもない、
雑誌という形態の現在を考えると、
今号の、
大晦日後のミルコ・クロコップを追ったドキュメントなどは、
雑誌にしかなしえない記事で、
いろいろなことを納得させとくれました。

記事は、戦士としての危機にあるミルコの、
下手したら5月『PRIDE無差別級GP』での対美濃輪育久戦が引退試合になってしまうかもしれないほど心のバランスの崩れた状態であることを、クロアチアでのミルコの過ごす日々のスケッチ(ライバル達の試合結果にも興味をしめさず、モチベーションの低下によるチーム・クロコップも自然解散状態‥)により示し、

大晦日のマーク・ハント戦の敗北が必然であったことを、
全権代理人の今井賢一氏提供の当日の控え室での写真は、
どんな文章の記事より雄弁に教えてくれます。

元新日本レスラー後藤達俊や
元新日本リングアナケロちゃんのインタビューも
滅法面白いんですが、
雑誌以外の媒体でも輝く記事、というきがする。

ムック本のでもない、
何かのサイトの記事でもない、
〈雑誌〉にのみフィットする記事。
のサンプルになるもの。
は、こういう記事が、そのひとつの答えじゃないか。
とおもいます。

theme : 雑誌(既刊~新創刊)
genre : 本・雑誌

今日から公開『トム・ヤム・クン!』(4.22)

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今日から、
ゴールデンウイークにむけて続々公開される映画のうち、
観たいなあと思えるのは、

ダントツに

『トム・ヤム・クン!』!!!!!

です。

〈取り戻したい愛がある、
取り戻したい象がいる。〉

という物凄く無内容なコピーが示すように、

とことん無内容で、
激しく楽しそうな、
名高い『トム・ヤム・クン!』がついに無事公開!!!

あらゆるものと無駄に熱く戦うトニー・ジャーに、
元気をもらいに行きたいもんです!!

theme : 気になる映画
genre : 映画

『スマイル』フルモーション⑥

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『スマイル』

(2005、日本、80分)
監督:元木隆史
出演:桃瀬えみる、吉永秀平、
   亜沙妃、葉月螢、三浦アキフミ

居場所を無くした元ヤクザと、
元アイドルがめぐりあい、
漫才コンビを組む。
夫婦漫才としてスタートするが、なかなか上手くいかず‥。

フルモーションレーベル第6弾、
前作に引き続いての監督は元木隆史です。

前作のラストでは、葉月螢演じる演歌歌手が、紅白に出るほどに
『半熟の女』によってブレイクしたと観客に知らされましたが、
今回、出番は少ないながらも一丁前な芸能人ぶりを示して、
微笑ましい気持ちにさせてくれます。

もうひとりのチェーン対象のキャラクターは、
『ピーカン夫婦』では冒頭、
バッティングセンターで山本剛史のボックスを横取りし、
終盤、葉月螢に絡むことによって災難な目に遭うチンピラ・ジョージ(吉永秀平)で、
あの事件のあと、組に居場所を失った元チンピラとして再登場。
主役を張っています。

さて、かなり無理のある展開からお笑いの養成学校に入学したジョージだが、ええカッコしいな、かつ寒いネタをコンビを組んだ相手の意見もきかず強要し、誰と組んでも上手くいかない。。

そんなある日、教室に元アイドルのみどり(桃瀬えみる)が現れ、
ふたりはコンビを組むことに。
しかし、みどりはアイドル時代、心無い笑顔を振りまきすぎて、
笑顔が枯渇してしまっている女だった。

これまで、フルモーションレーベルの当シリーズは、極度に少ない人数が画面にうごめく、ささやかな夫婦間の問題を、それこそ囁き声のように静謐に語られてきました。華やかな芸能関係の会社であっても3人以上画面にうつることはまずなく(『ピーカン夫婦』)、大勢の他人が行き交う、交通的な場である筈の銭湯(『マグマのごとく』)やファミレス(『ウォーターメロン』)でさえ、多くの場面でガランとして誰もいない、内宇宙のように極私的なスペースとして印象づけられてきたのでした。
これを単に制作費の小ささ故と結論づけることも出来ますし、
大いにその理由も作用しているのでしょうが、
結果的に、
それにより地球に良く似た惑星で起こる、
抽象的な愛の寓話の小さな結晶として、
可笑しくも切ない小品が、
ある一定以上のクオリティをもって連作される、
信頼度の高いブランドになりつつあったのでした。

しかし、
この『スマイル』においては、
場面場面に、一般的な意味での適正な人数が配置されて、
それによって場面(シーン)は内向的な抽象から解放され、
ぐっと、いわゆるふつうの映画に近づくことになります。

それが、いいことなのか、悪いことなのか‥。

口が重くなってしまうのは、
基本的には応援して、
多少のことがあってもホメ倒したい欲求があったからで、

しかし、

率直に言って、

大変つまらなかった!!

手短に終わらせますが、
特にふたりが結ばれるまでの前半は、
このレーベルの長所でもあった表面上の映像の小綺麗さもなく、
貧相なふつうの日本映画のよう。
そもそも、ファンタジーすれすれ(アウト?)な妻のパーソナリティの設定に対する、
他者である夫が受け入れ、乗り越える話を繰り返し描いてきて、

元アイドルと元チンピラのカップル、

なんて。

現実的すぎてブルーになるくらいですよ!

構成から何から何まで、普通の退屈な映画でした。。

それに、全編に渡って、
繰り返し繰り返し、
すごく寒い漫才のおんなじネタを、
繰り返し繰り返しきかされて、
ノイローゼになるかと思いました。

あんまり悪口を重ねたくないので、
速やかに忘れて、
次に移りたいと思います。。

(『ニップルズ』につづく。)

theme : 日本映画
genre : 映画

『NANA』15巻

20060421220916
もうとっくにアニメ版も始まってるんですねー。

また有名マンガでスミマセンが、
矢沢あい『NANA』15巻をやっと購入しました。
(前記事のマンガと同時。)

もう、いろいろ手を広げて、
マイナーなものから偏愛物件を探しだすという、
余裕というかヒマというかパワーはなくて、
マンガに関してはずっと無難なものばかり読むことになっています。

『クッキー』はフォローしていないので、
『NANA』は単行本を買って読むときが初お目見えです。
子供のころは、
連載で読んでいて好きなマンガ以外、
単行本で買うなんて想像もつかないような世界でしたが。。
いつからミズテンで抵抗なく買うようになったか。。

矢沢あいはどっちかというと苦手なほうで、
名高い『天使なんかじゃない』なども、
どの部分に文句があるとかいうよりは、
肌に合わないとか、
ウマが合わないとか、
そういうかんじ。

でも『NANA』はそんな自分でも面白く読めるのは、
なんだろう、
適度に暴走/逸脱する軽口が楽しいからですかねー。
全体を支配するメランコリックなトーンを中和するのに
絶妙なブレンド具合が心地良いのでしょうか。

だから、『NANA』映画化の制作発表で、
監督の名が告げられたとき、
なるほど!と感心したのでした‥

(映画版『NANA』について、につづく。)

theme : 少女マンガ全般
genre : アニメ・コミック

『ドラゴン桜』12巻

20060421001833
ドラマ化もされた、東大受験漫画、三田紀房の『ドラゴン桜』。

コミック『ドラゴン桜』の単行本には、
毎回、
教育者、成功者による、
受験や勉強や東大についての克服方法などを説いた、
談話ともエッセイともつかないものが掲載されているんですがー。
何巻だったかわすれましたが、
まだ犯罪者扱いされる前のホリエモンが登場して、
東大受験などについて何かしら述べておりましたが。

増刷分からは、
何事もなかったかのように、
ホリエモンの記事は削除されているのでしょうね!!
きっと。

theme : マンガ
genre : アニメ・コミック

『アカギ』18巻

20060420170306

福本伸行『アカギ』18巻を購入。

気がついたら『アカギ』の〈鷲巣麻雀編〉も早10年!!

いったいひとつの勝負に
どれだけ連載の歳月を費やしたら済むのかって話ですが。

アカギが鷲巣と生死を賭けて戦っているあいだに、
無尽蔵のスタミナを誇った若者ド真ん中だった自分が、
いつの間にか、
髪の毛の量の心配をするようなトシになってしまった‥

完結するまで、自分が漫画というもの自体を
読みつづけているかどうかすら、心配です。

『近代麻雀』が月刊誌から月2回発行に変わったときには、

(これで『アカギ』が月2回読める!
話も進展する!)

と喜んだのもつかの間、
『アカギ』は月1掲載だと判明して、ガックリしましたっけ。

‥もう既に、遠い過去の話ですが!!

theme : マンガ
genre : アニメ・コミック

『間宮兄弟』の勝算は?

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ヒット作を作るためには、
女性層をターゲットに映画制作を行うのが基本中の基本でしょう。
男は女についてきますんでね、しぶしぶでも何でも。

で、比較的若い女性に絶大な人気を誇る江國香織原作ということで、既に『冷静と情熱のあいだ』や『東京タワー』でヒットの実績もありますから、江國香織作品としては珍しく男性読者までも取り込んだ話題作・『間宮兄弟』が映画化されるのは必然的といえましょう。

おまけにムリヤリなオタク礼讃ブームにも便乗できる内容、
となれば映画化されない理由が見当たらない!

ということで、
制作され、GW明けの5月13日に公開される
『間宮兄弟』ですが。。

問題のその1は、

これまで江國香織の映像化はことごとく失敗しているということ。
上記作品以外にも『きらきらひかる』や『落下する夕方』、ドラマ化作品なども含めればなかなかの少なくない数になりますが、どれも成功しているとは言い難いのではないでしょうか。意見のちがうかたもいらっしゃいましょうが、僕の個人的な意見ということで、話を進めますが。一般の観客はいざしらず、批評家寄りにはほぼ酷評の嵐、というのがいままでの江國原作映画全体の印象です。なかには松岡錠司が監督した『きらきらひかる』なる異形の作品もありますが、あれは江國香織的なタッチからは程遠い、なにかぬめぬめした、軟体動物のような不気味な映画でしたから、「江國香織の原作を、見事映画化に成功!」と胸を張るのとは、ちょっとベクトルがちがうんではないかと。

なんの変哲もないストーリーを、
〈やり過ぎ、キザ、小手先〉
スレスレの超絶テクニックで、
絶妙な繊細さ・洗練されっぷりを示す稀有な才能の持ち主で、
幾多のエピゴーネンを生んでいる江國香織は、
好き嫌いを越えて、
人気があることを誰にも納得させうる力をもっています。
しかし、
そのじつ、その洗練されているオシャレな表層を上手く移植し・すくいとれば、オシャレで女性に共感を呼ぶシロモノが一丁あがり、というナメた錯覚を制作者側に持たせてしまう罠としてその〈江國香織のイメージ〉は機能しており、たかだか自分はセンスがいいと思い込んでいる程度のCFディレクターあがりの監督を抜擢して、ナルシストにしかみえない人々がウダウダしている痛い映像が垂れ流されることになります。

かつて、北方謙三が自作について、

自分の小説はよく〈映画的〉と言われる。しかし実際に映画化するときに危険なのはその〈映画的〉の〈的〉なんだ。それをそのまま映画に移植しても〈映画〉にならない。それをどう処理するかが勝負所なんだ。

ということを述べており、
江國香織の〈オシャレ・繊細・洗練〉にも、
おなじようなことが言えると思います。
(北方謙三の〈映画化〉にある程度〈成功〉したのは結局、
崔洋一ただひとりでした。)

〈オシャレ〉〈繊細〉〈洗練〉といったイメージをそのまま、
〈オシャレ〉〈繊細〉〈洗練〉をめざして移植/構築しても決してそのようなものはうまれない、と思う。
あの陰鬱な雨の庭のようなローテンションは、もっと魂の根源的なところからうまれて来るものを、薄い更紗みたいなもので幾重にもそっと包んであの状態になったものとして、原理主義的に探究しなければ、それこそ表面をなぞっただけになってしまう。
それを、そんな勘違いクリエイターしかコーディネート出来ないプロデューサー陣の考えの浅さが、諸悪の根源なのではないでしょうか。

で、
問題のその2が、
監督が森田芳光だということ。
よりにもよって。

御存知の通り、
〈流行作家〉森田芳光の特徴といえば、

これ見よがしな意匠、
レイアウト感覚、
自己アピールとしてのテクニックの顕在化、
原作の精神の意図的な無視、
といったもので、
要するに、彼は、
自分の〈華麗な映像テクニックと先天的に秀でている抜群のセンス〉の誇示が、ほかのいかなる要素より優先される、極度の自己中心的人格と映画観をもつ人物だ、ということに問題の根源は集約できると思います。
でなければ、『キッチン』(吉本ばなな)や『模倣犯』(宮部みゆき)のように邪悪な映画が出来上がる理由がない、と思います。
(世界的作家になりたかった、その野望の潰えた森田芳光の、理想の姿は現在のラース・フォン・トリアーなのではないかと思います。ふたりの大きな違いは、トリアーの“本物の”邪悪さ、悪意に比べ、森田監督のそれははるかに幼児的だということか?)
そのような森田芳光監督の自己顕示的小手先のやりくちと、
〈江國香織的なもの〉との

相性は最悪!!

なのは間違いのないところです。

僕の絶望的な予測を裏切って、
『間宮兄弟』の出来が、たまたま足を向けた観客に、邦画はもうコリゴリ、と怒らせない程のものではあってほしいと思います。

‥‥しかし‥‥〈江國香織〉に、主題歌がRIP SLYMEって‥‥悪い予感は強まるばかりです‥‥

theme : 公開予定前の映画
genre : 映画

『ハリー・ポッター』新刊のゆくえ

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ついに5月17日に出ますね、

日本版ハリポタシリーズ最新刊、

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』。

注目は、配本条件がどうなるかということに焦点があったと思いますが‥
(配本について知識をお持ちのかたはスキップして下さい)


日本では、書店と出版社間との取引は、
基本的には返本制度が採用されています。
書店が出版社や取次に仕入れたい本を欲しい数発注する。
売れ残った本は返品出来る。
これが出来ずに買い切り(=返本出来ない)だと、売れるか売れないか微妙なラインの本を仕入れて売れ残ったとき、過剰在庫として書店の経営を圧迫します。そのため、良質な本をセレクトして並べることが出来ず、確実に売れる!間違いない!という話題作しか並べることが不可能になってしまいますから、この制度は不可欠なわけです。

しかし、
ベストセラー確実な書籍の場合、
出版社側からすると、どれだけ販売能力のあるか分からないような中小の零細書店に多数卸すよりも、販売実績があり確実に売上をとってくれるであろう大型書店(紀伊国屋とか)にばかり配本することになる。
そうすると中小零細書店は、売れることが確実なベストセラーを例えば10冊発注しても、1~2冊しか来なかったり、下手すると1冊も来なかったりと冷遇され、確実に売り上げをとれる、数少ないチャンスをみすみす逃すという事態に陥ることになります。それでもお客様のニーズに応えるため大型書店にわざわざ電車代費やして買いにいって、買ってきたものをご所望のお客様に渡したり等、人知れない苦労が色々あるようです。

村上春樹の『ノルウェイの森』(講談社)が爆発的に売れていた際、この問題が話題になりました。いくら発注かけても入ってこない。だから中小書店側も多めに水増しして発注する。出版社側は現状を知っているからその数は入ってこない。という悪循環。
ベストセラーに関しては、返本制度というのは適切な制度と言えず、機能不全に陥っていることが浮き彫りになったのです。
やはり村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』発売の折りにも、大型店集中配本で一週間で1500冊売る店もある一方で、やはり殆ど卸してもらえない店も存在した。
(また資料もなくうろおぼえで書くので違っていたら訂正のご指摘を頂きたいのですが、たしか、上記『ダンス・ダンス・ダンス』だったか、吉本ばななの『キッチン』や『TUGUMI』だったかを、配本する条件として当社(講談社だか、福武書店だか)の図鑑をセットで仕入れなさい、という鬼悪魔のようなことをいう出版社(講談社だか、福武書店だか)があったりして、殆どイジメの様相を呈していました。)
そのような事態がつづき、売れることがまず間違いないベストセラー(の有力候補)については、返本が効かない完全な買い切り(売れ残っても返本出来ないので、その場合店過剰在庫となる)制度が採用されることになります。

で、大ベストセラーの『ハリポタ』シリーズでも、例によって、当初は通常通りの委託配本で、中小零細書店への配本がぜんぜん不足して、売りたいのに/売れるのに入荷出来ない!という状況だったのですが、抗議/要望を受け、第5巻の発売時には、「上下分売不可」、「希望どおりの数を、満数配本、ただし買い切り」(返品枠5%)という 買い切り制度を実施したわけですが、さまざまな要因から大量の売れ残り、過剰在庫による経営の圧迫を生みました。

で、条件が改善されるかに思われた第6巻の配本条件!!
これが前回とおなじ買い切り制度、満数配本、返品枠5%。
プラス、販売1セットにつき40円の報奨金がでる。
というケチくさい微々たる譲歩!!

静山社、儲けてんだからもっと条件譲ってやれよ!!!!
と部外者ながら思う。
前回の条件で、少なくないの中小零細書店が仕入れ資金難におちいり、静山社はほぼ無傷だったことを考えると、ちっとはカブる危険をおかしてもいいんじゃないの?
実際、どの書店にも第5巻が山のようにあふれている今の現状の風景は、『ハリポタ』ブームの翳りを演出しているようで、静山社にとっても決してプラスになっていないと思う。
ブーム後に、
書店に極悪なイメージを残したまま生き長らえつづけるのは得策じゃない。最終巻とともにブームはいつか終わる。(あそこは良心的な、良質な本を出す出版社だから、あそこの本は、損得抜きでも売りたい。)そう思われるように、中小零細書店とも良好な関係を築ける販売条件を見直したらいいとおもう。まあ、他人ごとですが。

当たり前みたいなふつうの意見を長々と書いてきてしまいましたが、つまり、言いたいことは、

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

を買おうと思っているひとは、

近所の小さなの書店で買おう!!!!

(出来れば予約して)

ということでした。

theme : 本に関すること
genre : 本・雑誌

立ち読みマナー

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うちの近所のコンビニで立ち読みしていたら、
『週刊現代』の袋とじになってる
安達祐実ママのヌードのページが
ビリビリに破りとられているのを見つけました。

そんなに見たきゃ買えばいいのに!!
たいして高いもんでもあるまいし!!

そんなに見たいものかしらとも思いますが。

theme : 雑記
genre : 本・雑誌

『ピーカン夫婦』(2) フルモーション⑤

(『ピーカン夫婦』(1)からつづく)

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山本剛史演じる音楽ディレクター・ビトウは、
嫌われ者の皮肉屋で、
ストレートに他人とコミュニケーションがとれない。

小馬鹿にしたようなひねくれた言い回しでネチネチやり、
じっさいは周囲から小馬鹿にされている。

コミュニケーションをとりたくて、
自分のもつ野球チーム(部員は自分だけ)に
見栄はった嘘をまじえて〈さりげなく〉勧誘しても誰も来ない。
雨のなか、ひとりきりのトスバッティング。
かすりもしない。

極限までマヌケで、痛々しい。童貞的な空回り感。
実際、童貞。
野良犬だけが相手にしてくれている、雨の風景。
(この犬がナイス好演!!)

さて、
ビトウのもとに営業にやってくるのは、
現在日本ピンク映画界の象徴かつ代表選手といえる、
膨大な出演作品をもつ、あの、

葉月螢!!

彼女が売れない演歌歌手に扮し、
『半熟の女』という曲を真面目に披露するだけでも、
可笑しく、ばかばかしく、切ない。
すごいセンス。ヤラれました。

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そのマネージャー役がまた、
なんと『リアリズムの宿』『リンダリンダリンダ』の監督の
山下敦弘!!で、堂々とした、繊細かつ図太い演技を披露!
大物です。

後に葉月螢を性的接待に送り出すも、
いかにもつらそうな、悔しそうな演技をしないのが良いです。

前半に登場し、お約束のピンクシーンを演じる北川明花は、
2004年のピンク大賞新人女優賞を蒼井そら(『制服美少女 先生あたしを抱いて』)他とともに受賞(『乱痴女 美脚フェロモン』)、ピンク映画界でも期待される新進女優さん。
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近年のピンク映画に少しずつ増えてきた、いままでいなかった明るい淫靡さをもつ、黒澤愛あたりとはまた違った系列の雰囲気を持つ女優さんですが、AV~Vシネマ~ピンク映画を繋ぐ、ハイブリッド・ジャンルなアクターの一人といえましょう。

ピンク映画では、
基本的に数回の絡みのシーンを入れるという制約があり(当たり前か)、
一本の映画を考えたとき、
ある種の物語の性質上
ヒロインは重要なドラマを担うため、
最初からポンポン軽々しく絡むわけにはいかない場合も多く、
その代わりに助演の女優さんらが比較的軽めの絡みのシーンを前半で演じることになるのですが、
たいがい余分なシーンという印象はぬぐえない、ことが多い。
この〈フルモーションレーベル〉の序盤の作品群を想起していただいてもわかるように、
〈映画〉として見た場合、
言わば、ピンク映画の構造的な欠陥でもあります。

『ピーカン夫婦』での北川明花と山本剛史の絡みは、
一見どうでもいいシーンですが、

○普段遠くから気のない素振りをしつつ、実は憧れていたコトも、
いざ他者と密接なコミュニケーションをもったときに
オタついてしまうブザマさ、

○本気になれば捨てるだけなら容易な童貞を捨てていない
〈童貞性〉というある種の少年的〈こだわり〉を、
北川明花との「いいおもい」に簡単に味をしめて
音楽ディレクターという地位を今さら!!悪用しだす醜悪ぶり、

といった、情けない人間性と、ドラマの進展を、説明でなく正面から描く、
その簡潔な的確さは、
物語的でも説明的でもテーマに沿ったエピソードでもないうえに、
笑いとエロだけのどうでもいいシーンに見られても
一向に構わなそうな作り手のそぶりには、

〈フルモーションレーベル〉の長所はしっかり踏まえつつ
(エロ、映像美、モデル/女優の質、明るさ)、
そこから自由になる奔放さがある、
と思う。

もう結論じみたことを言ってしまうと、
『ピーカン夫婦』の最大の美点はその自由な奔放さ。

山本剛史のキャラクター、
野球好き、
音楽ディレクターという仕事、
葉月螢の歌手人生の悲哀、
外でしか出来ない女、
夫婦の性の不一致、
終盤に起こる事件‥。

どのピースも、
微妙に他のピースとの関連があるようで関連は薄く、必然性がない。
例えば、のはら歩が(一応)語る
〈外でしか出来ない理由〉に、全く説得力がないことも、
端的にピース間の接続が弱いことを示しています。
ふつうに考えれば、
シナリオ的に失敗していると言われかねないこの構造に、
個々の描写の的確さによって人物やエピソードに〈ほんとう〉を与え、
〈ほんとう〉からみれば個々の要素の関連性など、
あると言えばあるし、ないと言えばない。
そう、現実の人生のすべての出来事が
あるテーマや物語に奉仕し集約したりはしないように。

〈よくできたお話〉でなく、
ほんとうな、本格的な〈映画〉とは、
つまりみんなそういうものだ、と思う。

だから、
食いかたがクチャクチャ汚らしい山本、
山本とのはら歩の出逢いのシーンでの勃ってる勃ってないの押し問答、
というドウデモイイようなミットモナイ細部も、いちいち決まる。
よって、見逃してよいシーンはなくなり、
スリリングな観ることの快楽に浸る。

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晴れること。

〈なにか〉が良く見えるようになるということ。

見える、わかることによって。

〈なにか〉が〈始まる〉ということ。

ようやく晴れた、
休みの日のグラウンド。
〈俺はまだ始まっていない。〉
雨の日や屋内では当たらなかったのに、
バットにボールが当たりだす。

「ナイスバッティィィィイング!!!!!」
「ナイスバッティィィィイング!!!!!」

“ひとりチームプレイ”は、
その、晴れた日の異性との出逢いで終わりをむかえる。
だから、青姦のためにグラウンドに行きたい妻とのすれ違いが生じることになる。
葛藤のすえ、
生まれて初めて歩みよるということを知るビトウ。
風の気持ちよく吹く、
あたたかな日差しの屋上で結ばれるふたり。

〈二人がいい。〉

「ありがとう。」

〈生まれて初めてありがとうと言われた。〉

ラスト、
よく晴れた青い青い空をバックに、
グラウンドに立つふたり。
〈この瞬間から始まる。〉

異質なもののあいだの、
ありえないような和解が、
幸福感を生む。

(『スマイル』につづく。)

theme : 日本映画
genre : 映画

『ピーカン夫婦』(1)フルモーション⑤

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『ピーカン夫婦』

(2005、日本、76分)

監督:元木隆史
出演:のはら歩、山本剛史、山下敦弘、葉月螢、北川明花、吉永秀幸

性格に大いに問題のある、
モテない嫌われ者の音楽ディレクターが、
晴天の野原で運命の出会いをする。
結婚したその女性は、〈外でしか出来ない女〉だった‥。

フルモーションレーベル第5弾です。
今回よりインディー出身の元木隆史監督の起用となります。
わずか1作のキャリアのみでの起用、
大抜擢というかんじ。
元木隆史監督は、
またしても大阪芸術大学一派で、
大阪芸大の大学院に進み、
修士作品として『プウテンノツキ』を完成させる。

なにもない、
ナサケナイ若い男の低空飛行を描いた、
第1作、『プウテンノツキ』は、
残念ながら乗ることができませんでした。
幾千とあるローファイな若者の青春映画として、
“テ”が足りない、戦略がない、と感じました。

ので、
全くのノーマーク、
油断していました!!!!

その後、
同一派の山下敦弘の怪作
『ばかのハコ船』
にスタッフとして参加したりしています。

着々と実績を積み、
キャリアと信頼度をアップさせている
本田隆一や山下敦弘の推薦による流れか、
『プウテンノツキ』を
永森裕二が観て注目していたのか。。

ともかくも、
ここに第2作とにして、
傑作となる、
『ピーカン夫婦』
が誕生することになりました!

前作からのチェーン・キャラクターは、
山下映画でカルト的人気を誇る、
山本剛史が演じる音楽ディレクター・ビトウが、
前作のチョイ役から、
今作では主役として登場して、
全編、ヤリスギ感溢れる怪演っぷりで楽しませてくれます。
その、クセのある、
エキセントリックなキャラクターを楽しむだけでも
充分モトがとれると思います。

冒頭、
屋内バッティングセンターの打席で、
バットを降らずに、
ひたすら“いいタマを待ち続ける”男、ビトウ。

打席を中座した隙に、
チンピラ風の男にボックスを横どりされてしまう。

次々と甲高い音をたててジャストミートする他人の打球を
無表情で見つめながら、大きく叫ぶ、

「ナイスバッティィィング!!!!!!」

と。
大きく、
たかく、
晴天の球場の空に かたく響く
白球の音 のような声で。

冒頭から、
〈なにか〉を得ることの出来ない男の、
〈待っているだけ〉の、
焦燥感にかられるような、
滑稽でいびつな姿勢が、
痛々しく、かつ、愛おしく感じられる。

〈人物像の「説明」じゃなく、
簡潔で鮮明、可笑しいが深みもある「描写」。になっている。と思う。

(『ピーカン夫婦』(2)につづく。)

theme : 日本映画
genre : 映画

『凶気の桜』

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『凶気の桜』

(2002、日本、122分)
原作:ヒキタクニオ
監督:薗田賢次
出演:窪塚洋介、高橋マリ子、RIKIYA、須藤元気

〈ネオ・トージョー〉なる組織を結成、
渋谷の街を闊歩し、
粛正という名の暴力行為をくり返す、
ナショナリストの若者三人。
やがて右翼系暴力団の謀略に巻き込まれ、利用され、
仲間は離ればなれになり、破滅の道を突き進んでゆく。

〈今風〉な〈若者たち〉の演技プラン、
どこかで何度もみた演技。予定調和で、退屈。

チャラけてみせる軽口も、
東映のロゴで遊ぶシーンも、
仮面ライダーのシーンも、
面白くもなんともない。
スローモーションのタイミングも、ダサ。

脇を固める有名どころ、
原田芳雄と江口洋介は、
いい時はいいけど、悪い時はクサい、
で、この映画においての二人は、
クサい。

夜のアクションシーンで、
不意に工藤栄一の映画を観ているような錯覚。
プロデューサー黒澤満、脚本家丸山昇一、撮影監督仙元誠三
というビッグネームが、
こんな映画に名前を残している、
時代の残酷さ。

窪塚洋介や須藤元気の名前に惹かれて、
レンタルしてゆく若い人々が、
このようなものを格好いいとか思わないことを
祈りたい気持ち。

theme : 邦画
genre : 映画

『樹の海』

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『樹の海』

(2005、日本、120分)
監督・脚本:瀧本智行
脚本・プロデューサー:青島武
出演:萩原聖人、井川遥、池内博之、津田寛治、塩見三省、小嶺麗奈

時を同じくして、富士の樹海に迷い込んだ人びと。
サラ金から逃げて樹海へ来た女、
追う金融業の男。
汚職・横領の果てに、サラワれて半殺しのすえ、
樹海に打ち捨てられた男。
微かなつながりがあっただけの異性が、樹海で死んだと知らされた男と、
そのたよりを伝えた探偵。
ストーカーと断罪された、
孤独を抱えた駅の売店の女。
一見オムニバス形式の、バラバラの話と登場人物たちが、
少しずつリンクしてゆく。。

〈樹海〉という、日常から切り離された場所を舞台に、
様々な人びとの人生の悲哀、関係を描く映画です。

切羽詰まった登場人物たちが、
どうあがき、どう生きるのか。

少しずつ時間軸のズレたエピソードが互いに接点を持つとき、
かすかな希望の火が灯るラスト‥。

日常/非日常、
生/死、
奪うもの/奪われるもの、‥
あからさまな二元論をもって物語が構築され、
関係性を織り上げる。

〈生=生活の場=日常〉と〈死=樹海=非日常〉とは、
往還可能だが、
樹海の、脱出の困難さを属性にもつ迷宮性が、
その往還を困難にするところに、
ドラマのうねりが起きる。

それぞれの登場人物の、
おかれた状況の困難さを説得・納得させるために、
回想シーンや台詞による説明が多く、
その慎重な作戦は、結果、
この映画を、脚本のみによって形成された世界。
に留めてしまう。

せっかく〈樹海〉という、
圧倒的で具体的な異物感のある題材を前に、
抽象的かつブンガク的なお話としてまとまってしまった、
と思います。

つまり、
話に絵が負けている。
〈樹海〉の圧倒的な怖さはなく、
単に心理を描く小道具の一つにそれが選ばれ、
それが描かれている。

冒頭、
顔も見えぬ人々が死体入っているようにみえる袋を
樹海のなか黙々と運んでおり、
落ち葉や枯れ枝を踏む音だけが響く。

なんだか理解できないままに、
切迫したなにかが伝わってくる、
という期待させるシーンから始まっている、のに、

しかしそれ以降、
有無を言わせず引っ張っていくような描写は見られず、
ひたすら登場人物間の関係やバックボーンを
説得的に語り続ける。

パフェの溶けるシーンの、心理の説明の過多。

次々かぶせてくる東京タワーのエピソードのクドさ。

感じの悪い店員にキレるまでの、段取りの退屈さ。

痴漢にスカートを白いもので汚された女子中学(高校?)生、
駅構内で泣いている、
白い汚れを見えやすいように正面に見せっぱなしで。
よく知らないけど、そういう場合、
人目からそういう部分を隠したくなるもんじゃないの?
と思う。

おちゃらけでなく、
真面目に様々なことを描こうとしているだけに、
表現の到達した地点がやや低いのは、
残念でした。

驚いたのは、
借金とりに追われている女を演じる小嶺麗奈の、
どす黒い、暗黒のオーラ。

ほんとうに呪われてるんじゃないかしらとおもわせる。
じゃなかったら、『光の雨』とか『ソドムの市』とか、
それこそ自殺したくなるような映画にばかり
出演しないんじゃないか?
と心配になるくらい。
肌つや、空虚な瞳、前髪の垂れた趣、
すべてがダークサイドの色彩に支配されていて、
ゾッとしました。

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theme : 邦画
genre : 映画

『小川紳介を語る』

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写真にうつっている本、

『小川紳介を語る~あるドキュメンタリー監督の軌跡』
(映画新聞編、フィルムアート社)


は、
日本最強のドキュメンタリー映画監督・小川紳介亡きあと、
アテネ・フランセ文化センターで
1992年5月25日~6月30日に行われた

〈小川紳介全作品上映会〉

のおり、入れ替わり立ち替わり、
上映に付随して行われた講演を
採録したものです。

この連続上映、
『青年の海 四人の通信教育生たち』 『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』
から
『1000年刻みの日時計 牧野村物語』まで、
だけじゃない!!

幻の『小さな幻影』 『山に生きる子ら』から、
『1000年~』以後の
『京都鬼市場・千年シアター』 『映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭'89』
まで網羅した、
完璧な上映でした!

発言者はスタッフであった
伏屋博雄、大津幸四郎、田村正毅から、
同時代の映画作家である土本典昭、黒木和雄ら、
批評家の、蓮實重彦、山根貞男、淀川長治、上野昂志、
その他、総勢20数名!!

世界に誇り得る、
小川紳介監督及び小川プロダクションについての、
多面的な証言・批評は、
入門書としても手頃だと思います。

『映画を穫る』だとすこしヘビー過ぎて、
敷居が高いかもしれません。

で、上映会は、
学校は休んで全部通いいました!!

いつまた観ることが出来るか保証はないと思い、
体調が悪い日も必死で通いました。

同じアテネ・フランセでやった、

〈ジャック・ドワイヨン映画祭〉

で、具合が悪くてダウンし、
『小さな赤いビー玉』を観逃した、
苦い経験があったので、
頑張って行ったわけです。
『小さな赤いビー玉』は、かなり歳月が経ってから
ようやくリバイバル上映で観ることが出来ました。)

この2年前くらいに、
新宿京王デパートの掃除のバイトをしていたことがあり、
同僚は老人かフィリピーナが殆どでしたが、
そこで唯一マトモに普通に若者の先輩。
がいて、その人だけは気さくで優しくしてくれたのでした。

で、
小川紳介全作品上映では
そのひとと久しぶりに再会して〈旧交を温め〉たことが、
なにか温かい記憶として、
この本に宿っています。

theme : 映画
genre : 映画

新ドラマ、終わったドラマ

20060413013614
○筒井康隆原作、
深田恭子主演の、

ドラマ『富豪刑事』

の続編がやるそうですがー。

誰が望んで、
誰がトクするんですかね?

ぼくの知る範囲では、
前作は極めて評判悪かったし、
視聴率等成績もあまりよくなかったような‥。

それが何故、まるで〈ご好評につき続編決定!〉
みたいなことになるのでしょうか?

第1作・映画→第2作・ドラマ→第3作・映画という、
『海猿』の当初のプランも、
2作目のドラマがコケたせいで、
てっきり3作目はないもんだと思ってたんですが、
無事、
第3作の映画版もやるみたいで。

テレビ局は
バブルでも来てるんでしょうか?

しかし、
視聴率はともかく、
内容的にはそれなりの評価を得たと思われる
『海猿』ならまだしも、

『富豪刑事』はなあ~。。

前作の放映が発表されたときは、

筒井康隆の『富豪刑事』がドラマ化!!

というだけでも興味深いのに、
『下妻物語』でようやく、

自分のベストな路線を見つけたかにみえる深田恭子が主演と、
とても良い企画に思えたのでした、が‥

いや、今でも、
企画も狙いも間違っていなかったと思うのですが。

結果的に、

面白くない

という問題があった、以外は。

今度は、何か、勝算があるのでしょうか?

期待(?)して(?)ます!!

○あと、楽しくみていただけに、
『夜王』の最終回に少し文句を。。

祭さんがついに〈ロミオ〉を訪れるという、
シリーズのキモであるシーンが
中途半端でフヌケていたことも、
終盤、
延長した15分が蛇足に感じられたことも、
まあ、しょうがない、と思えますが。

松岡がセイヤさん(北村一輝)に、
別れ際、
ありがとうございました、
と頭を下げるシーン。

角度も浅いし!!!!
下げている時間も短い!!!!

全然、感謝してないじゃん!!

と憤る。

細部に魂が宿る。

のにと、
残念におもいました。

theme : ドラマ
genre : テレビ・ラジオ

『嫌オタク流』

20060412225422
何度か書店でパラパラめくってすこし読んでみたり、
なんとなくは気になっていた、

『嫌オタク流』
(中原昌也、高橋ヨシキ、海猫沢めろん、更科修一郎)

を購入。
ある女の子のまえで普通に読んでいたら、
表紙のセーラー服の女の子の絵に、
思いっきり引かれてしまいました。。

さすが、
ひとを不快にする天才、中原昌也!!
いい迷惑ですよ!!

題名は、一目瞭然、
『マンガ嫌韓流』のもじりで、
勝ち組だの有能だの優しいだのといった、
近年妙に持ち上げられているオタクをめぐる言説に、
異議を唱えようという企画の本です。

かつて、大した根拠もなく弾圧されていたり、
かと思えば急に国や社会の都合で持ち上げられていることに、
疑問も抵抗もなく乗ってしまう、
オタクのアイデンティティってどうなの?
とイラついている高橋ヨシキと、
テキトーに引っかき回す中原昌也が、
オタクの現状について海猫沢めろん、更科修一郎に問いただす。
という設定で座談会方式に進行しますが、
ただ単にオタクバッシングだけが狙いではなく、
簡単にマインドコントロールされる
考える力の無さ/易きに流れる弱さ、
に対して警鐘を鳴らす、
そういった意図があると思います。

設定・意図はそうでも、
虱潰しに理路整然とひとつひとつ潰してゆく、
という方式にならずに、
散漫に暴論や飛躍をまじえながら構造化していかないのは、
中原昌也の破壊衝動によるものでしょうか。

問題意識をもって読み始めたものは、
いつの間にか各人のキャラクタの面白さに乗って読んでゆくことになります。

ダジャレと下ネタと暴論の果てに、
「いや、もう、みんな頑張ってほしいもんだなあ」とか、
ものすごくテキトーなことをテキトーに言い放って
全力でもってマトモに扱わない気まんまんの中原昌也、

映画ファンには『サウスパーク通信』でおなじみの、
一番ナパーム!!!!デス!!!!な、攻撃の手を緩めない高橋ヨシキに対し、

質問を受ける側の二人は、

幾分オタクに同情的な海猫沢めろんとは逆に、

オタク側なのに
片っ端からオタクを斬り捨ててゆく更科修一郎。

その噛み合わなさと逸脱からくる、
脱力感こそが読みどころかと思います。

(仮想敵は、本田透『電波男』の自分に都合のいいとこだけ読んでるようなオタク、
ということで、興味あるかたはまず
『電波男』を読んでおくとより楽しめると思います。
岡田斗司夫(等)の本は、別に読んでいなくても問題なしです。)

theme : 書籍紹介
genre : 本・雑誌

この冷蔵冷凍庫

20060412221819
おとといの
火災報知器の誤作動
に引き続き。

今日は、

この冷蔵冷凍庫がショートし!!

お店が真っ暗闇に包まれました!!

最近この店呪われてる~!

まあ、業者さんきて
なおったんですが。

theme : 日記
genre : 日記

いりえ・やまとの末路




1ヶ月ほどまえ、

『男たちの大和』についての項で触れた、
入江秀忠選手。

4・11DEEP後楽園大会。
この試合勝ったら死に場所(ビッグマッチ?)を用意してくれ、
と佐伯DEEP代表に迫り、
“決死の覚悟”で〈いりえ・やまと〉=入江大和
と改名し、のぞんだ一戦が
ようやく昨日行われました。
相手はゲガール・ムサシ選手。

結果、
2ラウンド1分29秒、

スタミナの切れた入江選手。
のマウントを奪取したムサシ選手が、
パウンドを連打、
反撃できないようすにセコンドがタオルを投入し、

TKO負けを喫しました。

“決死”も“大和”も関係ない、
厳しい現実がそこにはあったのでした。

theme : 格闘技
genre : スポーツ

『ぴあ』、「ひかり座」、『少女椿』

20060411002137
〈東京ガイドよりも面白い〉
と自信満々に銘打たれた、
木曜に発売された『ぴあ』の特集、
35人による
東京の各町についてのコラムを読みました。

ミュージシャン、タレント周辺の人びとなどを起用したコラム集です。

みうらじゅん(新宿)、喜国雅彦(神保町)をはじめ、
桑原茂一、五月女ケイ子、
YO-KINGのものもよいのですが、

なかでも大槻ケンヂ(中野)のものは、
ふた味ちがう!とおもいました。おもしろい!

まあ、自分も、
中野に思い入れがあるから、
肩入れ/ヒイキしてる?
というのも、だいぶ、
ありますが、

エッセイのカガミのような文章だと感じました。

文中にある、
中野五叉路のあやしい映画館(「ひかり座」)、
ぼくもかつて行きました!

たぶん。
映画館の名前は覚えていないのですが、五叉路にある、
あやしい、あやしい、
鈴木清順の映画のセットのような上映施設で、
ピンクじゃなくて、
怪しげなインディーズ映画とかを観た覚えがあります。

90年代初頭、

その「ひかり座」でうたれた興行だったのか、
あるいは中野武蔵野館でだったのか。

あるとき、
『少女椿』なる映画が上映されまして。

当時、
中野駅前の飲食店でアルバイトしていたのですが、

映画の宣伝でか、
公開時、
劇場版うる星やつら(『3』だっけ?)にでてくる、ブキミなチンドン屋
(って、今の人若いかたがたにも通じるんですかね、チンドン屋って)
のような一群(『少女椿』軍団?)が、
奇妙な化粧と
奇妙な仮面、
奇妙な衣装に身をつつみ、
妖しい音楽を奏でつつ、
恐ろしい踊りをおどりながら、
街中を練り歩いていました!!

店の前で、
ぼくの同期のアルバイトの女の子が、
その〈『少女椿』軍団〉に
パフォーマンス的に絡まれて(!)、
泣き出してしまったのを記憶しています。

僕はその場に居合わせていなくて、
ひとから一部始終をきいただけの筈なのですが、
何故か
それを実際に見たかのような記憶が、
映像として残っています。

ひそかに、というよりは、
おおっぴらに、その子に好意を抱いていましたから、

怒り、の感情とともに、

その場に居合わせなかったことが、
なにか、
盗まれたような、
イヤな気分に支配されました。

それゆえ『少女椿』には、
良い印象が残っていないです。

前述の大槻ケンヂの文章によれば、

〈「ひかり座」は平成になってから閉鎖したが、
今も時々演劇公演に使用されることもあるようだ。〉

とあり、
『少女椿』のころは平成も数年経過していましたから、
微妙なところで、
そうなると、だんだん、
十中八、九、
「ひかり座」ではなく、
中野武蔵野館での公開だった気がしてくる。

しかし、
あのいかにもアングラな軍団の出で立ちと、
いかがわしい映画のムードは、
五叉路の施設の、
迷宮の怪奇館のような雰囲気にぴたりと嵌るようだから、

ひかり座で上映された、
と信じておくことにします。

あの子が泣くところを見ることは、
一度もなく終わりました。

theme : 映画館
genre : 映画

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