
『ルート225』
(2005年制作/2006年公開、日本、101分)
監督:中村義洋
原作:藤野千夜
出演:多部未華子、岩田力、石原裕太、田中要次、崔洋一、嶋田久作、石田えり
もうすぐ15才になるエリ子とひとつ下の弟・ダイゴはある日突然、ふとしたはずみから、元いた世界と微妙に少しだけ違うパラレルワールドに迷いこんでしまう。何とか元の世界に帰ろうとする姉弟だったが‥。
『ローカルニュース』(99)『絶対恐怖 ブース』(05)などの監督作品や、多くの脚本作品で知られる中村義洋監督による、ファンタスティックな青春映画‥って“青春”というにはまだ早いような微妙な年頃、“思春期”の不安定な心の揺れが、ファンタジー=虚構という異物として表される。特に説明されるでも解明されるでもない、(もうひとつの)〈世界〉のコトワリの理解不能なさまは、〈思春期の不安や孤独、生きることの不条理、不確かな現実〉を表象する。“元いた”世界、であろうと、“もうひとつの”世界であろうと、どちらにしても世界は子供たちにとって生きがたい不条理でおおきな世界が眼前に広がっている事実に大差はない。
そのような思春期の困難を、現実的/日常的なリアリズムとは異なる、相米慎二〜冨樫森の系列に連なる身体的/肉体的アクションの具体性に託して映像化した中村監督の手腕は頼もしいくらい堂々としています。堂々としすぎてやや“切なさ”に欠けますが、鏡にむかってしる仕草や、頭や顔を掻く身振り、歩き、走り、キックし、バッティングセンターで球をうつ、といった徹底して身体的なアクションが映画の肉体的リズムを刻む。
『HINOKIO』(05)でブレイク、『夜のピクニック』(06)でも主演を張る多部未華子は、久しぶりに若手“映画俳優”が台頭してきたという同時代的なワクワク感をかんじさせる女優さんだ。なにか芯のあるつよさをかんじさせる清涼感。たたずまいは非グラビア的で、どちらかというと表情はかたく変化に乏しいのに、その身体表面をおおう周りの空気の表情や色合いが一瞬一瞬移ろうさまは、映画ならではの出来事だとおもう。
そんな〈映画女優〉が、画面上に〈身体的アクション〉を刻みつけ、その瞳で何かを見つめれば、最低限“映画”になるということの証明。あくまで描写は軽快で、細部がスムーズに淀みなく流れていくので、意外と観る側が受け取る感慨が薄いのが惜しい。もうすこし異物感があってゴツゴツと不均一な触感があったら傑作になっていたかも。
どうでもいいことなのかもしれませんが、本作において最も印象に残るのは、〈肥満的存在〉にたいするこだわり・優遇ぶり。“ジャイアンツの高橋由伸”がどうやらこの奇妙な世界の理を担っているらしいのですが、〈もうひとつの世界〉での“ジャイアンツの高橋由伸”は「ややぽっちゃりしてる」という差異が見られるし、多部未華子にとって未知の世界、不安感が充満する不確かで不条理なこのもうひとつの世界で理解/信頼しあえるのが、岩田力演じる弟のダイゴと、石原裕太演じる友人のマッチョのふたりだけなのですが、このふたりが揃ってハッキリと肥満児。ボヨンボヨンしたふたつの肉塊を道連れに、不思議の国の冒険をつづける細身の少女。という図。作り手が肥満者で、痩身の少女に許容されたいという願望のあらわれかと勘ぐってしまう。











